ブーン系
食と旅の秋祭り
36
高岡ハインリッヒは殺せないようです
1:名無しさん:2023/10/09(月) 00:39:54 ID:4mS4buKI0
从 ゚∀从「いや、これは本当に美味しいですね」
(,,^д^)「ギコハハハハハハ!ここの店主とはツーカーでさ。本場で修行した本格派なんだよ!」
(,, ゚Д゚)「特にこの魯肉飯(ルーローハン)は絶品だよ!!」
从* ゚~从「うんうん!全くもってその通り!」
从* ゚∀从「炊き立ての白いご飯にじっくりと煮込んだ甘辛い豚バラ肉と絡みあって何杯でもイケますね!!」
从* ゚∀从「いや、もうこれはかっこまないと無作法と言うもの。ちょっと失礼しますネ!」
从* ゚д从 カッ!カッ!カッ!カッ!カッ!
2:名無しさん:2023/10/09(月) 00:41:03 ID:4mS4buKI0
从* ゚∀从「は~~~うましうまし」
从* ゚∀从y-
つ□カチン!シュボッ!
(;,, ゚Д゚)「いやいやお前ぇよお~。食ってすぐに煙草吸うなよな~~」
从* ゚∀从「お前さん。今いくつだい?」
(,, ゚Д゚)「あ?歳か?22~~」
(*,, ゚Д゚)「あ!でも、明日誕生日でさぁ。23歳なるんだよな。」
3:名無しさん:2023/10/09(月) 00:42:03 ID:4mS4buKI0
从 ゚∀从「ならねぇな」
(,, ゚Д゚)「………は?」
从 ゚∀从「猫田ギコ君。お前さんがDVで殺した彼女は永遠に22のままだ。可哀想だよな?」
从 ゚∀从「え?もしかして、自分だけ歳月を重ねることができるって思ってるの?マジ?世間知らずだね~~~」
(#,, ゚Д゚)「テメェッ!!誰だよ!!」
从 ゚∀从「マッチングアプリなんて使わない方がいいぞ」
从 ゚∀从「特に【殺される理由】がある奴はな。イイ時代だよな?標的の接触が簡単にできる」
4:名無しさん:2023/10/09(月) 00:43:07 ID:4mS4buKI0
カチン。
ライターの蓋が閉じた音が、ギコの頭に鳴り響いた。
水面へ投入れた石が作る波紋の様に音は永遠に終わらず完結しない。
真っ暗な闇の中に沈む様な錯覚。
闇の中から声がする。
从 ∀从「お前はこれから家に帰り遺書を書く」
5:名無しさん:2023/10/09(月) 00:46:07 ID:4mS4buKI0
从 ∀从「遺書を書いたら駅に行き列車に飛び込め」
从 ∀从「無残に殺された彼女の分迄、苦しんで死ね」
(,, ゚Д゚)
(,, ゚Д゚)スッ
男は虚な目をして、店から出て行った。
翌日のニュースで男が特急列車に飛び込み自殺を図ったことが報じられた。
7:名無しさん:2023/10/09(月) 00:48:45 ID:4mS4buKI0
高岡ハインリッヒは殺せないようです
.
8:名無しさん:2023/10/09(月) 00:49:20 ID:4mS4buKI0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
从 ゚∀从y-~°
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
9:名無しさん:2023/10/09(月) 00:50:11 ID:4mS4buKI0
会議室のプロジェクターに映されているのは茶髪の女だった。映像の中の彼女は、真紅のジッポライターを遊ばせ、煙草を燻らせている。
会議室には複数の男女が映像を見ていた。
やがて、1人の偉そうな男が口火を切った。
(-@∀@)「女の名は高岡ハインリッヒ。金次第で殺人を行う【殺し屋】である」
(-@∀@)「今迄、何人もの人が彼女の手にかかり命を奪われた。分かっているだけで100人はくだらない」
(-@∀@)「彼女こそ稀代の殺人鬼だ」
10:名無しさん:2023/10/09(月) 00:53:07 ID:4mS4buKI0
【+ 】ゞ゚)「…………」
【+ 】ゞ゚)「【催眠術】……それもかなり高度な………」
(-@∀@)「ご明察だ。彼女は催眠術を使い、標的を事故に遭わせたり、自殺させることを得意とする」
(-@∀@)「分析もプロ中のプロなんだな」
(-@∀@)「【怪異使い】と言うのは」
11:名無しさん:2023/10/09(月) 00:55:48 ID:4mS4buKI0
【+ 】ゞ゚)「また仲介役の奴がフカシ言いやがったな?そんな漫画みたいな呼称はよしてくれ」
(-@∀@)「だが、『人ならざる者を使役する』のは本当だろ?でなければ、ここに呼んでいないからな」
(-@∀@)「これ迄、貴方に依頼するよりも前に複数の刺客を放ったが全員返り討ちにあっている。これ以上、被害者を出し続けるわけにはいかないからな」
(-@∀@)「棺桶死オサム殿ッ!!これは【国家の勅命】であるッ!!」
(-@д@)「この国の闇に潜み、無垢で善良な人の未来を喰らう悪鬼羅刹を討ち取るのだッ!!」
12:名無しさん:2023/10/09(月) 00:56:50 ID:4mS4buKI0
【+ 】ゞ゚)=3 フー
【+ 】ゞ゚)「まあ、やるだけのことはやってみますよ」
【+ 】ゞ゚)「この女の情報は他にないのか?」
(-@∀@)「そうだな」
偉そうな男は手元の資料にパラパラとめくり、とあるページで手を止めた。
(-@∀@)「使えるかどうかは分からないが、彼女は『食事』に対するこだわりが強いそうだ」
(-@∀@)「特に『珍しい料理』なんて言うのは必ず口にしないと気がすまないらしい」
13:名無しさん:2023/10/09(月) 00:58:41 ID:4mS4buKI0
【+ 】ゞ゚)「………それなら料理に毒を入れたらいいんじゃあないか?」
(-@∀@)「それなら既に行っている。失敗した。彼女はどうやら耐毒体質で毒が著しく効きにくいようだ」
【+ 】ゞ゚)「………ふーむ……」
【+ 】ゞ゚)「……毒は効かない。また、正攻法も無理。唯一の突破口は食事に対するこだわりだけ。」
【+ 】ゞ゚)「………」
14:名無しさん:2023/10/09(月) 00:59:55 ID:4mS4buKI0
(;-@∀@)「難しいか?」
【+ 】ゞ゚)「いや、大丈夫だ。一つだけ方法がある。アンタ達には舞台設置を協力してくれ」
(-@∀@)「なんでも言ってくれ」
【+ 】ゞ゚)「手始めに、」
【+ 】ゞ^)「【ズアオホオジロ】を用意して欲しい」
15:名無しさん:2023/10/09(月) 01:01:25 ID:4mS4buKI0
从 ゚∀从白「……はい……はい…分かりました。では、しばらくは依頼もないので大人しくしています」
从 ゚∀从ピッ
从* ゚∀从「ふふっ。久々に何も考えずゆっくり過ごせるな。まあ、明日からトレーニングで山に篭るが……」
从* ゚∀从「だから今日だけッ!今日だけは美味いもんを食うんだッ!!」
从* ゚∀从「早速、街に繰出すとするか」
16:名無しさん:2023/10/09(月) 01:04:22 ID:4mS4buKI0
从 ゚∀从白 スマスマ
从 ゚∀从「この近くにいい店あるかな~~こうビビッ!!って来るものがいいなぁ」
从 ゚∀从「ん?」
ザワザワ
………( ∵)爪'ー`)イ从゚ ー゚ノi、( ^ν^)……
ザワザワ
ハインリッヒの目に止まったのは行列ができている【レストラン】だ。どうやらフランス料理店のようだ。行列は長過ぎず、短過ぎず、人がちょうどよく興味を惹かれるような感じだった。
17:名無しさん:2023/10/09(月) 01:07:01 ID:4mS4buKI0
从 ゚∀从「ふむ。フランス料理って実はあまり食べたことはないんだよな」
从 ゚∀从「いいね!今日はここにしよう」
ーーーーレストラン 厨房内ーーーー
(-@∀@)「バンドワゴン効果……使い古された心理テクニックだが、まんまと引っかかったぞ!」
【+ 】ゞ゚)「さて、それじゃあ作るとするか」
【+ 】ゞ゚)「【禁じられた料理】を。」
18:名無しさん:2023/10/09(月) 01:08:26 ID:4mS4buKI0
ーーーーーレストラン ホール内ーーーーー
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
川 )< ノ>
爪 )
( ν ) ( )ζ( *ζ
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
从; ゚∀从「………」
19:名無しさん:2023/10/09(月) 01:09:56 ID:4mS4buKI0
ハインリッヒが店内に入ると、多くの客がおそらく食事を楽しんでいるのが目に飛び込んできた。
何故、疑問形かと言うと、客の全てが【ナプキンを頭からすっぽり覆うように被っていた】からだ。
だから、客の顔は全然見えない。
ただ、一心不乱に何かを食しているのは雰囲気で分かった。
从; ゚∀从(なんだこれは?凄く【奇妙】だッ!?)
20:名無しさん:2023/10/09(月) 01:10:42 ID:4mS4buKI0
(‘_L’)「お客様。お席にご案内致します」
从; ゚∀从「なあ、この人達はなんで頭からナプキンを被っているんだ?」
(‘_L’)「料理の香りを逃さないためです。皆様、【オルトラン】を召し上がられていらっしゃいます」
从; ゚∀从「オルトラン?初めて聞く料理だ…」
(‘_L’)「ご注文なされますか?お客様」
从 ゚∀从「ああ」
从 ゚∀从「私にもそれを一つ」
21:名無しさん:2023/10/09(月) 01:11:48 ID:4mS4buKI0
ーーーレストラン 厨房内ーーーー
【+ 】ゞ゚)「ズアオホオジロを真っ暗なケースで飼育する」
【+ 】ゞ゚)「この鳥は光の差し込まない空間では延々と餌を食べ続ける習性がある。その習性を利用してズアオホジロを必要以上太らせる」
【+ 】ゞ゚)「丸々と太ったら、今度はブランデー等の酒に生きたまま入れ、酒の中で溺死させる。その後は数日間、酒に漬け込む」
【+ 】ゞ゚)「オルトランの肉や内臓の隅々迄にブランデーの香りと味が馴染んで風味が増す」
22:名無しさん:2023/10/09(月) 01:13:40 ID:4mS4buKI0
【+ 】ゞ゚)「料理の仕込みはこれで完了。後はオーブンで焼くだけ」
【+ 】ゞ゚)「仕込みの過程はどことなくフォアグラ作りに似ているな。その残酷性も。」
【+ 】ゞ゚)「だから、オルトランは【禁じられた料理】と呼ばれている」
【+ 】ゞ゚)「料理ができた。これをハインリッヒへ持っていってくれ。奴が料理を食い始めれば、【怪異】が目覚める」
23:名無しさん:2023/10/09(月) 01:28:10 ID:4mS4buKI0
ーーーーーレストラン ホール内ーーーーー
(‘_L’)「お客様。このナプキンで頭を覆ってください」
ガサガサ从∀从
从 ∀从「これでいいか?」
(‘_L’)「はい。それでは、料理をお持ち致します」
スタッフはハインリッヒに料理を持ってきた。
24:名無しさん:2023/10/09(月) 01:29:23 ID:4mS4buKI0
ズアオホジロの丸焼き=オルトランは香ばしい匂いを漂わせながらハインリッヒのテーブルに置かれた。
(‘_L’)「お客様、オルトランはまず足から胴体部分を一口にお召し上がりください。」
从* ∀从 ガブ・・・ブチュ・・・
ハインリッヒはゆっくりと肉を噛締める。
足から流れ出る肉汁を口の中で転がしながら油の甘味を楽しむ。
25:名無しさん:2023/10/09(月) 01:29:55 ID:4mS4buKI0
次に彼女は胴体を食べる。
肺と胃を噛んだ瞬間、ブランデーで風味付けされた苦みが広がる。だが、嫌な感じはしない。
内臓の苦みと骨と肉と皮と脂肪が合わさり、まるで爆撃機に蹂躙されるかのように重厚な味の層が広がっていく。
26:名無しさん:2023/10/09(月) 01:30:51 ID:4mS4buKI0
…………サアアアアア………
从* ∀从ハッ!
食事に夢中になっていたが、ハインリッヒはとある違和感に気づいた。
テーブルに置かれている蝋燭の火が揺らめき、周りの温度が下がった。
从; ∀从ブワッ
27:名無しさん:2023/10/09(月) 01:31:20 ID:4mS4buKI0
神経を研ぎ澄ませ、耳をすませると、ホール内を【ナニカ】が蠢いているのが感じ取れた。
だが、ナプキンを取って確かめることはできない。
本能が訴えかける。
蠢いている【ナニカ】を見た瞬間、死ぬということが。
28:名無しさん:2023/10/09(月) 01:31:57 ID:4mS4buKI0
ーーーレストラン 厨房内ーーーー
【+ 】ゞ゚)「物心ついた時から俺にはこの世のものではない【怪異】が見えた。そして、それを操ることも。」
【+ 】ゞ゚)「怪異はそれそのものに力はなく、『曰く付きのもの』に宿ることで、初めて力を発揮することができる」
(-@∀@)「今回はそれがオルトランと云うことか?」
【+ 】ゞ゚)「ああ。オルトランを食すとき、なぜナプキンを被るか分かるか?」」
29:名無しさん:2023/10/09(月) 01:34:28 ID:4mS4buKI0
(-@∀@)「?香りを逃さないためだろ?」
【+ 】ゞ゚)「それも正解。だが、行為にはもう一つ意味があるんだ」
【+ 】ゞ゚)「オルトランの調理法はあまり残酷だ。だから、【神】にオルトランを食している姿を見られない様に顔を隠しているのさ」
(;-@∀@)「まさか、今回の怪異は、」
【+ 】ゞ^)「ホールを彷徨いている怪異に見られても、そして、ハインリッヒが怪異を見ても、アイツは詰むってことだ」
30:名無しさん:2023/10/09(月) 01:35:45 ID:4mS4buKI0
ーーーーーレストラン ホール内ーーーーー
从; ∀从ブツブツ……ブツブツ……
ハインリッヒは蝋燭の火を見つめながら、ひたすら何か呟いている。
ハインリッヒの周りの空気がどんどん冷えていく。
【怪異】は明らかにハインリッヒを標的にしていた。
ぴたり。【怪異】はハインリッヒのすぐ側で動きを止めた。
31:名無しさん:2023/10/09(月) 01:36:38 ID:4mS4buKI0
ハインリッヒは気配で分かった。きっと、彼女の顔を覗き込もうとしている。
从; ∀从(クソッ……ハメられた……私のことを『見てるヤツ』と目を合わせたら、きっと死ぬ)
从; ∀从(だが、逆に考えるんだ)
从 ∀从(あとはもう神のみぞ知るってやつだ)
从 ゚∀从パサリ
ハインリッヒは自らナプキンを取った。
32:名無しさん:2023/10/09(月) 01:37:18 ID:4mS4buKI0
オォオオオォオオオオオオオオォオオオ
● ●
●●● ●●●
●●○●● ●●○●●
●●● ●●●
● ●
オォオオオォオオオオオオオオォオオオ
33:名無しさん:2023/10/09(月) 01:38:43 ID:4mS4buKI0
┣゙┣゙┣゙ ( ●) 从∀ ゚从 ┣゙┣゙┣゙
フッ从∀ ゚从
34:名無しさん:2023/10/09(月) 01:39:13 ID:4mS4buKI0
从 ゚∀从「……………」
スッ从 ゚∀从ノシ「チェックで」
35:名無しさん:2023/10/09(月) 01:39:58 ID:4mS4buKI0
ーーーレストラン 厨房内ーーーー
(;-@∀@)「クソッ!!何故だ!?この計画は完璧だったはずだ!何故ハインリッヒは死んでないッ!!」
【+ 】ゞ゚)「………」
【+ 】ゞ゚)「ここには数十台のカメラを仕込んでたよな?映像を確認しよう」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
从; ∀从ブツブツ……ブツブツ……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
36:名無しさん:2023/10/09(月) 01:40:25 ID:4mS4buKI0
【+ 】ゞ゚)「フィレンクト。貴方は読唇術が使えたよな?ハインリッヒが何を言っているか」
(‘_L’)(…な……を……めは……わ…し)
【+ 】ゞ゚)「フィレンクト。ハインリッヒはなんて言っているんだ?」
(‘_L’)「彼女は言っています」
37:名無しさん:2023/10/09(月) 01:40:50 ID:4mS4buKI0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
从; ∀从「ナプキンを取ったとき、私の目は見えない。私を見つめるものも同じように私を見ることはできない」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
38:名無しさん:2023/10/09(月) 01:41:48 ID:4mS4buKI0
【+ 】;ゞ゚)「しまった!蝋燭の火かッ!?」
(;-@∀@)「いや待てッ!ハインリッヒの催眠術は【怪異】にも効くと言うのかッ!!」
【+ 】;ゞ゚)「ふふふ……」
【+ 】;ゞ゚)「高岡ハインリッヒは殺せない・・・か・・・」
39:名無しさん:2023/10/09(月) 01:42:24 ID:4mS4buKI0
从 ゚∀从「…………」
从 ゚∀从「アレ美味かったなーー。」
从* ゚∀从「また食べたいな」
40:名無しさん:2023/10/09(月) 01:42:52 ID:4mS4buKI0
高岡ハインリッヒは殺せないようです
【完結】
.
41:名無しさん:2023/10/09(月) 01:47:58 ID:4mS4buKI0
【参考】
禁じられた料理、神から隠れて食べる料理”オルトラン” 僕らの知らない物語
https://www.youtube.com/watch?v=1uvVB0LP50Y
【閲覧注意】残酷すぎて禁止された料理。オルトラン ぽかり田中/CEO