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川 ゚ -゚)はトマトに行くようです

23:名無しさん:2023/09/30(土) 05:59:59 ID:gV7/vsQY0

川 ゚ -゚)「なぁ、ツン。私は今度『あれ』に出るんだ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「『あれ』って?」

 

川*゚ -゚)「文フリだよ。文学フリマ。今話題じゃないか!」

 

ξ゚⊿゚)ξσ∏ スッスッ

 

ξ゚ー゚)ξ「小説の即売会なのね。楽しそうで良いじゃない!」

 

川*゚ -゚)「それで、小説に出てくる服を実際に着て店に立とうと思うんだ。敷布なんかもトータルコーディネートしてさ。」

 

川;゚ -゚)q「だけどネットで探しても、いまいちピンとくる生地が無いんだ…。」ムム…

 

ξ゚⊿゚)ξ「あら、それなら良い所を知っているわ。平日で良ければ行きましょ。」

 

川 ゚ -゚)?「行くって何処へ?」

 

 

ξ゚⊿゚)ξ「日暮里よ。」

 

24:名無しさん:2023/09/30(土) 06:01:02 ID:gV7/vsQY0

川 ゚ -゚)はトマトに行くようです

 

25:名無しさん:2023/09/30(土) 06:03:17 ID:gV7/vsQY0

\平日の朝10:00/

 

【東京都 日暮里駅前】

 

川 ゚ -゚)「おはよう。」←有給取った

 

ξ゚⊿゚)ξ「おはよう。さっ、行くわよ。」←平日休み

 

川 ゚ -゚)「わざわざ県を越えて来たが…ここはいったい何なんだ?」テクテク

 

ξ゚⊿゚)ξ「日暮里は、布地の問屋街で有名なの。趣味程度の人でも買える小売りもしていて、とにかく沢山の布を見ることが出来るわ。」テクテク

 

ξ゚⊿゚)ξ「ユザワヤみたいに種類別に色が必ず揃っている、という保証はないのだけど、そこら辺の手芸店では買えないような掘り出し物もあるわ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「コロナ前は、外国人観光客向けに和柄の品揃えに力を入れてる店もいくつかあったわね。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「平日に来てもらったのは、休日よりも空いてるし営業時間も長いからなの。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「ちなみに1m単位の購入が基本で、ロールの残りが1m以下だったら客が買い取るのが基本よ。」

 

川 ゚ -゚)「へぇ~。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「『1m欲しいけどその生地の残りは1.6m』なんて時は、客が買い取ってあげるの。今も同じルールかは知らないけど、そうなった時は小物でも作りなさい。

 

 

ξ゚⊿゚)ξ「…ところで、どんな服を作る予定なの?」

 

川 ゚ -゚)「ああ。本の内容は超悪役令嬢クーデリアが過去の自分に転生して、超金持ちや超地位のある男から超死ぬほど求婚されまくる話なんだけど、クーデリアのドレスをイメージして作ろうと思ってな。」

 

ξ;゚⊿゚)ξ「それ…幅とって周辺の人に迷惑かけないかしら?」

 

川 ゚ -゚)「ボリュームダウンするから大丈夫だ。」

 

26:名無しさん:2023/09/30(土) 06:04:16 ID:gV7/vsQY0

♡ξ゚⊿゚)ξbツンちゃんのワンポイントアドバイス♡

 

☆日暮里繊維街はこんな人におすすめ!☆

・服地が欲しい人

・ベッドカバーやイベント等、何かしらの理由で広範囲を布で覆いたい人

・コスプレのような特殊布が安く欲しい人

・プリント生地が沢山欲しい人

・安いロックミシン糸や副資材が欲しい人

・上記のどれかに当てはまる関東圏のハンクラーさん

 

ξ゚⊿゚)ξ「とにかく量が欲しい人向けね!ただ机の敷布だけ欲しい人は迷子になるからネットで揃えなさい!」

 

27:名無しさん:2023/09/30(土) 06:05:30 ID:gV7/vsQY0

川 ゚ -゚)「なんだか、大量の布が置かれた店が増えてきたな。」テクテク

 

ξ゚⊿゚)ξ「問屋街に入ったからよ。だけど、一軒ずつ見ていくわけじゃないわ。」テクテク

 

ξ゚⊿゚)ξ「初心者はとりあえずビールみたいな感覚で、まずはトマトに行くのをオススメするわ。」

 

川 ゚ -゚)「トマト?」

 

ξ゚⊿゚)ξ「店の名前よ。5階建てで、すべてのフロアが布で埋め尽くされてるわ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「その隣接の建物はトマトの資材館で、ボタンやファスナーなんかの副資材なんかはそこで集まるわ。」

 

川 ゚ -゚)「布の店と分かれているのか。普段手芸センタードリームにしか行かない私には想像出来ないな。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「さ。着いたわよ。まずはドレス生地のコーナーに行きましょう。」

 

川 ゚ -゚)「ガッテンガッテン」

 

28:名無しさん:2023/09/30(土) 06:07:04 ID:gV7/vsQY0

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川 ゚ -゚)「うーん…。差し色は見付かったけど、メインの生地はなかったな。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「あら残念。それじゃ1階ずつ下に降りて見ていきましょう。」トントン

 

川 ゚ -゚)「うん。」トントン

 

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川;゚ -゚)「おい…全然見付からないまま1階に来てしまったぞ!本当に見付かるのか!?」

 

ξ゚⊿゚)ξ「そうね…1階を見ても見付からなかったら、他のドレス向きの生地を扱うお店で探しましょうか。」

 

川;゚ -゚)σ「あれ…?あの人だかりはなんだ?」

 

ξ゚⊿゚)ξ「ああ、100円コーナーを忘れていたわね。あそこはプリントミスのあるB級品や在庫処分だったりする品が置かれているの。」

 

川 ゚ -゚)「100円だなんて信じられないな。」

 

ξ゚⊿゚)ξb「そうね。すぐ破れそうな物とか厚くて縫い難い物とか品質もピンキリだけど、練習に使えるような物やそれこそ掘り出し物もあるし、ここは日暮里の名物客寄せコーナーよ!」

 

ξ゚⊿゚)ξ「世間ではSDGsが持て囃されてるけど、情報によればこのコーナーは少なくとも20年くらいはあるはずよ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「服屋の福袋だって、もとは売れ残りを安くまとめ売りする仕組みだったし昔の方がよっぽど意識が高かったわね。」

 

川;゚ -゚)σ「あっ…?あれはっ!??」

 

29:名無しさん:2023/09/30(土) 06:08:19 ID:gV7/vsQY0

∩川*゚ -゚)∩「あった!あったよツン!!これこそが私が求めていた布だよ!!」キャッキャッ!

 

ξ;゚⊿゚)ξ「テッカテカのショッキングピンクじゃない!」

 

川*゚ -゚)「ああ!クーデリアはその外見の美しさを隠すために、ド派手なショッキングピンクのドレスを着ているんだ!」

 

ξ;゚⊿゚)ξ「ふーん…。」

 

川;゚ -゚)「ふぅ…失敗した時も考えて、10mも買ってしまったよ。これで1100円は破格だな。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「誰も買ってないようなぶっといロールだったから、端数買い取りも無くて良かったわね。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「資材館でファスナーと糸も買ったけど、他にも買うものはあるかしら?」

 

川 ゚ -゚)「ゴージャスなドレスにしたいから、レースが欲しいな。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「それなら、トマトのセレクト館はどうかしら?」

 

川 ゚ -゚)「セレクト館?」

 

ξ゚⊿゚)ξσ「ええ。道路を挟んだ本館の向かいにあるの。」

 

30:名無しさん:2023/09/30(土) 06:09:46 ID:gV7/vsQY0

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川 ゚ -゚)「なんだか…さっきの5階建ての建物より爽やかな雰囲気じゃないか?」

 

ξ゚⊿゚)ξ「セレクト館は新作生地を中心に取り扱うお店よ。通路が広いし、ここは以前は他のお店だったからそう感じるんじゃないかしら。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「ここの目玉は、何といっても入り口にあるプリント生地。ネットでもあまり見かけないような柄が置かれているの。1メーター1000~1500円以上がベースで激安!という感じではないけど、一般のお店だともっと高く売ってるわ。」

 

ξ*゚⊿゚)ξ「でもここで好きな柄を買ってワンピースやスカートを縫うと、楽しい服が出来上がるわ。セレクト館だけあって、ぱっと見のセンスで決めても良い感じになるのが特長ね。」

 

川;゚ -゚)「おいおい、私が欲しいのはレースなんだが…」

 

ξ゚⊿゚)ξ「安心して。2階にレースコーナーがあるわ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「可愛いのになんか安いレースが沢山置いてあるわ。」

 

川 ゚ -゚)「そうか。なら早速行こうじゃないか。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「ええ。」

 

 

川;゚ -゚)「なんだこれ…凄く可愛いじゃないか!!」ワナワナ

 

ξ゚⊿゚)ξノシ「好きなの選んで買っておいて。私は部屋着ワンピが欲しいから下のプリント生地を見てくるわ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ(単品で見て可愛いレースって、自分の服には取り入れにくいのよね…昔買ったの未だに活用出来てないわ…)

 

31:名無しさん:2023/09/30(土) 06:11:08 ID:gV7/vsQY0

川*゚ -゚)「ツン。買い終わったぞ。全部で10mだ。」ホックホク!

 

ξ゚⊿゚)ξ「まあ、ドレスならそのくらいいくわよね。じゃあ、割り勘で配送手続きしましょうか。」

 

川 ゚ -゚)「配送?」

 

ξ゚⊿゚)ξ「買った荷物を自宅に送るのよ。近隣県だと結構な量でも1000円いかないくらいで送れるわ。さっきの生地も重いでしょう?だからまとめて送っちゃうの。」

※数年前の送料情報です

 

ξ゚⊿゚)ξ「届け先はクーの家で良いかしら?着いたら私の分を取りに行くわ。」

 

川 ゚ -゚)「分かった。」

 

 

【日暮里駅】

 

ξ゚⊿゚)ξ「さて、手ぶらになったしどこか寄り道でもする?」

 

川 ゚ -゚)q「そうだな…。あっ…!」

 

ヾ川;゚ -゚)ノシ「大変だツン!超悪役令嬢には装飾品も必要だ!!」

 

川;゚ -゚)「公爵家や侯爵家の超イケメン達がよこしてくる100カラット越えの指輪を用意しなくては!!!」

 

川;゚ -゚)「あとお腹すいた!!!」ボリュュュユユユ!!!

 

32:名無しさん:2023/09/30(土) 06:12:25 ID:gV7/vsQY0

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【蔵前駅】

 

川;゚ -゚)「おい、この状態の腹で20分近くも電車に乗せるなんて酷いじゃないか!」ブキャポリュウゥゥ!!

 

川;゚ -゚)「しかもなんだここ、初めて来る駅だぞ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「装飾品を作るんでしょ?だから浅草橋の近くに来たの。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「蔵前は、お洒落カフェが増えていると話題の駅よ。周辺に問屋が多いから、ランチのお店も充実してるの。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「蔵前自体もおもちゃの問屋街らしいんだけど、お洒落な雑貨屋とかのが目立つわね…」

 

ξ゚⊿゚)ξ「さて、どのカフェにしようかしら。」

 

川 ゚ -゚)「いや、リーマンがガツガツ食べるようなとこが良いな…お洒落な店は待ちそうだし。」ビャボンボングゥ!!

 

ξ゚⊿゚)ξσ∏「分かった。ちょっと探してみるわね。」

 

 

【ハンバーグの店 熊】

 

川 ゚ ~゚) ムシャモグムシャモグ

 

ξ゚~゚)ξ モグモグ

 

 

アリガトウゴザイマシター

 

川 ゚ -゚)「ふぅ…美味しかった…。なんかお母さんが小さな子どもが喜ぶような味付けで作ったハンバーグみたいで、反抗期の息子が『もっと大人っぽいのが良い』とかぶーぶー言いそうな味で…美味しかった。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「初めて行ったけど、美味しかったわ。」

 

川 ゚ -゚)「だけどやっぱり社会人の昼食向けの店みたいだから無言でRTAしてしまったな。」

 

33:名無しさん:2023/09/30(土) 06:13:27 ID:gV7/vsQY0

ξ゚⊿゚)ξ「早速だけど、もう行く?」

 

川 ゚ -゚)「ああ。ところで浅草橋って?」

 

ξ゚⊿゚)ξ「伝統人形やおもちゃ、そして装飾関係の問屋が集まる場所よ。有名なリボン屋さんのショールームなんかもあるわ。ちなみに、秋葉原の隣の駅よ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「ハンクラーからは、バッグの金具やビーズ屋が集まる場所として認識されてるわ。」

※「手作りする人」のネットスラング

 

ξ゚⊿゚)ξ「それで、100カラット越えの指輪となると、ビーズ屋のクリスタルビーズが良いんじゃないかしら。本物じゃまず手に入らないだろうし。」

 

川 ゚ -゚)「なるほどビーズ屋か…。パールのネックレスの材料なんかも手に入りそうだな。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「そうね。」

 

34:名無しさん:2023/09/30(土) 06:14:33 ID:gV7/vsQY0

【貴ワ製作所】

 

川;゚ -゚)「なんだここ!デパート1階の化粧品売り場みたいで怖い!!」

 

川;゚ -゚)「お洒落な若い女性がいっぱいで怖い!!」

 

ξ゚⊿゚)ξ「浅草橋に来たおしゃPハンクラーは、基本ここに収容されていくの。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「大手だけあってビーズの品質が良いわ。金具と合わせてゆっくり選びなさい。」

 

川;゚ -゚)「分かった。」ビクビク

 

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川 ゚ -゚)「指輪用の材料は買ったけど…せっかくならフェイクパールは安い店で見てみたいな。」テクテク

 

ξ゚⊿゚)ξ「それならいくつか回ってみましょ。」テクテク

 

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川 ゚ -゚)「すっごい安いけど品質微妙なのと、そこそこ安くてまあまあ品質なのとかあるな。どちらもさっきの店と比べると質が落ちる感じだが…」

 

ξ゚⊿゚)ξ「どこまで妥協できるかとか、気に入った色やデザインであるかよね。そういう目利きをして作った物を売ってる人達は凄いと思うわ…。どれにするか決まった?」

 

川 ゚ -゚)「ああ。」

 

35:名無しさん:2023/09/30(土) 06:15:50 ID:gV7/vsQY0

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川 ゚ -゚)「今日は案内してくれてありがとう。おかげ様で理想通りの物が作れそうだ。」テクテク

 

ξ゚ー゚)ξ「それは良かった。頑張ってね。」テクテク

 

川 ゚ -゚)「モチのロンだ。」

 

川 ゚ -゚)「それにしても、東京の東側には色々な物があるな。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「ええ。この隅田川沿いには他にも食器類を扱うかっぱ橋なんかもあるわ。この辺りの問屋は、東京六大問屋と言われているそうなの。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「だけど…今では一般人も気兼ねなく利用できる反面、個人店の小売りは激減したし製造元と小売りがネット上で取引出来るようにもなったりして、卸売り業は難しい立場かもしれないわね。詳しくはないけれど…」

 

川 ゚ -゚)「沢山の品を実際に見て吟味できる貴重な場所だから、いつまでもなくならないでほしいものだな。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「ええ。」

 

36:名無しさん:2023/09/30(土) 06:16:49 ID:gV7/vsQY0

川 ゚ -゚)「うーん。この辺りは隅田川を散歩しながら買い物も出来るし、一日のうちに何ヶ所も問屋を回れるし、素晴らしい場所だな。」

 

川 ゚ -゚)「何より昭和や平成の風情を感じられる。東京のくせに商品は全てがトレンドな訳でもなく、時代遅れだなぁと思う物も普通に置かれていて。」

 

川 ゚ -゚)「その中から光るものを発掘していく緩さがたまらない。」

 

川*^ー^)「良い場所へ連れてきてくれて、ありがとう。ははっ!やはり持つべきものは手芸同好会時代からの友だな!」

 

ξ*゚ー゚)ξ「ふふん。」

 

川 ゚ -゚)、「…せっかく女二人なのに、可愛いカフェにも行かずに悪かったな。もう一つ我儘を言わせてもらえるなら…さくっとどこかに寄らないか?」

 

川 ゚ -゚)「気が抜けて疲れたのか、甘いのもしょっぱいのも食べたくて酒も飲みたい気分なんだ。」

 

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、ちょっと歩いて秋葉原のビフキチでも寄る?」

 

川 ゚ー゚)「ああ。ありがとう。」

 

37:名無しさん:2023/09/30(土) 06:17:31 ID:gV7/vsQY0

~1ヶ月後~

 

川*゚ -゚)「ツン!見てくれっ、ついにドレスが出来たんだ!敷布も!」ゴージャス~

 

ξ*゚⊿゚)ξ「あら!良い感じに仕上がったじゃない!」

 

川*>ー<)「ふふん。これで会場の視線は全て私のモノさっ!」

 

ξ゚⊿゚)ξ「それで、小説の方はもう書き終わったの?」

 

川 ゚ -゚)「えっ…?」

 

 

川 ゚ -゚)「…」

 

 

 

 

 

川 ゚ -゚)「まだ一行も書いてないや。」

 

 

 

 

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