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ブリキの魔女のようです

95:名無しさん:2023/10/01(日) 20:26:48 ID:OwijicEg0

 森の奥のお屋敷は危ないんだよ、ブリキの魔女が暮らすから!

 働き者は大丈夫!だけど悪い人はブリキの魔女に食べられちゃう!

 

 

 ブリキの魔女のようです

 

 

【Ⅰ】

 

(;A;) エーンエーン

 

川 ;-;) ヒックヒック

 

 昼でも薄暗い深い森の中で、二人の小さな子供が寄り添って泣いています。

 見るからに貧しく、痩せっぽちで小汚い男の子と女の子です。

 

川 ;-;)「ここどこぉ?」

 

 子供達の傍らには空っぽのバスケットが転がっています。

 どうやら木の実やきのこなどを探しているうちに、迷ってしまったようです。

 親が探してくれるかも──なんと子供達は、ちっとも期待していません。

 

('、`#川『この穀潰しどもが!はやくお銭を稼いできな!』

 

 いつも酔っ払っているおばさんは、木の枝で子供達を罵りながらぶちます。

 両親のいない子供達は飢饉でもないのに満足な食事を与えられず、こき使われる日々です。

 だから薄暗い森の中で、身を寄せ合って泣くしかできないのです。

 

(;A;)「おなかすいたよぉ」

 

 ガシャンガシャンとどこからか重い金属同士がぶつかる音が聞こえてきました。

 音は少しずつ子供達のところへと近づいてきます。

 

(;A;)「へいたいさん?」

 

 ガサガサと茂みが大きく揺れ、子供達は震えます。

 

[ Д`]「子供?」

 

川 ;-;)っと (;A; )「「ヒィッ!!」」

 

 全身を真っ黒い鎧で包んだ、大きな人が現れました。

 堂々とした佇まいは、お城の兵隊さんとは違う、どこか別の偉い人のようです。

 黒い鎧の人は、肩に猪の死体を担いでいます。

 

96:名無しさん:2023/10/01(日) 20:27:08 ID:OwijicEg0

 

[ Д`]

 

 黒い鎧の人は、無言で子供達を見下ろします。

 体だけでなく顔も鎧兜に身を包んでいるので、表情どころか顔立ちも年齢も人種も全く分かりません。

 

川;゚-゚) (;'A`)

 

 物々しい威圧感に子供達は涙は止まりましたが、今度は冷や汗が出てきました。

 貧しい彼らがほとんど会わない偉い人に見つめられて、緊張しているのです。

 

[ Д`]「貴方達、大人達にこの森に入るなと教わりませんでしたか?」

 

 丁寧な口調ですが、錆びた金属同士をこするような酷く掠れた声をしています。

 

(;'A`)「お、おとーさんとおかーさんは、いません……」

 

川;゚-゚)「おばさんも、おしえてくれなかった、です……」

 

[ Д`]

 

 黒い鎧の人は、子供達をじっと見下ろしたまま動きません。

 黒い鎧の人の担ぐ猪の口元から、ポタポタと赤い雫が落ちます。

 

[ Д`]「私の屋敷においでなさい」

 

 そう言うと、大股で森の奥へと進み始めます。

 

川;゚-゚) (;'A`) エッアノッ

 

[ Д`]「狼に食べられたければ、そこに座っていなさい」

 

 子供達は空腹の体に鞭打ち、黒い鎧の人に一生懸命ついて行きました。

 

 

 しばらく歩いてお屋敷に着きました、しっかり手入れされた大きな洋館です。

 森が薄暗いせいか、どこか不気味な感じがします。

 

川;゚o゚) (;'o`)

 

ξ;゚⊿゚)ξ「奥様!」

 

 扉が開くなり、目つきの鋭い金髪の若い娘が、慌てた様子でこちらに駆け寄ってきます。

 黒い鎧の人はこの屋敷の主人で、しかも女の人のようです。

 

ξ;゚⊿゚)ξ「油を差していないのに、一人で狩りに行かけないでください!」

 

97:名無しさん:2023/10/01(日) 20:27:57 ID:OwijicEg0

 

[ Д`]「大丈夫ですよ、今日は手足の調子がいいから大猪が獲れました」

 

ξ;゚⊿゚)ξ「喉がガラガラだし腕が少し凹んでいるんじゃないですか!

      お肉は市場で十分だから狩らなくていいんですよ!」

 

[ Д`]「干し肉にすれば冬の蓄えになりますよ」

 

ξ;゚⊿゚)ξ「だからって私を置いて行かないでください!」

 

川;゚-゚) (;'A`)

 

 ポンポンと言葉が出る金髪のお姉さんは、黒い鎧の人が恐くないかと子供達は驚きました。

 

ξ゚⊿゚)ξ「……なんですかコレ」

 

川;゚-゚) (;'A`)「「こ、こんばんは……」」

 

 金髪のお姉さんは、ようやく子供達の存在に気づいたようです。

 

[ Д`]「領地内に迷い込んだ、親のいない子供です」

 

 それって捨て子なんじゃ……と金髪のお姉さんが小さく呟いたのは、気のせいでしょう。

 

ξ;-⊿-)ξ ハァー

 

ξ゚⊿゚)ξ「アンタ達、奥様に感謝しなさいよ」

 

川;゚-゚) “(;'A`)” コクコク

 

[ Д`]「料理人に大猪を届けて、人数の追加を伝えますね。

     貴方には子供達の身支度を任せますよ」

 

 ガシャンガシャンと重い金属音を鳴らしながら、黒い鎧の人は屋敷の奥へと消えて行きます。

 金髪のお姉さんは、あからさまな作り笑いで子供達の腕を掴みました。

 

ξ^⊿^)ξ「チビども、まずはお湯洗いしてあげるわ」

 

川;゚-゚) (;'A`) ヒエッ

 

 この後子供達はいい香りのする草がたくさん浮いた温かいお湯に入れられ、体をたっぷり擦られました。

 

川;>-<) ニガッ

 

ξ#゚⊿゚)ξ「その薬草は食べるなっ!!」

 

98:名無しさん:2023/10/01(日) 20:28:24 ID:OwijicEg0

 

【Ⅱ】

 

 手入れされた広い屋敷のはずなのに、壁や家具の暗い色調が圧迫感を与える。

 屋敷に相応しい大きなテーブルには、清潔な白いテーブルクロスがかけられている。

 その上には、白い陶器の食器に入った『ご馳走』が並べられていた。

 

 トマトや根菜と共に煮込まれた骨つき肉、透き通ったコンソメスープ、火で炙られた太い腸詰、丸くて柔らかそうな白いパン、微かにバターの香りがするオムレツ、みずみずしい葉物で彩られたサラダなどが並べられていた。

 小さな木のコップには新鮮なミルクが満たされている。

 砂糖で煮詰めたリンゴに、木苺のジャムや蜂蜜も置いてある。

 

(*'A`) ワァ……

 

川*゚-゚) イッパイアル……

 

 幼い男の子と女の子が、テーブルに並ぶ久々の暖かい食事に目を輝かせる。

 湯浴みを終えたばかりの小さな痩せた体に、簡素だが清潔な服を着せられている。

 

( ^ω^)「おっおっおっ、おかわりもあるお」

 

 ふくよかな若い料理人が、にこやかに言う。

 

(*'A`)川*゚-゚)「「い、いただきますっ」

 

川*゚-゚) ゴクゴク

 

 女の子はまずミルクで喉の渇きを癒した。

 

(*'A`) アチッ

 

 男の子がソースで口の周りを汚しながら、湯気の立つ骨つき肉にかぶりつく。幼い痩せた子供の力でも、柔らかくなった肉は骨からあっさり外れた。

 

川*゚-゚)

 

 丸く白いパンも、いとも簡単に二つに割られるほど柔らかい。

 女の子は真っ赤なジャムを、パンの断面にたっぷりと塗った。

 

川*´-`)

 

 甘酸っぱさに顔が緩む女の子の口元には、ジャムがついている。

 

 オムレツをスプーンですくうと、断面から熱で溶けたチーズが流れ出てきた。

 男の子はとろけたチーズとオムレツの断片を器用にパンに乗せ、口に運ぶ。

 

(*'A`) ムシャムシャ

 

99:名無しさん:2023/10/01(日) 20:28:56 ID:OwijicEg0

 

川*゚-゚) ズズーッ

 

 女の子はスープの器を持ち上げ、コンソメスープを音を立てて飲んでいる。

 

(*'皿`) パキンッ

 

 男の子が腸詰に歯を立てると、軽快な音とともに肉汁が飛び出る。

 マナーもなにもないが、子供達は生き生きと食事をしていた。

 

[ Д`]

 

ξ゚⊿゚)ξ

 

 夢中で食べる子供達の向かいの席には、物々しい黒い鎧に身を包んだ館の主人がいる。

 その隣には水差しを持った、金色の癖っ毛の若いメイドが立っている。

 

[ Д`] クスッ

 

 小さく笑う声がしたので、食べ散らかす子供達を微笑ましく思っているようだ。

 

(*'A`)「おいしい!」

 

川*゚-゚)「あったかい!やわらかい!」

 

(* ^ω^)「おっおっ、喜んでくれて嬉しいお」

 

[ Д`]「えぇ、たくさん食べる子供はとても可愛いですね」

 

ξ゚⊿゚)ξ「奥様」

 

 メイドは、水差しの液体を甲冑の者の持つグラスへと注ぐ。

 グラスに芳しい香りの、透明なとろみのついた液体が注がれる。

 

[ Д`]

 

 甲冑の者は鋼鉄の仮面を外さず、グラスを傾ける。

 グラスの中身は溢れてあたりを汚す事なく、甲冑の中へと消えていく。

 

川*゚-゚) ('A`*)

 

 男の子は肉料理のソースをぬぐったパンをほおばり、女の子はリンゴの砂糖煮にミルクをかけて堪能しており、この異様な光景に気づいていない。

 若い料理人も若い娘にも、この光景は日常の一部のようである。

 

ξ゚⊿゚)ξ「今日はオリーブオイルです、いかがですか?」

 

[ Д`]「……不純物のないいい油ですね」

 

 まだ多少掠れているが、年頃の娘を持つ婦人の声へと変化する。

 甲冑の中から、かすかに金属同士の擦れ合う音がした。

 

100:名無しさん:2023/10/01(日) 20:29:41 ID:OwijicEg0

 

 

【Ⅲ】

 

 次の日から、子供達はお屋敷で住み込みで働くことになりました。

 お仕事はたくさんあって大変だけれど、屋敷に来る前のように辛くありません。

 

( ^ω^)「たくさん枝を集めてくれて、助かったお!」

 いつもニコニコした料理人のお兄さんは、お仕事をこなすと褒めてくれます。

 時々こっそりと、パンやソーセージの切れ端を分けてくれます。

 

ξ゚⊿゚)ξ「鶏小屋から卵が見つからない? アイツの卵を隠し場所のコツを教えてあげる」

 いつもお屋敷をきれいにしている目つきの鋭いメイドのお姉さんは、お仕事で分からないことを訊くと丁寧に教えてくれます。

 

[ Д`]

 奥様は植物や人体についての難しそうな本を読みふけったり、何個もの部品が複雑に絡み合った鉄の塊をいじっています。

 毎日のように時間を作っては、子供達に読み書きや計算を教えてくれます。

 

 

('、`#川『このカゴを食べ物でいっぱいにするまで、家に入れないからね!』

 

('、`#川『こんの無駄飯を食らいどもが! 赤の他人であるお前達にパン屑もやるもの惜しい!』

 

('、`#川『くそ!金になるかと思ったのにちっとも役に立ちやしない!』

 

 そう、おばさんと暮らしていたころのように、ちっとも辛くないのです。

 

 

 ある日男の子は、ちょっとした好奇心で料理人の過去を聞いてみました。

 

( ^ω^)「おっおっ。僕、最初はドロボーだったんだお」

 

( ゚A゚) カラーン

 

 意外な言葉にびっくりして、磨いていた銀食器を落としてしまいました。

 料理人は落ちた銀のスプーンを拾い、水で洗ってから男の子に渡します。

 

( ^ω^)「正しくは、この屋敷から金目のものを盗めって命じられたんだお」

 

(;'A`)「だ、だれに?」

 

( ^ω^)「トーチャン、酔って暴れて最低な男だったお。

       カーチャンは僕を庇ってよく殴られたから、それで早死にしたお」

 

(;'A`)「…………」

 

101:名無しさん:2023/10/01(日) 20:30:16 ID:OwijicEg0

 

 料理人は事もなげにそう答え、茹で上がったじゃがいもをどんどん潰します。

 男の子は銀食器を持ったまま、固まっていました。

 

( ^ω^)「君ぐらいのちっちゃい時かな、いつもお腹をすかせていたお」

 

   (*`゚ω゚´*)『あのブリキ女のとこから、金目のもん盗んでこい!!』

 

( ^ω^)「──って雪の中に放り出されて、泣きながらとにかく歩いたお」

 

(;'A`)

 

 男の子は自分達は幸せだと痛感しました。

 だって季節が違っていたら、自分達が雪の中をさまよっていたかもしれません。

 

( ^ω^)「身体中痛いし、腹ペコだし、すごく寒くて途中で倒れたんだお」

 

( ^ω^)「そんでなんかあったかいなーって気がついたら、僕は暖炉の前に居たお」

 

   [ Д`]『あぁ、目を覚ましてくれたのですね』

 

( ^ω^)「 “ブリキ女”つまり奥様が、雪の下から僕を見つけて連れ帰ってくれたんだお。

       表情全っ然分かんねーけど、僕が生きてたから安心したみたいだお」

 

   ξ*゚⊿゚)ξ『だいじょーぶ、ここはてんごくじゃなくて、おくさまのおやしきだよ』

 

( ^ω^)「僕と年の変わらない女の子が、僕の冷えた手足を擦って温めてくれたお。

       奥様の体はブリキだけど、柔らかい毛布で僕を包んでくれたお」

 

   ξ*゚⊿゚)ξ『これ、あったまるよ!』

 

( ^ω^)「あの時に渡されて飲んだホットチョコ、とても美味しかったお。

       甘い温かさが喉を通って、体が温まった気がしたお」

 

('A`)「ほっとちょこ?」

 

( ^ω^)「小鍋でじっくり温めた牛乳にチョコレートを溶かした冬の飲み物だお。

       今度雪が積もったら、作ってあげるお」

 

(;^ω^)(香り付けにブランデーやラム酒を入れるけど、このチビ達にはまだ早いお)

 

( ^ω^)「それで君達と同じように草が浮いたお湯に入れられて、新しい服を着せられたお。

      あの時は、刻んだベーコンと玉ねぎが入ったミルク粥を食べたお」

 

   (ヽ;ω;)『ハムッ ハフハフ、ハフッ!!』ガツガツ

 

   [ Д`]『口の中を火傷しますよ、ゆっくり食べなさい』

 

102:名無しさん:2023/10/01(日) 20:31:14 ID:OwijicEg0

 

   ξ;゚⊿゚)ξ『アンタって泣き虫なのね』

 

( ^ω^)「さいの目に切ったベーコンの旨味が牛乳とおかゆに染み込んでたお。

      美味しくて暖かくて、気が緩んじゃってたくさん泣いてたくさん喋ったお」

 

   (ヽ;ω;)『ぬ”ずも”ゔどじでごべん”な”ざい”い”い”!!!』

 

   ξ;゚⊿゚)ξ『アンタ、ドロボーなの!?』

 

   (ヽ;ω;)『ブ”リ”ギ女がら”盗めっでドーヂャンに“命令ざれまじだぁあ”あ“あ”!!!』

 

   ξ#゚皿゚)ξ『生き埋めにしてやる!!』

 

   (ヽ;ω;)『ごべん”な”ざい”!ごべん”な”ざい”!ごべん”な”ざい”い”い”!!!』ガツガツ

 

   [ Д`]『二人とも落ち着きなさい』

 

( ^ω^)「ま、同情されてここで住み込みで働くことになったから、君達と似た境遇だお」

 

 話しているうちに、マッシュポテトが出来上がりました。

 

( ^ω^)っ「ほい味見」

 

( '~`)

 

 木ベラからこそげ落としたマッシュポテトを一口食べると、口の中にバターと胡椒の風味が広がります。

 

(*'A`)「おいしい」

 

( ^ω^)「ここで働きながら暮らせるから、クソ親父には感謝してるお」

 

('A`)「そのクソおや……おとーさん、どうなったの?」

 

( ^ω^)「……………………」

 

( ^ω^)「さぁー? 四六時中酔ってたから川にでも落ちたんじゃねーかお」

 

 料理人はわざとらしく首を傾げ、肩を竦めます。

 

( ^ω^)「父親だ!給料をよこせ!!とか喚いて屋敷に突撃しないから安心だお」

 

(;'A`)「そうなんだ……」

 

 男の子はフッと気になりました。

 意地悪で酔っ払いなおばさんは、自分達が帰ってこなくてどうしているのかなと。

 

103:名無しさん:2023/10/01(日) 20:32:14 ID:OwijicEg0

 

 

ξ゚⊿゚)ξ「私?」

 

 ある日のおやつの時間に、お姉さんにどうしてこの屋敷で働くか尋ねてみました。

 今日のおやつは干し葡萄が入ったクッキーと紅茶です。

 子供達の分の紅茶には牛乳が入れており、まろやかな味わいになっています。

 奥様は書斎で本を読んでいるようです。

 

('~`) サクサクサクサクサクサク……

 

川 ゚-゚)” コクコク

 

ξ゚⊿゚)ξ「物心ついたころに母親ごと売られたの、ぶっちゃけママのおまけね」

 

川;゚-゚)「ご、ごめんなさい……」

 

 悪いことを聞いてしまったと、女の子は反射的に謝りました。

 

ξ゚⊿゚)ξ「別に、女子供が売り飛ばされるのはよくあることよ。

     ママは料理が得意だったから、運良く奥様の目に留まっただけ」

 

   [ Д`]『私は人間の食べ物を口にできません、子供を育てれない体です。

        だから貴女達親子が必要なのですよ』

 

ξ゚⊿゚)ξ「奥様は変わった体だけど、私達にとてもよくしてくれたわ」

 

 確かに、この屋敷で働くようになってひと月ほどたちますが、奥様が油以外を口にしたのを見たことがありません。

 

ξ-⊿-)ξ「ママは風邪を拗らせて亡くなったけど、辛くない生涯だと信じたい」

 

ξ-⊿-)ξ「だけど奥様にママの事を聞かないでね、私より悲しんでいたから」

 

 お姉さんはそう言って、締めくくるように紅茶をすすりました。

 

104:名無しさん:2023/10/01(日) 20:32:56 ID:OwijicEg0

 

 

【Ⅳ】

 

 汚い下町の汚いアバラ家に、銀の鎧に身を包んだ者が訪れきた。

 

('、`;川

 

(十)

 

 最初は警戒していた酒臭い女も、銀の鎧の者が金貨の詰まった皮袋を見せればアッサリとアバラ家に入れる。

 

('、`*川

 

 酒臭い女は鼻息荒く皮袋に手を伸ばすが、それを手で制して見るからに上物の酒を女に差し出す。

 

(十)っ甘

 

(゚、゚*川

 

 女は酒瓶を奪い取り、栓を切るとそのまま口をつけた。

 果実の甘みでごまかされた強い強いアルコールが、女の脳を侵食する。

 

(十)

 

 銀の鎧の者は、女が酔い潰れて動かなくなるまで見守っていた。

 

( q 川

 

 翌朝、川から女の溺死体が発見されたが、酔っ払いで有名な女だったので、事故として片付けられた。

 

( ^ω^)「いやぁ、まさに酒は飲んでも飲まれるなだお。

       ほんと、酔っ払いどもの末路はロクでもないお」

 

 野次馬の向こうから、あの屋敷で働く若い料理は冷淡な声でそう吐き捨て、市場へと向かいました。

 

105:名無しさん:2023/10/01(日) 20:33:40 ID:OwijicEg0

 

 

【Ⅴ】

 

 

 木枯らしが吹く今日は、料理人のお兄さんとメイドのお姉さんは、町へお買い物にでかけています。

 二人の帰りを待っている間、奥様は子供達とスープを作っていました。

 

[ Д`]「裏ごしをせずに、具材をただ煮込むだけですよ」

 

 大きな鍋のなかには、にんじん、じゃがいも、キャベツが、猪のアバラ肉と一緒にクツクツと音を立てて暖炉の火で煮込まれています。

 

[ Д`]「彼女の母親が、よく作っていました」

 

 どこか懐かしむ口調で、奥様はじゃがいもが崩れないように鍋をゆっくりと混ぜています。

 

( ^ω^)ノ「ただいまだおー」

 

('A`)「お、おかえりなさいっ」

 

(十) カシャンカシャン

 

ξ゚⊿゚)ξ「おチビ達、ちゃんといい子にしてた?」 カポッ

 つ(十)

 

川 ゚-゚)「ちゃんと、おくさまをみてたよ」

 

[ Д`]「この子達と野菜煮込みを作っていたました」

 

ξ゚ー゚)ξ「あぁいい匂い」

 

(* ^ω^)「おっおっ、煮込みが美味い季節になってきたお」

 

川*゚-゚) (*'A`)

 

 優しいお兄さんお姉さんに奥様と暮らせて、ここはまるで天国のようです。

 もしも迷った飢えた子供に会ったら自分達もご馳走をしよう、そう思いました。

 

 

 

 

 森の奥のお屋敷は危ないんだよ、ブリキの魔女が暮らすから!

 働き者は大丈夫!だけど悪い人はブリキの魔女に食べられちゃう!

 なんで誰もブリキの魔女を討伐しないかって?

 ブリキの魔女に食べられるような人間なんて、いなくなっても誰も困らないからだよ!

 

 

 

終幕

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