ブーン系
食と旅の秋祭り
34
( ^ω^)ガキノモリ事件のようです
──翌日
( <●><●>)「ふんっ。おはようございます」
( ^ω^)「おはようだお!」
「おはよーござまーす!」
「おはようだお!」
爪'ー`)y‐「あら~!おはようさん♪」
( ^ω^)「おはようだお!」
「ひぃっ。お、おは、よ、ござっまっ」
「おはようだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンくん、おはよう!」
( ^ω^)「おはようだお!」
(´・ω・`)「やあ、おはよう、内藤くん」
( ^ω^)「おはようだお!」
( ^ω^)「ええと、ワカッテマスくん?」
(;´・ω・`)「クラスメイトで隣の席で君の友達な諸本くん!」
( ^ω^)「ああ!オカルトが好きな僕の友達!」
(´・ω・`)「もう。それでいいよ、忘れん坊の内藤くん!」
.
79:名無しさん:2023/10/08(日) 20:34:35 ID:lrpTdIvI0
( ^ω^)「昨日はどうだったお?」
(´・ω・`)「アカトキミタマヤ町の呪いの話と
ガキノモリ事件のお話しをしてもらったよ」
(´・ω・`)「学校では教えてくれないことばっかりだった」
( ^ω^)「おお!これで諸本くんも僕等とおんなじ、暁廟町の一員だおね!」
(*´・ω・`)「ほんと!?」
(*´・ω・`)(僕等とおんなじ、暁廟町の一員……いい言葉だなぁ)
(´・ω・`)「内藤くん、今日は宿題ちゃんと持ってきた?」
( ^ω^)「抜かりないお!」
(´・ω・`)「じゃあ、進路希望の用紙は書いてきた?
締め切りはかなり先だけど、忘れない内に提出しないと忘れちゃうよ?」
( ^ω^)「持ってきたお!」
(´・ω・`)「えらいえらい!第二少年少女学校ってさ、
初等部と中等部と高等部、そのまんま上がれるから
『第一希望:高等部進学』以外ないよねー」
ビュオッ!!
( ^ω^)「ああっ!僕の進路が風でっ」
(;´・ω・`)「こんなに寒いのになんで窓が開いてるの!?」
(;´・ω・`)「ああっ!内藤くんの未来が窓から飛んでいく!」
(;´・ω・`)っ(手を伸ばせば届く──)
.
80:名無しさん:2023/10/08(日) 20:34:59 ID:lrpTdIvI0
ヒラッ
───────────────
【進路希望】
氏名:内藤ユウスケ
第一希望:就職
第二希望:なし
第三希望:なし
───────────────
(´・ω・`)「えっ……」
ヒュウゥゥゥ...
( ^ω^)「あーあ。飛んでっちゃったお」
(´・ω・`)(見間違い、だよね?)
(´・ω・`)(内藤くんの第一希望)
(´・ω・`)(違うよね?)
(´・ω・`)(高等部でも一緒だよね?)
( ^ω^)「おーん。あとで新しい用紙もらってくるお」
(´・ω・`)「う、うん……」
【こちらは始業の放送です】
【これより授業が始まります。生徒はテレビの画面から目を離さないでください】
【日直係は教卓の上に置いてあるテレビの電源を入れてください】
プツンッ...
ジジッ...
.
81:名無しさん:2023/10/08(日) 20:35:25 ID:lrpTdIvI0
【('A`)】「三年生の皆さん、おはようございます」
「先生、おはようございます」
「先生、おはようございます」
「全員、起立」
「画面の中の先生に礼」
「全員、着席」
【('A`)】「三年生は国語の授業です。
教科書916ページを開いてください」
「先生、よろしくお願いします」
「先生、よろしくお願いします」
( ^ω^)「先生、よろしくお願いします」
(´・ω・`)「……先生、よろしくお願いします」
ξ゚⊿゚)ξ「先生、よろしくお願いします」
キーンコーン
カーンコーン
「全員、起立」
「画面の中の先生に礼」
「全員、着席」
「先生、ありがとうございました」
「先生、ありがとうございました」
【こちらは終業の放送です】
【日直係は教卓の上に置いてあるテレビの電源を切ってください】
プツンッ...
.
82:名無しさん:2023/10/08(日) 20:36:19 ID:lrpTdIvI0
──給食
「先生、いただきます」
「先生、いただきます」
( ^ω^) パラッ
(´・ω・`)(また給食にお塩かけてる)
(´・ω・`)「それって君の制約?」
( ^ω^)「おっ?」
ξ゚⊿゚)ξ「こーら。はしたないわよ、他所様の呪いの詮索なんて」
(;´・ω・`)「えっ!?内藤くん、ごめんね!!」
( ^ω^)「かまわないお。僕の制約は『一日一回、おうちの歌を歌うこと』だお!
祝福はええと、うんと、忘れちゃったお!」
(´・ω・`)「待って待って!お塩は!?」
( ^ω^)「これはただのお塩だお!」
( ^ω^) パラッ
(´・ω・`)「そんなに美味しいの?」
コトッ
( ^ω^)「おっ?」
(´・ω・`)「僕にも一匙くださいな」
( ^ω^)
( ^ω^)「これはダメだお」
(´・ω・`)「ダメなの?」
( ^ω^)「ダメだお」
(´・ω・`)「それは残念」
.
83:名無しさん:2023/10/08(日) 20:36:49 ID:lrpTdIvI0
( ^ω^) パラッ
ξ゚⊿゚)ξ「しょっぱくしすぎはダメよ?体によくないわ」
ξ゚⊿゚)ξ「子供の頃からやめなさいって言ってるのに、
ちっとも聞きやしないんだから!」
( ^ω^)「今日中にこの瓶からっぽにしないと、お父さんに怒られるんだお」
( ^ω^)「週に一回、瓶の中身が補充されるんだお。
次の週までに食べてからっぽにしないと、
こっぴどくお仕置きされちゃうんだお」
(´・ω・`)(そういえば内藤くんも『サイコ』だって言ってた)
(´・ω・`)(サイコの子がいろいろ言われるのは、どのおうちでも変わらないんだね)
ξ゚⊿゚)ξ ポタッ
(´・ω・`)「ちなみに生徒会長ちゃんが垂らしてるのは……」
ξ゚⊿゚)ξ「あげないわよ?この赤い液体は体を毒に慣らす為の毒なの。
一滴でもアンタが食べたら一瞬でオダブツなんだから!」
(;´・ω・`)「ひゃあ!いらないです!!」
──お昼休み
( ^ω^)「おーい!フォックスくーん!」
爪'ー`)y‐「ブーンちゃあん♪こっちだぜー!」
(´・ω・`)「あっ、こんにちは!よろしくお願いします!」
爪;'ー`)y‐「あらららら~?ショボンちゃん~?」
.
84:名無しさん:2023/10/08(日) 20:37:21 ID:lrpTdIvI0
( ^ω^)「フォックスくん、元気ないおね?
なんかよくないことあったんだお?」
爪'ー`)y‐「ブーンちゅわあん、お前さんねぇ……。
昨日の帰りに俺様とお話ししたこと、
すっかり忘れちまってるでしょ~?」
( ^ω^)「覚えてるお!ショボンくんもお手伝いしてくれるんだお!」
爪'ー`)y‐「やぁだ、こわーい!いくつになっても
俺様気質なところは変わらねぇもんね~」
爪'ー`)y‐ サラッ
(´・ω・`)(あっ)
(´・ω・`)(長い髪をかき上げたときに見えた)
(´・ω・`)(フォックスくんの、片耳)
(´・ω・`)(桃色のリボンが巻いてある)
(´・ω・`)「あのう、アイドルくん。その荷物はいったい?」
爪'ー`)y‐「これ~?キャラクター攻略の必須アイテムだぜぇ♪」
( ^ω^)「今日はどの子のところに行くんだお?」
爪'ー`)y‐「ひとりぼっちがだぁい嫌いでー、
ぬいぐるみとパイがだぁい好きでー、
みんなのかわいい弟くーん、これってだーれだ?」
( ^ω^)「フォックスくん!」
爪'ー`)y‐「ちっがぁう!!」
.
85:名無しさん:2023/10/08(日) 20:37:43 ID:lrpTdIvI0
──保健室
ボソボソ
ボソボソ
「今日も世界は嫌味なくらい平和だね、ディくん」
「そうだね、どうせ世界のくくりにボクは入ってないよ」
「今日もなんにもなくて退屈だよ、ディくん」
「分かる分かる、キミはボクとおんなじだ。
それって惨めで哀れってことだよ、素敵だね」
ボソボソ
ボソボソ
爪'ー`)y‐「とうちゃーく♪」
( ^ω^)「保健室!」
(´・ω・`)(そういえば噂で聞いたっけ)
(´・ω・`)(『被害者の中にひとり、保健室登校の子がいる』)
(´・ω・`)(『いつも傷だらけの継ぎ接ぎぬいぐるみに話しかけてる』)
ガラガラ
爪'ー`)y‐「おじゃましまーす♪」
(´・ω・`)「うわっ。消毒液の匂い……」
( ^ω^)「いいにおいだおー!」
爪;'ー`)y‐「ちょっと暖房ききすぎじゃなぁい?
こうも暑いと汗で化粧が落ちちまうぜ……」
( ^ω^)「フォックスくんはお化粧ないと別人になるんだお!」
(;´・ω・`)b「内藤くん!シィーッ!!」
.
86:名無しさん:2023/10/08(日) 20:38:06 ID:lrpTdIvI0
爪;'ー`)y‐「さらっと俺様の秘密バラさねーでちょおだい!?」
( ^ω^)「おっ?それが悪いとは言ってないお?」
爪;'ー`)y‐「もうやーだーこの子!善悪の区別ついてねーんだから!」
( ^ω^)「ちょっと暖房を消してくるお!」
爪'ー`)y‐「そりゃあいい考えね~。保健室の先生を見つけて、
暖房許可用紙を貰って、自分の名前を記入して、担任の署名をもらって、
また保健室先生を見つけて、許可証を貰ってこなくっちゃね~」
(;´・ω・`)「う゛ー、こんな真冬に袖まくりすることになるだなんて」
( ^ω^)「おーん……暑いおー……」
(;´・ω・`)「内藤くんも腕まくろまくろ!」
( ^ω^)「うーん、僕は我慢するおー」
爪'ー`)y‐「俺様も我慢するぜ!オシャレは我慢からってね!」
(;´・ω・`)「?」
( ^ω^)「あの子はどこにいるんだお?」
爪'ー`)y‐「ん~?床も壁も天井もカーテンも真っ白で、
机と椅子と授業用のテレビしかない部屋かしら~?」
(´・ω・`)「綺麗なお部屋ですね?」
爪'ー`)y‐「他の生徒には『お仕置き部屋』って呼ばれてるぜ」
爪'ー`)y‐「部屋の真ん中に白くて大きなカーテンが引かれてるでしょお?」
爪'ー`)y‐「普段、保健室はこれで真っ二つの空間に区切られてるんだ。
カーテンのこっち側が治療室用、カーテンの向こう側が……」
シャッ!!
爪'ー`)y‐「保健室登校学習室用」
(; _ )「ひぃぃぃぃぃ……!!」
.
87:名無しさん:2023/10/08(日) 20:38:33 ID:lrpTdIvI0
ガタンッ
ドサッ!!
爪'ー`)y‐「あらあら大丈夫、ヒッキーちゃん?
派手にすっ転んじまって、まあ」
(-_-)「終わりだよ、ディくん。フォックスくんが来たよ」ボソボソ
(-_-)「そうだよ、静かで穏やかな保健室の時間はおしまい」ボソボソ
爪'ー`)y‐「そんなこと言わないでっ♪
俺様こそ『静か』と『穏やか』を擬人化したようなもんでしょ~?」
(-_-)「ねぇ、フォックスくんがなんかほざいてるよ。
ボクをイジメに来たのかな、それとも眩しさで目を潰しに?」ボソボソ
(´・ω・`)(『ディくん』?ぬいぐるみの名前?)
(´・ω・`)(ボロボロでツギハギのネコのぬいぐるみに内緒話してる……)
(-_-)
(´・ω・`)(『ヒキコモリくん』、だよね?)
(´・ω・`)(大丈夫かな?顔色が真っ青だよ。目の下の隈もひどい。
足だってふらついて、いまにも倒れちゃいそう)
(´・ω・`)(なんかアイドルくんが言ってた印象と違うような?)
(-_-)「そうだね、イジメにきたなんて思うのはおこがましいよね」オソボソ
(-_-)「ボクの存在なんて、アナタ達の光り輝く素晴らしい人生の中では、
そのへんに転がる干からびたミミズとおんなじなんだから」ボソボソ
(-_-)「はやくひとりに戻りたいな。
ディくんもそう思うよね、そうだよね」ボソボソ
(´・ω・`)「!」
(´・ω・`)(見えてしまった)
(´・ω・`)(袖をまくっている、ヒキコモリくんの腕)
(´・ω・`)(なんであんなにたくさん絆創膏が?)
.
88:名無しさん:2023/10/08(日) 20:39:24 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)(そういえば生徒会長ちゃんが言ってた。
『みんな血まみれだった。両腕が傷だらけだった』)
(´・ω・`)(ひょっとして『被害者』みんなの腕に、傷跡が残ってるの……?)
(-_-)「ごめんよ、ボクはひとりじゃなかったね。
ディくんはいつだってそばにいてくれたんだから」ボソボソ
(-_-)「ボクの素敵なオトモダチ。
名前も言葉も体温もない、ボクを嫌いになることもない」
( ^ω^)
(-_-)
爪'ー`)y‐
シュルッ...
(´・ω・`)(やっぱりヒキコモリくんにもあるんだ)
(´・ω・`)(ブーンくんとヒキコモリくんとアイドルくんの、
三人の指と指に結ばれた、僕にだけ見える白いリボン)
(´・ω・`)(ヒキコモリくんの手首に巻かれた、緑のリボン)
爪'ー`)y‐「美しいフォックスくんなら怖くないでしょお?」
(-_-)「は?顔面がいい人は眩しいから怖いよ。
この足元の線からこっちに来ないでね」
爪'ー`)y‐「くそっ!俺様が美しすぎたせいで!」
( ^ω^)「じゃあ、僕ならどうだお?
えっとね、元気なブーンくんだお!」
(´・ω・`)「あっ、はじめまして!元気なブーンくんの友達の諸本ですっ」
(; _ )「あひぃぃぃぃぃ……!!」
ガタンッ
ガタンッ
.
89:名無しさん:2023/10/08(日) 20:39:45 ID:lrpTdIvI0
爪'ー`)y‐「あれまあ、机の下に潜り込んじまったわね」
( ^ω^)「ヒッキーくん、小動物みたいだお!」
(;´・ω・`)「僕のせいかな?驚かせちゃったかな?」
爪'ー`)y‐「もしもーし、ヒッキーちゃーん?
俺様達ね、遊びに来たんじゃねぇのよ~?」
(-_-)「そうだよね、分かってた。
ボクたちオトモダチじゃないもんね」
(-_-)「ボクたちはおんなじ『被害者』だもんね」
( ^ω^)「いまガキノモリ事件について調べてるんだお!」
(´・ω・`)「あのう!覚えてることを教えてくれませんか!」
(-_-)
(-_-)「なんで……いまさら……」
(-_-)
(-_-)「帰って……」
(-_-)「帰ってよ……」
(-_-)「なんなんだろうね、ディくん……。
珍しくみんなが会いに来てくれたと思ったのに、
勝手に期待させておいて、なんなんだろうね……」ボソボソ
(-_-)「そっとしておいてよ……。
ボクのことなんて、ほっておいてよ……」ボソボソ
( ^ω^)「また机の下に引きこもっちゃったお」
爪'ー`)y‐「ヒッキーちゃん、出ておいで~?」
.
90:名無しさん:2023/10/08(日) 20:40:14 ID:lrpTdIvI0
爪'ー`)y‐「お前さんのために買ってきた、
あまーいストロベリーパイがあるぜ~?
ブルベリーパイもあるわよ~?」
(´・ω・`)「まさかあれが攻略アイテム?」
( ^ω^)「負けてられないお!ヒッキーくん、
僕のところに手紙と箱が届いたんだおー!」
(;´・ω・`)「わー!!内藤くん、それは逆効果!!」
(-_-)「パイ……?」
(-_-) モゾモゾ
爪'ー`)y‐「よーしよしよし、出てきたわね~?」
(-_-)「ひぃっ!!眩しい!!顔を近づけないでっ!!」
爪'ー`)y‐「まあまあ暴れなさんな。ちょっと耳を貸しなさぁい♪」
爪'ー`)y‐ ボソボソ
(-_-)「!」
(-_-)「それ、本当?」
爪'ー`)y‐「もっちろん♪」
( ^ω^)「おっ!ヒッキーくんがおとなしくなったお!」
(´・ω・`)「どんな内緒話してたの?」
爪'ー`)y‐「とっておきの魔法の言葉よ~♪
『協力してくれたら、とっておきのシナモンスコッチパイをあげるぜ』」
( ^ω^)「いいなー!ヒッキーくんいいなー!」
(´・ω・`)「ふふっ。おっかしいんだ」
爪'ー`)y‐「言ったでしょお?ヒッキーちゃんはね、
ぬいぐるみとパイがだぁい好きなんだぜ」
.
90:名無しさん:2023/10/08(日) 20:40:14 ID:lrpTdIvI0
爪'ー`)y‐「お前さんのために買ってきた、
あまーいストロベリーパイがあるぜ~?
ブルベリーパイもあるわよ~?」
(´・ω・`)「まさかあれが攻略アイテム?」
( ^ω^)「負けてられないお!ヒッキーくん、
僕のところに手紙と箱が届いたんだおー!」
(;´・ω・`)「わー!!内藤くん、それは逆効果!!」
(-_-)「パイ……?」
(-_-) モゾモゾ
爪'ー`)y‐「よーしよしよし、出てきたわね~?」
(-_-)「ひぃっ!!眩しい!!顔を近づけないでっ!!」
爪'ー`)y‐「まあまあ暴れなさんな。ちょっと耳を貸しなさぁい♪」
爪'ー`)y‐ ボソボソ
(-_-)「!」
(-_-)「それ、本当?」
爪'ー`)y‐「もっちろん♪」
( ^ω^)「おっ!ヒッキーくんがおとなしくなったお!」
(´・ω・`)「どんな内緒話してたの?」
爪'ー`)y‐「とっておきの魔法の言葉よ~♪
『協力してくれたら、とっておきのシナモンスコッチパイをあげるぜ』」
( ^ω^)「いいなー!ヒッキーくんいいなー!」
(´・ω・`)「ふふっ。おっかしいんだ」
爪'ー`)y‐「言ったでしょお?ヒッキーちゃんはね、
ぬいぐるみとパイがだぁい好きなんだぜ」
.
91:名無しさん:2023/10/08(日) 20:40:40 ID:lrpTdIvI0
(-_-)「ガキノモリ事件について、覚えてることはほとんどありません」
(-_-)「そうだよね、役に立たなくて笑っちゃうよね、ゴミクズだよね。
さっき食べたパイを返して欲しいならいいよ、
ボクの腹をかっさばいて持っていけばいいんだ」
(-_-)「あの日は、ガキノモリの御社の近くで遊んでました」
(-_-)「お空が真っ赤になって、いつもならみんなおうちに帰るのに、
どうしてですかね、その日だけはガキノモリにいたんです」
(-_-)「みんなでなにかを探していたような気がします。
それはとても大切なものだったような気がします」
(-_-)「いつもは鍵が閉まってる御社の扉が開いていて、
『この中に探し物があるんじゃないか』って、あの子がそう言ったんです」
(-_-)「あの子?」
(-_-)「いったい誰でしょう?」
(-_-)「とっても頭がいい子でした、ボクなんかよりもずっと」
(-_-)「遊びをいっぱい知っていて、ボクたちはいつも楽しかった。
大人達が知らないようなこともいっぱい教えてくれました」
(-_-)「いつもボクたちの中心にいる子でした。
いじめっこはみんな、あの子を怖がって
ボクたちにいじわるするのをやめました」
.
92:名無しさん:2023/10/08(日) 20:41:07 ID:lrpTdIvI0
(-_-)「犯人が怖くて怖くて眠れないとき、
あの子は子守歌を歌ってくれました」
(-_-)「閉じ込められてお腹が空いて死にそうになったとき、
甘くて美味しいパイを、一口ずつ食べさせてくれました」
(-_-)「だからボクたち、死にしませんでした」
(-_-)「ボクたちがどうすればいいのか、なにを言えばいいのか、
なんもかんも、その子の言うとおりにすれば大丈夫でした」
(-_-)「『告白します』」
(-_-)「『僕達はあの事件の被害者です』」
爪'ー`)y‐
( ^ω^)「!」
(´・ω・`)「!」
(´・ω・`)(あの文章を考えた子!?)
(-_-)「あの子は誰でしょう?」
(-_-)『影くん』?『アイドルくん』?『ヒキコモリくん』?
『優等生くん』?『問題児ちゃん』?……違いますね」
(-_-)「ボクらの他に、もう一人……」
(-_-)「もう一人……」
(-_-)「誰か……」
(-_-)「ニュッ、くん?」
.
93:名無しさん:2023/10/08(日) 20:41:42 ID:lrpTdIvI0
( _ )「あ゛っ」
( _ )「あ゛っ、あ゛っ、あ゛っ」
( _ )「あ゛ー……?あ゛あ゛あー……?」
(´・ω・`)「待って、様子がおかしい!」
( ^ω^)「頭が痛いのかお?」
爪'ー`)y‐「ヒッキーくん」
( _ )「あ……?」
( _ )「あは……」
爪'ー`)y‐「大丈夫か?」
(* _ )「あは、あはは!」
(* _ )「あはははははっ!ははっ!」
(* _ )「あははははははははははははは!!!」
(* _ )「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ
ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
(* _ )「お兄ちゃん、だぁれ?」
.
94:名無しさん:2023/10/08(日) 20:42:31 ID:lrpTdIvI0
(:´・ω・`)「はっ?」
(* _ )「おともだちかな?いじめっこかな?」
爪'ー`)y‐「オトモダチ~♡」
(* _ )「おともだちー!」
(* _ )「ひゃは、よかった!おともだちなら、いっしょにいられるね!」
(* _ )「この子はね、ボクのいっちばんのおともだち!」
爪'ー`)y‐「知ってるぜ。ぬいぐるみのディくんでしょお?」
(* _ )「ねぇ、お兄ちゃん。この子ともおともだちに
なってくれるよね?だよね?ありがとー!」
爪'ー`)y‐「もっちろんよ♪」
(* _ )「お兄ちゃん、おなまえは?」
爪'ー`)y‐「フォックスくんだぜ」
(* _ )「ほっくすくん、うれしいでしょ?
こんなに可愛いボクと、おともだちになれて!」
(* _ )「みんなにジマンしていいよー!」
爪'ー`)y‐「うんうん♪いっぱい自慢しちゃうわよ~!」
( ^ω^)「僕はブーンくんだお!」
(* _ )「おともだちかな?いじめっこかな?」
( ^ω^)「オトモダチだお!」
(´・ω・`)「いったいどうなってるの?
さっきのヒキコモリくんとはまるで別人みたい」
爪'ー`)y‐「ほのぼのするでしょお?
みんな弟みたいに可愛がってるんだぜ」
.
95:名無しさん:2023/10/08(日) 20:42:59 ID:lrpTdIvI0
(* _ )「お兄ちゃんは?」
(´・ω・`)「えっ?」
(* _ )「おともだちかな?いじめっこかな?」
(;´・ω・`)「ええと、僕は、その」
(;´・ω・`)(友達になれたら嬉しいけどいいのかな?)
(;´・ω・`)(おかしなことになってるときに、友達になっても大丈夫かな?)
(;´・ω・`)(ヒキコモリくん、あとで後悔しないかな?)
(;´・ω・`)「まだ、です」
(* _ )「えっ」
(* _ )「おともだちじゃないんだ」
(* _ )「それじゃあ……」
(* _ )「いじめっこだね?」
(* _ )「わるいやつ、だね?」
(* _ )っ「ひゃは、ははは」
(´・ω・`)「はい?」
ギュウゥゥゥ...
(;´・ω・`)「ぐぇっ!?」
(;´・ω・`)(なんで首を……)
(;´ ω `)(くるしっ……)
爪'ー`)y‐「ヒッキーちゃん!」
(* _ )「いじめっこは、しんじゃえ」
ギュウゥゥゥ...
.
96:名無しさん:2023/10/08(日) 20:43:23 ID:lrpTdIvI0
爪'ー`)y‐「目ェ覚ましなさいっ!!」
パァンッ‼︎
(* _ )「うっ……あまっ……」
( ^ω^)「諸本くん!大丈夫かお?」
(;´・ω・`)「ぷはっ!!なにが起きたの?なんでヒキコモリくん倒れてるの?」
( ^ω^)「えっとね、フォックスくんがヒッキーくんの
顔にストロベリーパイをバァンッ!!ってしたお!」
(;´・ω・`)「うわあ、べちゃべちゃ!僕までパイまみれ!」
( _ )
爪'ー`)y‐「ダメじゃねぇの、ショボンちゃん。
ちゃんと『オトモダチ』って言ってあげなくっちゃ」
爪'ー`)y‐「ヒッキーちゃんは寂しがり屋さんなんだぜ?」
(;´・ω・`)「ご、ごめんなさい……」
( ^ω^)「諸本くんは悪くないお!知らないもんはしょうがないお!」
( _ )
(´・ω・`)「ヒキコモリくんになにがあったんですか?」
爪'ー`)y‐「これはね、愛よ」
爪'ー`)y‐「俺達『被害者』は、ガキノモリのカミサマに愛されてしまったの。
ただ……カミサマに愛されすぎて、こんなんなっちゃったんだけれどね」
(´・ω・`)「愛……?」
.
97:名無しさん:2023/10/08(日) 20:43:52 ID:lrpTdIvI0
(-_-)「そうだね。思い出したよ、ディくん」ムクリ
(;´・ω・`)「ふわっ」
( ^ω^)「パイまみれ!」
爪'ー`)y‐「ニュッくんのこと思い出したのか!?」
(-_-)「それは、あんまり。あっ、いま幻滅したよね。言わなきゃよかった。
そういうフォックスくんこそ思い出したみたいだね」
爪'ー`)y‐「まぁね?頼れるみんなのリーダーだったわよね?
ニュッくんさえいれば、俺様達は大丈夫だったんだ」
(-_-)「そうかな、ディくん。うん、そうかもね」
(-_-)「ボクが思い出したのはこっち」
(-_-)「偶然だね、ボクもおんなじの持ってるよ。
ブーンくんが持ってる箱とおんなじ、古い木の箱」
コトッ
( ^ω^)「あの箱は……」
(´・ω・`)「間違いないよ、例のカラクリ箱だ!」
爪;'ー`)y‐「なんでここにあるんだ!?」
(-_-)「そうだったね。目を覚ましたらフォックスくんの
ベッドの中に入ってるのを見つけたんだったね」
(-_-)「でもフォックスくんは気付いていないみたいだったから、
あとで渡そうと思って、忘れちゃって、そのままボクのものになったよ」
(´・ω・`)「えっ?」
( ^ω^)「フォックスくん、大丈夫かお?」
爪;'ー`)y‐「あっ」
.
99:名無しさん:2023/10/08(日) 20:45:09 ID:lrpTdIvI0
爪;'ー`)y‐「だいじょおぶよっ♪ただちょーっぴり、
びっくりしちまっただけだぜ!」
(´・ω・`)「知らない内に自分の机に入ってたって聞いたら誰だって驚きますよ」
カタカタ
カタカタ
爪'ー`)y‐「ヒッキーちゃん、どう?カラクリ箱、解けそうかしらん?」
(-_-)「……そうだね、いま同じこと考えてたところだよ。
これはクソムシのボクにカラクリ箱を開けるのは無理だね」
( ^ω^)「開いたかお?中身なんだったお?」
(;-_-)「ひぃっ!!眩しい!!溶ける!!
箱はあげるから、その顔を近づけないでっ!!」
( ^ω^)「おっ?」
(´・ω・`)「褒められてるんだよ、内藤くんかっこいいねって」
( ^ω^)「えっへん!」
爪'ー`)y‐「どれだけお前さんの顔がよくても箱は開かないわよ~?」
( ^ω^)「このカラクリ箱、どうするお?」
(´・ω・`)「また都出さんにお願いしようか?」
爪'ー`)y‐「手先が器用な美人さんならここにもいるじゃない!
フォックスくんにまっかせなさぁい♪」
カタカタ
カタンッ
( ^ω^)「はやい!」
爪'ー`)y‐「どんなもんだいっ♪」
(-_-)「すごいね。眩しい人ってパズルを解くのも速いんだね。
ボクなんてひとっつも解けなかったのに、やっぱり人気者は違うね」
.
100:>>98はミス:2023/10/08(日) 20:48:18 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)「あの、中身はなんですか?」
パカッ...
(;-_-)「あひぃっ……」
( ^ω^)「見せて見せて!」
(;´・ω・`)「うっ……これって、髪の毛……?」
爪'ー`)y‐「ただの髪の毛じゃあないみたいだぜ……」
爪'ー`)y‐「よく見てちょおだい、ここ、髪の毛の先っぽ」
( ^ω^)「なんかついてるお?」
(;´・ω・`)「ひょっとして……うう、考えたくない」
(∩_∩)「あーあーあー見えない見えない聞こえない聞こえない」
爪'ー`)y‐「これは皮膚だぜ」
爪'ー`)y‐「髪の毛を引っ張られて、
頭から無理やり剥がされたんだな」
(-_-)「やってくれたよね、フォックスくん。ほんとひどい。
絶対今日の夢に出るよ。夢はボクの唯一の楽園なのに」
( ^ω^)「いったい誰のなんだお……?」
(;´・ω・`)「内藤くん達の他にも『被害者』がいるってこと……?」
爪'ー`)y‐「暁廟町では掟を破った人間が、カミカクシに遭うのなんて普通だからな」
爪'ー`)y‐「ただの行方不明者なのか、ガキノモリ事件の被害者なのか、
見つけるのは難しいと思うわよ」
キーンコーン
カーンコーン
(-_-)「はっ」
(-_-)「そうだね、ディくん。お昼休みの終わりだよ」
.
101:名無しさん:2023/10/08(日) 21:08:55 ID:lrpTdIvI0
──放課後
───────────────
【被害者】
( ^ω^) 影くん
名前:ブーンくん(内藤くん)
糸:被害者のは白いリボンで結ばれている
備考:ネックレスに紫のリボンを結んでいる
証言:『卒業式を楽しみに』という声を覚えてる
( <●><●>) 優等生くん
名前:ワカッテマスくん
糸:被害者は白のリボンで結ばれている
備考:中指と薬指に黄色のリボンを結んでいる
証言:覚えていないみたい
爪'ー`)y‐ アイドルくん
名前:フォックスくん
糸:内藤くんと白のリボンで結ばれている
備考:耳に桃色のリボンを結んでいる
証言:最後に話してくれるみたい
(-_-) ヒキコモリくん
名前:ヒッキーくん
糸:内藤くんと白のリボンで結ばれている
備考:手首に緑色のリボンを結んでいる
証言:『被害者』はもう一人いた?名前はニュッくん?
事件のときパイをお腹いっぱい食べさせてくれた?
( ) ニュッくん?
備考:ガキノモリ事件の被害者は六人だった?
───────────────
ξ゚⊿゚)ξ「ニュッくん?」
(´・ω・`)「うん。ニュッくん」
ξ゚⊿゚)ξ「聞いたことないわね」
.
102:名無しさん:2023/10/08(日) 21:12:34 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)「内藤くんもアイドルくんもヒキコモリくんも、
『ニュッくん』を知ってるみたいなんです」
ξ゚⊿゚)ξ「その子の本名は分かるのかしら?」
(´・ω・`)「確か『新速くん』だって言ってました」
ξ゚⊿゚)ξ「やっぱり思い出せないわ」
(´・ω・`)「生徒会長ちゃんの力でどうにか学校の情報を調べられませんか?」
ξ゚⊿゚)ξ「全校生徒の顔と名前を記憶してる私が知らないと言ってるのよ。
学校にある情報を調べたって無駄だと思うわ」
(´・ω・`)「そうですか……」
──住宅地
ξ゚⊿゚)ξ「そういえばブーンくんは?」
(´・ω・`)「アイドルくんとヒキコモリくんと一緒に帰りました。
ヒキコモリくんは無理やりハガイジメにされてたけど」
ξ゚⊿゚)ξ「ふふっ。ヒッキーくんの楽しそうなお顔が目に浮かぶわね」
(´・ω・`)「アイドルくんじゃなくって?」
ξ゚⊿゚)ξ「?」
(´・ω・`)「?」
(´・ω・`)「ふう、本当ならば内藤くんと一緒に
暁廟町を歩ければはやいんだけれども」
(´・ω・`)「犯人と内藤くんをつなぐ糸さえ見つられれば」
ξ゚⊿゚)ξ「しょうがないわよ、休日もおうちのお手伝いですもの」
.
103:名無しさん:2023/10/08(日) 21:13:02 ID:lrpTdIvI0
ξ゚⊿゚)ξ「ガキノモリ事件のあとからよ、
ブーンくん達が学校以外で出歩いてるの見たことないもの」
(´・ω・`)「そんなに毎日なにやってるんだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「それより私達どこに向かってるの?」
(´・ω・`)「ふふん、強力な助っ人のおうち!です!」
「ユメミメル会、ユメミメル会へようこそ!」
「私も、貴方も、ユメミメル会へようこそ!」
「ここは私達の最後の楽園!」
(´・ω・`)「あれ?なんだろう、あの人達……」
ξ゚⊿゚)ξ「ユメミメル会よ。暁廟町の困ったちゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「なんでも入った人達は山奥で一緒に住んでいて、
畑を作ったり動物を飼ったりしてるんですって。
こういうのを自給自足の生活って言うのよね」
ξ゚⊿゚)ξ「よくこうして町中にやってきては、
新しい人を強引に連れていこうとして怒られてるのよ」
(´・ω・`)「それはまた、おっかないや……」
「ユメミメル会は貴方を一人にはさせません!」
「ユメミメル会では衣食住すべてを提供します!」
「ユメミメル会で私達と同じ夢を見ましょう!」
(´・ω・`)「僕達とおんなじくらいの子もいるみたい」
ξ゚⊿゚)ξ「ユメミメル会の子供達は、
学校に行かせてもらえないのよ」
ξ゚⊿゚)ξ「大人も子供も農作業しかしないから、
読み書きだけが出来ればいいんですって」
(;´・ω・`)「そんなのって!警察に言いつけようよ!」
ξ゚⊿゚)ξ「暁廟町の法律に違反してないから、
警察にも手が出せないのよ」
.
104:名無しさん:2023/10/08(日) 21:13:27 ID:lrpTdIvI0
「そこのお嬢さん!お坊ちゃん!いま幸せですか?」
ガシッ‼︎
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ?」
(;´・ω・`)「ひゃっ!?」
(;´・ω・`)(腕を掴まれた!?しかも二人がかりで!)
「将来の職業が不安になったりしませんか?」
「お友達との関係が不安になったりしませんか?」
「もっと幸せになりたくありませんか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「離しなさいよっ!!」
(;´・ω・`)「やだやだ!!このままじゃどっかに連れていかれちゃうよ!!」
lw´‐ _‐ノv「その手を離しなさい」
lw´‐ _‐ノv「お嬢さん達が困ってるじゃないか」
ξ*゚⊿゚)ξ「!!」
(;´・ω・`)「!?」
lw´‐ _‐ノv「まったく美しくない連中だぁ」
(;´・ω・`)(ユメミナントカの人達が一目散に逃げていく)
(;´・ω・`)(いったい何者だろう、この女の人?)
lw´‐ _‐ノv「怪我はないかい、お嬢さん?」
ξ*゚⊿゚)ξ「『王子様』!」
(´・ω・`)「オージ、えっ?」
(´・ω・`)(『第二発見者』、だったよね?)
.
105:名無しさん:2023/10/08(日) 21:14:09 ID:lrpTdIvI0
ξ*゚⊿゚)ξ「私です!覚えてますか?レンです!」
lw´‐ _‐ノv「ああ。君だったんだね、見違えたよ」
(´・ω・`)「レンって?」
ξ゚⊿゚)ξ「私の下の名前よ、『津出レン』!」
lw´‐ _‐ノv「そっちのお嬢さんは?」
(;´・ω・`)「えっ?僕、ですか?」
(;´・ω・`)(女の子に間違えられた?そんなこといままでなかったのに?)
lw´‐ _‐ノv「僕にとって美しい人はみんなお嬢さんだよ。
そして僕は、みんなにとってのよき『父』でありたいんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「素直さん、助けてくれてありがとうございますっ」
(;´・ω・`)「あ、ありがとうございます!」
lw´‐ _‐ノv「ふふ。君達が無事ならそれでいいよ」
lw´‐ _‐ノv「ユメミメル会か。
実は僕も昔、あの集団の一人だったんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「えっ?」
lw´‐ _‐ノv「昔の話だよ。怖がらせちゃったかな?」
lw´‐ _‐ノv「外界とは遮断された山奥での
美しい暮らしは魅力的なものだったよ」
lw´‐ _‐ノv「けれども、ユメミメル会での毎日は、
僕の理想とはかけ離れたものだった」
lw´‐ _‐ノv「さながら、劣悪なカルト宗教だ。
……とても醜かった」
lw´‐ _‐ノv「そして、気付いたんだ。
僕が望んでいたのは綺麗な『家族』なんだって」
.
106:名無しさん:2023/10/08(日) 21:14:43 ID:lrpTdIvI0
lw´‐ _‐ノv「ああ、ごめんね。つまらない話をしたね?」
ξ゚⊿゚)ξ「いいえ。素直さんも大変でしたもの」
lw´‐ _‐ノv「優しいところ、変わってないね。レンちゃん」
lw´‐ _‐ノv「それじゃあ僕はこれで。また会おうね」
ξ゚⊿゚)ξ「はい。また!」
(´-ω-`)” ペコリ
(´・ω・`)「何者なんですか、あの王子様?」
ξ゚⊿゚)ξ「『王子様』みたいで綺麗でしょう?」
(´・ω・`)「あっ、はい!とってもかっこよかったです!」
ξ゚⊿゚)ξ「素直シュウコさん。
『問題児ちゃん』の年が離れたお姉ちゃんよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ガキノモリ事件のすぐあとお父さんとお母さんが
死んでしまってから苦労されてるの」
(´・ω・`)「そう、だったんですね……」
ξ゚⊿゚)ξ「そして、ガキノモリ事件の『第二発見者』よ」
ξ゚⊿゚)ξ「『第一発見者』である私のすぐあと偶然御社にやって来て、
気を失ってしまった私の代わりに通報してくれたの」
(´・ω・`)「いつかあの人にも話を聞けたらいいな」
(´・ω・`)「って、大変大変!そろそろ約束の時間だ!」
ピンポーン
(´・ω・`)「ごめんくださーい。約束してた諸本でーす」
ξ゚⊿゚)ξ「おっきなお屋敷ね。誰の家だったかしら?」
.
107:名無しさん:2023/10/08(日) 21:15:16 ID:lrpTdIvI0
(;´・ω・`)「へっ?ええと、うんと」
ξ゚⊿゚)ξ「なにか隠してるわね?白状なさい!」
(;´・ω・`)「わわっ!ごめんなさーい!!」
ガチャッ
パシャッ
ξ;>⊿<)ξ「きゃっ!なになに?」
(´>ω<`)「びゃっ!?」
ジィ-...
ペラッ
( ´_ゝ`)「見てみろ、よく撮れてるぞ。
この転校生くんと生徒会長ちゃんの驚いた顔を」
(´<_` )「ん?生徒会長ちゃん?」
( ´_ゝ`)「げ」(´<_` )
(;´・ω・`)「わーわー!!みんなに黙っていてごめんなさい!!
あんまり仲よくなさそうだったから、言ったら来てくれないかと思って!」
ξ゚⊿゚)ξ「勘違いしないでよね?私は別になんとも思ってないわ。
生徒会長を一方的に怖がっているのはあっちの方よ!」
( ´_ゝ`)「生徒会長ちゃんが何故ここに?」
(´<_` )「怖がってるのがバレてる。怖い」
(;´・ω・`)「あっ、こんにちは!流石くん、よろしくお願いします!」
ξ゚⊿゚)ξ「諸本くん、大丈夫なの?
流石くんはタダでは情報くれないわよ」
(;´・ω・`)「えっ?お金ですか?」
.
108:名無しさん:2023/10/08(日) 21:15:39 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「そんなんいるものか。
なんせ流石な俺等は金が余るほど持っている」
(´<_` )「俺等の両親は社長だからな」
(´・ω・`)「そういえばオンゾウシだったね」
( ´_ゝ`)「内藤くんと諸本くんが来るという話ではなかったか?」
(´・ω・`)「ごめんなさい、内藤くんが来れなくなっちゃいまして。
代わりに『第一発見者』の都出さんを連れてきました」
( ´_ゝ`)「よりにもよって」
(´<_` )「してやられたな」
(´・ω・`)「僕達、ガキノモリ事件について聞きたいんです」
( ´_ゝ`)「俺等兄弟が必死こいて手に入れた情報だぞ。
タダではやれない、代わりになにを差し出す?」
( ´_ゝ`)「俺が優しいお兄ちゃんだが、貴様の兄ではないからな」
(´<_` )「兄さん、厳しい」
( ´_ゝ`)「ときどきな!」
(;´・ω・`)「僕、なんでもやります!友達の力になりたいんです!」
( ´_ゝ`)「うーん」
(´<_` )「うーん」
ξ゚⊿゚)ξ「諸本くん、流石くんが欲しいのは情報よ。
学校新聞でみんなが話題にするような、そんな情報」
(;´・ω・`)「僕には人と人の関係が糸として見えます!!」
( ´_ゝ`)「ほう?続けろ」
(´<_` )「アニジャ、これは──」
.
109:名無しさん:2023/10/08(日) 21:16:08 ID:lrpTdIvI0
(;´・ω・`)「流石くんにつながっている糸も見えてます!!」
(;´・ω・`)「指から伸びたいろんな色の糸が!
誰もいないはずの隣で、がんじがらめになってるのが見えます!!」
( ´_ゝ`)
(´<_` )
(;´・ω・`)「僕の能力を記事にしてください!!」
( ´_ゝ`)「……チッ」
(´<_` )「……」
(;´・ω・`)「……ダメですか?」
( ´_ゝ`)「二人とも中に入れ。話したいことがある」
(´<_` )「……」
──流石邸
(;´・ω・`)「ひぇ~…高そうなもんばっかり。
あのツボ、間違って割っちゃったらどうしよう」
ξ゚⊿゚)ξ「縁起でもない話しないでよねっ!?津出家は貧乏なんだからっ」
(´・ω・`)「どうしたんですか?生徒会長ちゃん、なんか歩き方が」
ξ゚⊿゚)ξ「お金持ちのおうちにいると、
しゃんとしなくっちゃいけないような気がして」ギクシャク
(´・ω・`)「ふふっ。生徒会長ちゃんロボ……」
ξ゚⊿゚)ξ「なんですって?」
(;´・ω・`)「ごめんなさいっ」
.
110:名無しさん:2023/10/08(日) 21:16:28 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「そう緊張しなくていいぞ。
此処は城ではないし、俺等は王様ではないのだからな」
(´<_` )「どこにでもいる、普通の兄弟だからな」
ガチャッ
( ´_ゝ`)「ただいま、妹者」
(´<_` )「ただいま、妹者」
l从 ∀ ノ!リ人
(´・ω・`)「!」
( ´_ゝ`)「紹介しよう、俺等の最高にして最愛の妹、『妹者』だ」
(´<_` )「妹者、お客さんだぞ。上手にご挨拶出来るかな?」
l从•∀•ノ!リ人
(´・ω・`)(大きなお人形さん、だよね?)
l从•∀•ノ!リ人
(´・ω・`)(かわいい……)
ξ゚⊿゚)ξ「はじめまして、妹者ちゃん。流石くんとは
クラスメイトでも友達でもない都出さんです」
(´・ω・`)「はっ、おなじく諸本くんです。お邪魔してます!」
(´・ω・`)(詳しくは分からないけど、
この人形は流石家の呪いに関係してるんだよね?)
(´・ω・`)(ここは生徒会長ちゃんに合わせておいた方がいいよね!)
l从•∀•ノ!リ人
( ´_ゝ`)「都出さん、諸本くん、
誇りに思っていい。妹が喜んでるぞ!」
(´<_` )「家に友達を連れて来るなんて久し振りだからな」
.
111:名無しさん:2023/10/08(日) 21:17:32 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「そこに座ってくれ。お菓子とジュースは出さないぞ」
(´<_` )「兄さん、ジュースくらい出してあげてもいいのでは?」
( ´_ゝ`)「よし、ジュースは持ってこよう!俺は優しい兄だからな!」
(´・ω・`)「ふふっ。ありがとう、お兄さん」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう、流石くん」
パタンッ...
l从•∀•ノ!リ人
(´・ω・`)(関節球体人形、だったかな?)
(´・ω・`)(こんな風に人間の洋服を着て、
人間の家具に座ってると、まるで本物の人間みたい)
l从•∀•ノ!リ人
(´・ω・`)(流石くん、羨ましいな)
(´・ω・`)(こんなに可愛らしい妹が僕にもいたらよかったのに)
ξ゚⊿゚)ξ「そんなにジロジロ見ないの。妹者ちゃんに失礼でしょ?」
(´・ω・`)「あっ、はい!」
l从•∀•ノ!リ人
ξ゚⊿゚)ξ「気を付けなさいよね」ヒソヒソ
(´・ω・`)「?」
ξ゚⊿゚)ξ「私もいま、妹者ちゃんのこと
連れて帰りたいと思ったの」ヒソヒソ
(;´・ω・`)「!」
ξ゚⊿゚)ξ「きっとあの人形にはそういう呪いの力があるのよ」ヒソヒソ
.
112:名無しさん:2023/10/08(日) 21:17:56 ID:lrpTdIvI0
l从•∀•ノ!リ人
(´・ω・`)(かわいい。好き。妹に欲しい。かわいい。連れて帰りたい。
髪を梳かしてあげたい。いろんなお洋服を着せてあげたい。
ご飯をお供えしてあげたい。なんでも買ってあげたい)
(´・ω・`)(なんでもしてあげたい。なんでも)
(´・ω・`)(いまこの胸にある感情も偽物なの?)
(´・ω・`)(……やっぱり呪いっておっかないや)
(´・ω・`)「ここって流石くんの部屋なんですよね?」
ξ゚⊿゚)ξ「でしょうね。壁中が写真と新聞の切り抜きだらけだもの」
(´・ω・`)「どうしてだろう?」
(´・ω・`)「どうして、机や椅子、ペン、マグカップ、
なんもかんも、二つずつ並んでるんだろう?」
ξ゚⊿゚)ξ「とある事件があってから、流石くん変わったのよ」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ、思い出した」
ξ゚⊿゚)ξ「昔なんか話しかけたって口すらきいてくれなかったもの。
いつも兄弟二人でにやにやひそひそしちゃってさ」
ξ゚⊿゚)ξ「私達なんて『貧乏人』『庶民』扱いよ」
(´・ω・`)「ええ?いまじゃあ考えられない」
(´・ω・`)(!)
(´・ω・`)(棚の上の写真に写真が飾ってある)
(´・ω・`)(二人の少年が手をつないで笑ってる)
【 ( -_ゝ-)(-<_- ) 】
(´・ω・`)(流石くんが二人……?)
.
113:名無しさん:2023/10/08(日) 21:18:32 ID:lrpTdIvI0
ξ゚⊿゚)ξ「流石くんはね」
ξ゚⊿゚)ξ「双子の弟が死んでから、人が変わってしまったの」
(´・ω・`)「弟……」
ξ゚⊿゚)ξ「昔はね、流石くんを『アニジャくん』、
弟くんを『オトジャくん』って呼んでたの」
ξ゚⊿゚)ξ「よく似た双子の兄妹でね、顔だけじゃなくって身長も体重も、
ホクロの位置だっておんなじだったそうよ」
ξ゚⊿゚)ξ「どっちがどっちだか親にだって分からなかったみたい」
ξ゚⊿゚)ξ「いつだって一緒だったわ、アニジャくんとオトジャくんは。
他の誰かなんてお呼びじゃなかった、そのはずよ」
ξ゚⊿゚)ξ「暁廟町のいろんなところに行って、
インスタントカメラで綺麗なものを撮って、写真をアルバムに飾って──」
( -_ゝ-)『いつか二人で暁廟町を出ような、オトジャ』
(-<_- )『アニジャ、どこにでも行けるカメラマンになろう』
(-<_- )『その夢が叶うのならば』
( -_ゝ-)『他にはなんにもいらないよな』
( -_ゝ-)『クスクス』
(-<_- )『クスクス』
ξ゚⊿゚)ξ「けれども、そうはならなかったわ」
(´・ω・`)「なにがあったの?」
.
114:名無しさん:2023/10/08(日) 21:19:01 ID:lrpTdIvI0
ξ゚⊿゚)ξ「初等部のときの話よ。
ガキノモリ事件のすぐあとのこと」
ξ゚⊿゚)ξ「初めてオトジャくんだけが一人で出かけたの。
アニジャくんにはなんにも言わないで」
ξ゚⊿゚)ξ「途中で、暴走した車の事故に巻き込まれて、
オトジャくんはそのまんま」
(´・ω・`)(死んじゃったんだ……)
(´・ω・`)(だからこの部屋は二人でいたときのまま残ってる)
(´・ω・`)(でも、待って)
(´・ω・`)(じゃあなんで、中等部の教科書がふたつずつあるの?
なんで、中等部の制服がふたつずつぶら下がってるの?)
ガチャ
( ´_ゝ`)「待たせたな。お前らがどうしても
俺等のいれたココアを飲みたいと言うから持ってきてやったぞ」
(´<_` )「暑いから気を付けてくれ」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう」
(´・ω・`)(マグカップの数が五つ……。
流石くん、生徒会長ちゃん、妹ちゃん、僕……あと一人は?)
ゴクッ
(´・ω・`)「……あちっ」
( ´_ゝ`)「暁廟町が呪術師の町だったことは知ってるだろう?」
(´・ω・`)「う、うんっ」
( ´_ゝ`)「ガキノモリのカミサマの正体は知ってるか?」
(´・ω・`)「ううん……」
( ´_ゝ`)「では、教えてやろう。俺は優しいお兄ちゃんだからな」
.
115:名無しさん:2023/10/08(日) 21:19:30 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「かつてこの町には、誰にも扱いきれないほどの強い力を持った呪いがあった」
( ´_ゝ`)「どうしてアレが現れたのかは誰にも分からない。
呪いに呪いを重ねたこの土地が、生み出してしまった現象なのかもしれない」
( ´_ゝ`)「祖先はその呪いに『ガキノモリノミコト』と名前をつけた」
( ´_ゝ`)「その呪いをカミサマとして崇め騙し、『ガキノモリ』という
土地と御社を作ることで、ようやくアレを閉じ込めることが出来たんだ」
( ´_ゝ`)「いつしか暁廟町の人達は呪われたカミサマを名前で呼ぶのを嫌がり、
読み方を変えてこう呼び始めたんだ、『ワタクシノモリ』と」
( ´_ゝ`)「それがガキノモリの正体だ」(´<_` )
(;´・ω・`)「っ」
ξ;゚⊿゚)ξ「呪いがカミサマのふりを……?」
( ´_ゝ`)「いまでは立派なカミサマモドキだ」
( ´_ゝ`)「これがガキノモリに取材に行ったときの写真だ。
事件のあとから御社には鍵がかけられていないようだな」
( ´_ゝ`)「暁廟町の人間ならば御社に入ろうとする大馬鹿者はいないだろう」
(´<_` )「まともな心を持ってれば入ろうとしないさ、兄さん」
( ´_ゝ`)「俺は人ではなく兄だったからな」
ペラッ
ξ;゚⊿゚)ξ「う゛っ……」
(;´・ω・`)「これが御社……以外と普通の建物なんですね?」
.
116:名無しさん:2023/10/08(日) 21:20:47 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)(入り口にはおっきい鳥居。建物は神社とかお寺にあるやつみたい)
(´・ω・`)(変わってるのは、扉に窓がなくて頑丈そうなのと、
建物自体がいやにおっきいことくらいかな)
( ´_ゝ`)「次の写真にいこう。『ガキノモリ』の
御社の中にはいろんな物が納められているんだ」
(´<_` )「座った人が死ぬ椅子、持ち主が不幸になる絵、
見るたび近付いてくる写真、どれもこれも呪われている」
( ´_ゝ`)「そのとおり。役目が終わった呪具なんかも供養されている」
(´<_` )「悪人の体の欠片を封じた複数のカラクリ箱、
映った者の真実の姿を現すと言われる鏡、
消えると災いが起きる燃え続ける行燈、
隣の小部屋には溶かしてはいけない氷がある場所がある」
( ´_ゝ`)「他にも儀式に使った小道具や、一年水を飲み続けると狂ってしまう井戸もある。
『被害者』はこれらを使って生き残ったんだろう」
ペラッ
(´・ω・`)「うっ……」
(´・ω・`)「まだ血のシミも残ってるし、鏡の破片も散らばってる……」
( ´_ゝ`)「あの事件はろくに調査も清掃もされなかったからな」
(´・ω・`)「そう、なんですか……」
( ´_ゝ`)「みんなガキノモリのカミサマに呪われるのが怖かったんだろう」
(´<_` )
ξ゚⊿゚)ξ「撮影するだなんて。こんなことするのアンタくらいなものよ!
いつかバチが当たってもしらないんだからね?」
( ´_ゝ`)「当たらないさ。ここのカミサマはお優しいもんなー?」
(´<_` )「なー」
.
117:名無しさん:2023/10/08(日) 21:21:10 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)「流石くん……」
(´・ω・`)「さっきから、誰と話してるんですか?」
( ´_ゝ`)「んー?弟に決まってるだろう?」
(´・ω・`)「でも、流石くんの弟は……」
シュルッ...
( ´_ゝ`)
(´・ω・`)(流石くんの小指から伸びてる無数の糸)
(´・ω・`)(だれもいないはずのところに、
いろんな色の糸がぐちゃぐちゃになって、
がんじがらめに巻き付いている)
(´・ω・`)(まるで、すぐ隣にだれかがいるみたいに)
( ´_ゝ`)
(´<_` )
(´・ω・`)「そこにいるんですか……?」
ξ゚⊿゚)ξ「私には見えないけど……」
( ´_ゝ`)「オトジャはいるぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「流石くん……」
ξ゚⊿゚)ξ「考えたくないだろうけれども、死んだ人は戻っては来ないのよ」
( _ゝ )「弟は、いる」
ξ゚⊿゚)ξ「流石くん。オトジャくんは、もう」
ガシッ‼︎
.
118:名無しさん:2023/10/08(日) 21:21:34 ID:lrpTdIvI0
ξ;゚⊿゚)ξ「いたっ」
( _ゝ )「オトジャは、いる」
ギリ...
ξ;゚⊿゚)ξ「痛い、痛いわ……手を離して……」
ギリギリ...
ξ;゚⊿゚)ξ「痛い痛い痛い!!」
( _ゝ )「オトジャはいなくなったりしない」
ξ;゚⊿゚)ξ「ごめんなさい!傷つけたなら謝るわ!」
ギリギリ...
( _ゝ )「『オトジャはここにいる』と言え」
ξ; ⊿ )ξ「い゛ったい!!」
ギリギリ...
( _ゝ )「それが出来ないなら死ねばいい」
( _ゝ )「これだから庶民は度し難いよな、オトジャ」
( _ゝ )「クスクス、クスクス」
(;´・ω・`)「流石くん!!やめてよお!!」
ガシッ
( _ゝ )
( <_ )
(;´・ω・`)「!?」
.
119:名無しさん:2023/10/08(日) 21:22:01 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)(そんなつもりなかったのに)
(´・ω・`)(流石くんの指に結ばれた糸に触った瞬間、見えてしまった)
(´・ω・`)(流石くんの肩のところ)
(´・ω・`)(空中に浮かんでいる)
(´・ω・`)(流石くんとまるっきりおんなじ姿の)
(´・ω・`)(男の子がいるのを)
(´<_` )
(´・ω・`)(君が、オトジャくん?)
ξ; ⊿ )ξ「オトジャくんはここにいる!!
アニジャくんと一緒にいる!!」
(´<_` )「アニジャ、俺はここにいるよ」
( _ゝ )
パッ
( ´_ゝ`)「だよなぁ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「はあ……はあ……」
(;´・ω・`)「大丈夫?生徒会長ちゃん?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ええ。ちょっとびっくりしただけ……」
(;´・ω・`)(いつもの流石くんとは違う人みたいだった)
(;´・ω・`)(それにさっきの流石くんのかんじ、
内藤くんやヒッキーくんとおんなじ……?)
.
120:名無しさん:2023/10/08(日) 21:22:23 ID:lrpTdIvI0
(´<_` )「兄さん、大丈夫?」
( ´_ゝ`)「問題ない。誰にも俺等を否定させない」
(´<_` )「そうじゃないんだけどな」
( ´_ゝ`)「俺はガキノモリのカミサマに願いを叶えてもらったんだ」
( ´_ゝ`)「『被害者』の子供達とおんなじようにな」
(´<_` )
( ´_ゝ`)「俺等のとっておきの秘密を教えてやろう」
(´<_` )「父さんと母さんには内緒だぞ」
( ´_ゝ`)「諸本くんの秘密も記事にしたりはしない。
その代わり、俺の弟のことは誰にも言わないでくれ」
(´<_` )
ξ゚⊿゚)ξ「ええ。約束するわ」
(´・ω・`)「わ、分かりました」
( ´_ゝ`)「ガキノモリのカミサマは、
子供の願い事を叶えてくれるんだ」
( ´_ゝ`)「大切なものと引き換えにな」
( ´_ゝ`)「暁廟町の人は祝福言(しゅくふくごと)と呼んでいる」(´<_` )
(´・ω・`)(『ガキノモリのカミサマにはね、
絶対にお願い事をしてはいけないのよ。絶対にね』)
(´・ω・`)(生徒会長ちゃんはそう言ってた)
( ´_ゝ`)「俺と弟は仲のいい兄弟でね。
自分と相手の境目が分からなくなるくらいに」
(´<_` )
.
121:名無しさん:2023/10/08(日) 21:22:45 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「弟は死んだ」
( ´_ゝ`)「俺になんにも言わずに、勝手に出かけてしまった。
一緒にいなかったのは後にも先にもあの日だけだ」
( ´_ゝ`)「いじめっこに俺等二人の写真を奪われたらしい。
弟だけが呼び出された、俺はなんにも知らなかった」
(´<_` )「しょうがないだろ。あれは思い出の写真だったんだから」
(´<_` )「俺等が初めて、自分達で自分達を撮ったものだ」
( ´_ゝ`)「そうだったな。あの写真をいまも壁に飾れているのはお前のおかげだ」
(´<_` )「だろう?」
( ´_ゝ`)「運転手に心臓発作が起きて暴走した車が、
歩いていた弟を巻き込んでぐちゃぐちゃになった」
( ´_ゝ`)「ぐちゃぐちゃだった。
吹き飛ばされた弟の右半身は、ぐちゃぐちゃに潰されていた」
( ´_ゝ`)「心臓を握り潰された感覚がした。
それから俺は、なんにも感じなくなった」
( ´_ゝ`)「きっと弟と一緒に、俺も死んでしまったんだ」
( ´_ゝ`)「なんもかんも取り戻したいと思った」
( ´_ゝ`)「いろんな神様に祈った、いろんな呪いもやった。
最後に、ガキノモリの御社にたどり着いた」
(´<_` )
(´・ω・`)「いくらガキノモリのカミサマでも、
人間を元どおり蘇らせることは出来なかったんですね……」
( ´_ゝ`)「いいや?願いはちゃんと叶ったぞ。
俺の世界はちゃんと元どおりになった」
ξ゚⊿゚)ξ「えっ?でも、私達にオトジャくんは見えないわよ?」
.
122:名無しさん:2023/10/08(日) 21:23:07 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「俺もはじめは『弟を生き返らせて欲しい』と願うつもりだったさ」
(´<_` )
( ´_ゝ`)「だが……」
( ´_ゝ`)「体があったらきっと、また弟は勝手に死んでしまう。
何度でも、何度でも、勝手に」
( ´_ゝ`)「だから願ったんだ、
『死んだままの弟と死ぬまで一緒にいたい』と願ったんだ」
(´・ω・`)(……!!)
( ´_ゝ`)「いつか俺が死んだときは、
そのときには二人で天国へ行けばいい」
( ´_ゝ`)「だからもうなんにも怖くないんだ。
オトジャ、お前もそう思うよな?」
(´<_` )「思うよ、アニジャ」
( ´_ゝ`)「だよなぁ!」
(´・ω・`)(羨ましい、なんて、絶対に言ったらいけないけど、
勝手に心の中に浮かんできちゃうんだ)
(´・ω・`)(僕にもそんな風に思ってくれる人がいてくれたらな、って)
(´・ω・`)「『呪い』の次は『願い』か……」
ξ゚⊿゚)ξ「この暁廟町で呪いごとが叶うことがあるなら、
そうね、願いごとが叶うこともあるわよね……」
(´・ω・`)「流石くんが願いごとの代わりに
なくした大切なものって、なんだったの?」
( ´_ゝ`)「さてな。だが、これだけは分かるぞ。
俺等にとってはちょっとしたことだが、お前らにとっては大したことだ」
.
123:名無しさん:2023/10/08(日) 21:23:31 ID:lrpTdIvI0
ボーンボーンボーン
(;´・ω・`)「ひゃあ!?」
ξ゚⊿゚)ξ「ただの柱時計よ」
ボーンボーン
( ´_ゝ`)「残念。時間だ」
(´<_` )
( ´_ゝ`)「『被害者』の子供達に訊いてみるといい。
『カミサマにどんな祝福言をしたのか?』とな」
(´・ω・`)(『被害者』のみんなもカミサマにお願いごとをした、ってこと?
だから、大切なものを奪われてしまった……?)
(´<_` )「もう帰った方がいい」
( ´_ゝ`)「そのとおりだ。俺等から話すことはもうない」
(´・ω・`)「待って!もう少しだけ、せめてニュッくんの話を……」
ξ゚⊿゚)ξ「諸本くん、帰りましょう」
( ´_ゝ`)「はやく帰った方が身のためだぞ」
(´<_` )
l从•∀•ノ!リ人
(´・ω・`)「!」
l从•∀•ノ!リ人
(´・ω・`)(どうして)
(´・ω・`)(妹者ちゃんの)
(´・ω・`)(人形の、目が)
(´・ω・`)(こっちを見ているの)
.
124:名無しさん:2023/10/08(日) 21:23:51 ID:lrpTdIvI0
( _ゝ )「気を付けることだな」
( _ゝ )「呪いにも、願いにも」
( _ゝ )「くすくす」
( <_ )「くすくす」
l从 ∀ ノ!リ人「くすくす」
──諸本邸
ガチャッ
【(゚、゚トソン】「おかえりなさいませ」
(´・ω・`)「た、ただいま帰りました!」
(´・ω・`)「あのね、聞いて!今日ね、学校で……」
【(゚、゚トソン】「いつもどおり、夕食の時間はこちら、
入浴の時間はこちらになります。時間厳守でお願いします」
(´・ω・`)「あっ、はい!」
(´・ω・`)「あのさ、お手伝いさん。本館のお父さんとお母さんは元気してる?」
【(゚、゚トソン】「ただいま本館に暁廟町の上の人がシャキン様へ会いに来てます。
いつもどおり、坊ちゃんは離れ屋から出ないように、とのことでした」
(´・ω・`)「そうなんだ!兄さんはすごいなぁ!」
【(゚、゚トソン】「旦那様から伝言があります」
(*´・ω・`)「僕に?ほんとに?なになに?」
.
125:名無しさん:2023/10/08(日) 21:24:12 ID:lrpTdIvI0
【(゚、゚トソン】「くれぐれも諸本家に迷惑をかけないように、とのことでした」
(´・ω・`)「ぁ……」
(´・ω・`)「と、父さんに伝え」
【(゚、゚トソン】「それでは通話を終了します。
坊ちゃん、なにもかもいつもどおりにお願いします」
プツンッ...
(´・ω・`)
(´・ω・`)「……うん。分かってます、父さん」
──翌日
( <●><●>)「ふんっ。おはようございます」
( ^ω^)「おはようだお!」
「おはよーござまーす!」
「おはようだお!」
爪'ー`)y‐「あら~!おはようさん♪」
( ^ω^)「おはようだお!」
(-_-)「ひぃっ。お、おは、よ、ござっまっ」
( ^ω^)「おはようだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンくん、おはよう!」
( ^ω^)「おはようだお!」
.
126:名無しさん:2023/10/08(日) 21:24:44 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)「やあ。内藤くん、おはよう」
( ^ω^)「おはようだお!」
( ^ω^)「ヒッキーくん!」
(´・ω・`)「クラスメイトで隣の席でオカルト嫌いで君の友達!」
( ^ω^)「ああ!前髪が鬱陶しい僕の友達!」
(´・ω・`)「ふふんっ!そのとおりだよ、前髪が鬱陶しい内藤くん!」
( ^ω^)「くくく!諸本くん、お鼻真っ赤だお!
真っ赤なお鼻のトナカイさんみたいだお!」
(´・ω・`)「なっ、内藤くんのが絶対に赤いもんね!暗くて寒い夜道は任せたよ!」
( ^ω^)「昨日はどうだったお?」
(´・ω・`)「流石くんの家に行ってきたよ!
すっごーくおっきーい豪邸だった!」
( ^ω^)「いいなー!僕も行きたいおー!」
(´・ω・`)「ふふっ。流石くんに遊びに行っていいか聞いてみよっか!」
( ^ω^)「おーん、放課後はおうちのお手伝いがあるんだお」
(´・ω・`)「一日だけでも、ダメ?」
( ^ω^)「こっぴどく怒られちゃうんだお」
( ^ω^)「一人がやらかしちゃうと、みんなのせいになっちゃうんだお」
(´・ω・`)「じゃあ、今度のお休みの日はどう?」
( ^ω^)「お休みの日は一日お手伝いしないとだお」
(´・ω・`)「もしかして内藤くん、この町から出たことない?」
( ^ω^)「もちろんだお!これは『被害者』だけじゃないお、
暁廟町の人はほとんどの人が町から出たことないお!」
.
127:名無しさん:2023/10/08(日) 21:25:08 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)(絶対に出られないってわけじゃないよね?
僕と母さんはこの町を出て外の世界で暮らしてたもん)
(´・ω・`)(僕のせいで連れ戻されちゃったけど……)
(´・ω・`)「ねぇ、内藤くん!」
(´・ω・`)「いまじゃなくっていいからさ、いつかでいいからさ、
一緒に外の世界に行こうよ!」
( ^ω^)「外の世界に?」
(´・ω・`)「えへへ、内藤くんや津出さんと、行きたいところいっぱいあるんだ!
遊園地でしょ、動物園でしょ、水族館でしょ、それから、それから……」
( ^ω^)「なんだお、それ?とっても面白そうだお!」
(´・ω・`)「絶対に面白いって約束するよ!ゆびきりげんまんしたっていい!」
(´・ω・`)「いつか僕が連れてってあげる!」
( ^ω^)「おん!これだけは絶対に覚えておくお!」
(´・ω・`)(そのためには、はやいとこガキノモリ事件を解決しなくっちゃ)
(´・ω・`)(事件が解決してみんなの記憶が戻ったら、
きっとみんなのお父さんやお母さんも分かってくれるよね?)
(´・ω・`)(一緒に外の世界へ遊びに行けるよね?)
(´・ω・`)「ひとつ、聞きたいことがあるんだけど。
ねぇ、あのね……内藤くん……」
( ^ω^)「?」
(´・ω・`)「ガキノモリのカミサマにした祝福言って覚えてる?」
( ^ω^)「しゅくふくごと?」
(´・ω・`)「あんまり大きな声では言えないけれど、実はね……」
.
128:名無しさん:2023/10/08(日) 21:25:40 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)「……ということなんだ」
( ^ω^)「おお?大切なものと引き換えに、
ガキノモリのカミサマがお願いを聞いてくれるのかお?」
(´・ω・`)「やっぱりまるっと忘れちゃってるよね」
( ^ω^)「他のみんなにも覚えてないか聞いてみるお!」
(´・ω・`)「昨日ヒキコモリくんが言ってた、
『甘くて美味しいパイをいっぱい食べた』って祝福言のことかな?」
( ^ω^)「あっ!僕もいっぱい食べた気がするお!」
(´・ω・`)「思い出したの!?」
( ^ω^)「なんとなくだお!お水は御社の中に
井戸があったから大丈夫だったんだお!」
( ^ω^)「でも、お水だけじゃあお腹が空いてお腹が空いて。
それでニュッくんがみんなにパイをくれたんだお!」
(´・ω・`)「思い出せたなんてすごい!えらいよ、内藤くん!」
( ^ω^)「えっへん!」
(´・ω・`)「そのニュッくんって人にありがとうだね。
ガキノモリ事件のあとに暁廟町を出ちゃったのかな?」
(´・ω・`)「流石くんはね、ガキノモリのカミサマへの祝福言と引き換えに、
大切なものをなくしちゃった、って言ってた」
(´・ω・`)「内藤くん、大切ななくしもの、覚えてる?」
( ^ω^)「おーん……?」
(´・ω・`)(もしかして、祝福言をしたときの記憶なのかな?)
.
129:名無しさん:2023/10/08(日) 21:26:01 ID:lrpTdIvI0
──給食
( ^ω^)「いただきますお!」
(´・ω・`)「いただきます」
ξ゚⊿゚)ξ「いただきます」
( ´_ゝ`)「いただきます」
(´<_` )「いただきます」
ξ゚⊿゚)ξ「なんで当たり前のように一緒に食べようとしてるのよ!?」
( ´_ゝ`)「おっかないおっかない」
(´<_` )「くわばらくわばら」
(*´・ω・`)(五人で給食だなんて!まるで友達が増えたみたい!)モグモグ
(*´・ω・`)(みんなで食べるとごはんも美味しい気が……やっぱり味しないや)
(;´・ω・`)(この豆のスープとふかし芋、昨日もおんなじの出たような?
給食に昨日の残り物ってあるんだ、初めて知ったよ)
ξ゚⊿゚)ξ ポタッ
( ^ω^) パラッ
(´・ω・`)(あっ、また毒とお塩かけてる)
(´・ω・`)(僕もなんかごはんにかけるの持って来たいな)
( ´_ゝ`)「んー?その小瓶、他の『被害者』も持っていたぞ?
おんなじように塩を振りかけていた。そうだよな、オトジャ?」
(´<_` )「うん、覚えてる」
(´・ω・`)「えっ?お清めのお塩を?」
シュルッ...
( ´_ゝ`)
(´・ω・`)(流石くん、今日もまた不思議な糸してる)
.
130:名無しさん:2023/10/08(日) 21:26:23 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)(この糸が絡まってるところにオトジャくんがいるのかな?)
(´・ω・`)っ(確か昨日はこうして、糸を触ったら姿が見えたんだっけ……)
ギュッ...
( ´_ゝ`)「オトジャも覚えてるよな?」
(´<_` )「うん、覚えてる」
( ´_ゝ`)「だよなぁ!」
(´・ω・`)
(´・ω・`)(……ああ)
(´・ω・`)(気のせいじゃなかった)
(´<_` )
(´・ω・`)(『流石アニヤ』くんとなんもかんもおんなじな子)
(´・ω・`)(『流石オトヤ』くん)
(´<_` )
(´・ω・`)(あっ)
(´・ω・`)(目が合った)
(´・ω・`)「あのっ」
(´<_` ) ニコッ
d(´<_` )「シィー……」
(´・ω・`)
(´・ω・`)(うん、分かった。誰にも言わないよ)
(´・ω・`)(……ほんとは友達になりたかったけど)
.
131:名無しさん:2023/10/08(日) 21:26:43 ID:lrpTdIvI0
( ^ω^) モグモグ
( ^ω^)「このお芋うまいお!」モグモグ
ξ゚⊿゚)ξ「昨日よりも味が染み込んでるわね」
( ^ω^)「げほっ!かはっ!」
ξ゚⊿゚)ξ「はい、お水よ」
(;´・ω・`)「ゆっくり噛んで食べて!」
( ´_ゝ`)「んー?今日も『被害者』に聞き込みにいくのか?」
( ^ω^)「うん!フォックスくんと待ち合わせだお!」
( ´_ゝ`)「フォックスくん」
(´<_` )「狐塚くんか」
(´・ω・`)「生徒会長ちゃんはこのあとお仕事?」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなに悲しそうな目で見ないで。
私だって出来ることなら一緒に行きたいわ」
( ´_ゝ`)「よし、まだ給食の時間はあるな。
流石な俺が自販機で飲み物を買ってきてやろう!」
(´<_` )「よっ!太っ腹!」
( ´_ゝ`)「だろう?」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、ありがとう」
( ^ω^)「ありがとうだお!」モグモグ
(*´・ω・`)「わあ!学校に自販機があるんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「流石家が勝手に持ってきて勝手に管理してるのよ」
( ´_ゝ`)+ ドヤッ
+(´<_` ) ドヤッ
.
132:名無しさん:2023/10/08(日) 21:27:03 ID:lrpTdIvI0
(;´・ω・`)「そんなことあるんですか!?」
ξ゚⊿゚)ξ「流石家はいろんな人の弱みを知ってるみたいだから。
いつか後ろから刺されても知らないわよ?」
( ´_ゝ`)「死ぬことなど怖いものか。
笑ってこの世にさようならしてやるさ」
(´<_` )「……」
( ^ω^)「僕、ジュース買うお金ないお?」
( ´_ゝ`)「ふっふーん、安心しろ。今日のところは
俺等が金を出してやる!百本でも千本でも買ってやるぞ!」
(´<_` )「持ち合わせいくらあったかな。
ひー、ふー、みー、よー……」
( ^ω^)「ひゃっぽんも!?」
(;´・ω・`)「ええっ?奢ってもらうなんて悪いですよう!」
( ^ω^)「まあまあ、諸本くん。今日のところはごちそうになろうお!」
( ´_ゝ`)「諸本くん!貴様を荷物係に任命しよう!
誇りに思っていいぞ!」
(´<_` )「おめでとう。ぱちぱち」
(;´・ω・`)「えっ?」
( ^ω^)「流石くん、諸本くん、ありがとうだおー!」
ξ゚⊿゚)ξ「気を付けていってらっしゃいよー!」
(;´・ω・`)「えええええええっ?」
ピッ
ゴトンッ
.
133:名無しさん:2023/10/08(日) 21:27:27 ID:lrpTdIvI0
ピッ
ゴトンッ
ピッ
ゴトンッ
( ´_ゝ`)σ「やれやれ。長年の天敵がそばにいるのは
慣れないものだな。そう思うだろう?」
(´<_` )「おっかない」
( ´_ゝ`)σ「だよなぁ」
ピッ
ゴトンッ
(´・ω・`)(めちゃくちゃジュース買ってる……)
(´・ω・`)(流石くんの糸、バレないように触っちゃおうかな。
弟くんの姿が見えた方が嬉しいもん)
( ´_ゝ`)σ「貴様をここに呼んだのは話があるからだ」
(´<_` )
(´・ω・`)「僕に?じゃあ、内藤くんも一緒に」
ピッ
ゴトンッ
( ´_ゝ`)σ「内藤くんは『被害者』だからな。
『被害者』の味方をするに決まってる」
(´<_` )「三人っきりで話をしたいんだよ」
(´・ω・`)「?」
ピッ
ゴトンッ
( ´_ゝ`)σ「昨日、古いカラクリ箱の話をしただろう?」
(´・ω・`)「内藤くんの箱には生爪が両手分、
ヒキコモリくんの箱には大量の髪の毛が入ってたんですよね」
.
134:名無しさん:2023/10/08(日) 21:28:08 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)σ「あの箱はガキノモリの御社に置いてあった物だ」
(´<_` )「コトリバコという呪いがかかった箱だったけど、
呪い終わって中身はからっぽのはずだよ」
(´<_` )「長い長い時間をかけて、もともとのコトリバコとは
かなりやり方が変わっていたみたいだったけど」
(´・ω・`)「小鳥……?それって、どういう……?」
ピッ
ゴトンッ
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「兄さん、どうしたの?」
( ´_ゝ`)σ「んー?なんでもないさ、俺はただの優しいお兄ちゃんだからな」
( ´_ゝ`)σ「誰かがあの場所から呪具を持ち出したに違いない」
(´<_` )「バチ当たりなことをするね」
(´・ω・`)(もしかして、犯人が持ち出した……?)
ピッ
ゴトンッ
( ´_ゝ`)σ「オトジャ、なに飲みたい?」
(´<_` )「コーヒー牛乳」
ピッ
ゴトンッ
(´・ω・`)(なんで僕だけ呼び出されたんだろう?)
(´・ω・`)(箱の話なら内藤くんに聞かれても大丈夫なような?)
( ´_ゝ`)「俺等にはここからが重要だ」
(´<_` )
.
135:名無しさん:2023/10/08(日) 21:28:33 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「俺等は『狐塚くん』が大嫌いだ。
オトジャもそう思うよな?」
(´<_` )「苦手」
( ´_ゝ`)σ「オトジャも大嫌いだと言っている。
あの化け狐は相当うさんくさいぞ」
(´・ω・`)「狐塚くんって……?」
( ´_ゝ`)σ「貴様らが『フォックスくん』と呼んでいる奴だ」
(´・ω・`)(フォックスくんって、あのフォックスくん?)
(´・ω・`)(なんで嫌いなんだろう?
すっごく変わってるけど悪い子ではないと思うんだけど)
ピッ
ゴトンッ
( ´_ゝ`)「あの野郎には気を付けろ」
(´<_` )「あの狐には気を付けて」
(´・ω・`)「気を、えっ?」
( ´_ゝ`)「ガキノモリ事件のあと、弟を呼び出したのは、あの化け狐だ」
(´<_` )「あの事件から『被害者』達は様子がおかしくなっていったんだ」
(´・ω・`)「それは……事件の記憶を失ってしまったから……?」
( ´_ゝ`)「そんなもんじゃない」(´<_` )
( ´_ゝ`)「とにかく狐塚くんには気を付けろ。
あれは貴様が思ってるような優しい奴じゃないぞ」
(´<_` )「特に諸本くんは双子の『サイコ』だからな。
俺等と同じ目に遭ってもおかしくはない」
.
136:名無しさん:2023/10/08(日) 21:28:53 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)(あっ……)
(´・ω・`)(確かにおかしなことはあったけど……)
(´・ω・`)(袋を握り潰したら『違う』って言われたんだよね。
だから僕は大丈夫じゃないかな?)
( ´_ゝ`)「警告はしたぞ。あとは好きにすればいい」
(´<_` )「くれぐれも気を付けて」
(´・ω・`)「待って、最後にひとついいですか?
お二人は知ってますか、ニュッくんのこと?」
( ´_ゝ`)「思い出せないが知っているぞ」
(´<_` )「とても恐ろしい人だった」
( ´_ゝ`)「近付きたくはなかったな」
(´・ω・`)「その子もガキノモリ事件の被害者みたいなんです。
でも事件の新聞には五人って書いてあったし、
『被害者』の内藤くんたちも思い出せないみたいで」
( ´_ゝ`)「おそらくガキノモリのカミサマの祝福言のせいだな。
『被害者』の中に事件を忘れたいと願った子がいるんだろう」
(´<_` )「兄さん、名探偵」
( ´_ゝ`)「だろう?」
(´・ω・`)(犯人に忘れるよう呪われたんじゃなくて、
被害者が願ったから忘れてしまった……?)
(´・ω・`)、(そうだとしたら、みんなみんな、よっぽど怖い目に遭ったんだろうな)
( ´_ゝ`)「第三者の俺等に分かるのはそれぐらいだ」(´<_` )
.
137:名無しさん:2023/10/08(日) 21:29:21 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「飲み物は忘れずに持って帰るんだぞ。
なにお礼なんて結構だ、たかだか二千円ぽっち」
(;´・ω・`)「こんなにたくさん持ちきれませんよう」
( ´_ゝ`)「俺等は自販機で買い物などしないからな。
とりあえず適当に買っておいたぞ」
(´<_` )「兄さん、優しい」
( ´_ゝ`)「だろう?」
ズシッ...
(;´・ω・`)「お、重っ」
キーンコーン
カーンコーン
( ´_ゝ`)「お昼休みになったな。俺等は新聞部に行くか」
(´<_` )「また俺等の新聞を屋上からバラまくんだね」
( ´_ゝ`)「このコーヒー牛乳二本だけはもらっていくよ」
( ´_ゝ`)「またな」(´<_` )
(;´・ω・`)「お、お助け……」
──お昼休み
ズル...
ズル...
(;´・ω・`)「はぁ、ひぃ、戻りましたぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「おかえりなさい」
(;´・ω・`) ズッシリ
ξ゚⊿゚)ξ「ジュースは十本までって言ったのに!」
(;´・ω・`)「ぼ、僕じゃないです!!」
.
138:名無しさん:2023/10/08(日) 21:29:47 ID:lrpTdIvI0
ξ゚⊿゚)ξ「あら、内藤くんは?」
(´・ω・`)「えっ?内藤くんは?」
ξ゚⊿゚)ξ「フォックスくんが連れて行ったわよ。
諸本くんを自販機まで迎えに行くって言ってたけど」
(´・ω・`)「んん?会いませんでしたよ?」
(´・ω・`)(もしかして、すれ違いになっちゃった?)
(´・ω・`)(こうしちゃいられないっ)
(´・ω・`)「ちょっと追いかけてきます!!」
ξ゚⊿゚)ξ「あっ!ちょっと!」
ξ゚⊿゚)ξ「もう。このジュースの山どうすればいいのよ?」
(´・ω・`)(おっかしいなぁ?)
(´・ω・`)(中庭の庭園には誰もいなかったや。いったいどこ行ったんだろう?)
タッタッタッタッタッ
川 々 )「たいへん!たいへん!」
川 々 )「ワカッテマスくんに、しかられちゃう!」
(´・ω・`)「へ?」
ドンッ!!
(;´・ω・`)「ぴゃいっ!?」
ドサッ!!
(;´・ω・`)「いたたたたた……」
(;´・ω・`)(なにが起きたんだろう?)
.
139:名無しさん:2023/10/08(日) 21:30:08 ID:lrpTdIvI0
(;´・ω・`)(なにかにぶつかって、弾き飛ばされた?)
川 ゚ 々゚)「ありゃりゃー?」
川 ゚ 々゚)「げんきですか?いきてますか?しんでますか?」
(;´・ω・`)「あっ、げんき!ちょっと転んだだけです!」
グイッ
(;´・ω・`)「わわっ!?」
(;´・ω・`)(く、首根っこ捕まれて持ち上げられてる!?)
川 ゚ 々゚)「おまえ、ワカッテマスくん?ワカッテマスくんでしょ?」
(;´・ω・`)「い、いいえ!諸本くんです!!」
川 ゚ 々゚)「なーんだ、ワカッテマスくんじゃないんですかー」
(´・ω・`)(誰だろう、この子?)
(´・ω・`)(不思議な子だなぁ)
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくんじゃないモロモロくーん」
(´・ω・`)(見た目は大人っぽくて、モデルさんみたい。
でも言ってることとやってることは小さい子みたいだ)
(´・ω・`)(……うん?)
(;´・ω・`)(いま、ワカッテマスくんって言った!?
『優等生くん』のワカッテマスくん!?)
(;´・ω・`)「!」
(;´・ω・`)(足首に青のリボン……?)
(;´・ω・`)(この子、『問題児ちゃん』……!?)
(;´・ω・`)「あ、あの!」
川 ゚ 々゚)「なーに?ワカッテマスくんじゃないモロモロくん?」
.
140:名無しさん:2023/10/08(日) 21:30:38 ID:lrpTdIvI0
(;´・ω・`)「ガk」
川 ゚ 々゚)「ねーね、ワカッテマスくんってしってますか?
ワカッテマスくん、ワカッテマスくん」
川 ゚ 々゚)「んふふー、ワカッテマスくんかわいいね?」
(;´・ω・`)「え゛っ。かわ、いい?」
川 ゚ 々゚)「クルウちゃんねー、おっきくなったら、
ワカッテマスくんといっしょにすみます!」
川 ゚ 々゚)「クルウちゃんとーワカッテマスくんはねー!
パパとママがきめた、イイナズケなのです!」
(;´・ω・`)(許婚!?)
(;´・ω・`)「いいn」
川 ゚ 々゚)「でもねでもね!クルウちゃんとー、ワカッテマスくんのー、
好きのカタチは、そーゆーカタチじゃないんです!」
川 ゚ 々゚)「だからねー、もーっとおっきくなったらねー!
クルウちゃんとー、ワカッテマスくんとー、
ワカッテマスくんのみらいのおよめさんー、三人でいっしょにすみます!」
(;´・ω・`)「えぇ……?」
(;´・ω・`)「なn」
川 ゚ 々゚)「いっけなーい!はやくはやく、もどらなくっちゃ!
ワカッテマスくんに、しかられちゃう!」
川 ゚ 々゚)「おちゃかいをやるのです。クルウちゃん、おちゃかい大好きです。
大好きなものがいっぱいだからです」
川 ゚ 々゚)「あおいティーカップ、きれいなおはな、きいろいリボン、
こげたクッキー、おさとうたっぷり、かわいいワカッテマスくん」
川 ゚ 々゚)「かわいいかわいい、おちゃかいです」
.
141:名無しさん:2023/10/08(日) 21:30:59 ID:lrpTdIvI0
──屋上
( ^ω^)「おーん、寒いおー……」
爪'ー`)y‐「気をつけてちょおだい?
昼間は作業してないけど、あっちこっち増築工事の途中だぜ」
爪'ー`)y‐「まーた学校が迷路になっちまうわね?ただでさえ入り組んでるのに」
( ^ω^)「ほんとにあとから来るんだお?諸本くん」
爪'ー`)y‐「そうよん♪自販機で会ったときに、
あとから追いかけるから先に行ってくれとよ」
( ^ω^)「なんで僕達、屋上にいるんだお?」
爪'ー`)y‐「一昨日ブーンちゃん達が中庭に突撃したでしょお?」
( ^ω^)「泣かせちゃったんだお」
爪'ー`)y‐「もうブーンちゃん達に泣かされないように、
ワカッテマスちゃんは屋上のサンルームに移動したってわけだ」
( ^ω^)「おお!ここにもお花咲いてるお?」
爪'ー`)y‐「いやあ、ないんじゃないかしら?
ワカッテマスちゃん、御機嫌ななめじゃなきゃいいけどな」
ガチャッ
( ^ω^)「おお!お花は咲いてないけどあったかいお!」
( <●><●>)「また来たのですか。望まれてもいないくせに」
( ^ω^)「ワカッテマスくん!会いに来たお!」
( <●><●>) モグモグ
( <●><●>) ゴックン
( <●><●>)「御茶会中はお静かに」
( ^ω^)「ワカッテマスくんに聞きたいことがあるんだお!」
.
142:名無しさん:2023/10/08(日) 21:31:27 ID:lrpTdIvI0
( <●><●>)「嫌いなんですよ、貴方の顔と声。
全身全霊、受け付けられないんです」
爪'ー`)y‐「クッキーいっこもらうぜぇ♪もぐっ……おぶ、焦げてる~!」
( <●><●>)「うわあ。貴方もいるんですか」
爪'ー`)y‐「『うわあ』って言わないで~?俺様傷ついちゃうぜ~?」
爪'ー`)y‐「このにがぁいクッキー作ったのってクルウちゃんか?」
( <●><●>)「私ですがなにか問題ありますか?
あるなら今夜、二時間の討論を行いましょう」
爪'ー`)y‐「あれえ~?まずいと思ったけど美味しかったわ~!
ちょっと香ばしくっておーいしーい!」
( <●><●>)「近付かないでください。香水くさい」
( <●><●>)「いつもいつも食事中にはやめてくださいと言いましたよね?
嫌がらせでしょうか?私のこと嫌いなんですか?」
爪'ー`)y‐「俺様がお前さんを嫌いなわけないでしょ♡」
( ^ω^)「嫌いじゃないお!僕達はおんなじ『被害者』だお!」
( <●><●>)「ふんっ」
( <●><●>) サラサラ
爪'ー`)y‐「小瓶の中身、まだなくなってねぇの?」
( <●><●>)「偉くもないくせにお説教はやめてください。
どうせ明日までになくなればいいのでしょう」
爪'ー`)y‐「俺様のはこのとおり♪からっぽになってるぜ!」
( ^ω^)「僕のもなくなってるお!偉いでしょう?」
( <●><●>)「はあぁぁぁ。どうして貴方達に絡まれるときに限って、
素直くんはいないのでしょうね」
( <●><●>)「それで?なんです?しょうこりもなく事件のことを聞きに?」
.
143:名無しさん:2023/10/08(日) 21:31:54 ID:lrpTdIvI0
爪'ー`)y‐「ワカッテマスちゃん、ちょっとちょっと」
( <●><●>)「ですから、近付くなと……」
爪'ー`)y‐ ボソボソ
( <●><●>)
( <●><●>)「!」
( <●><●>)「本当なんでしょうね?」
爪'ー`)y‐「俺様が嘘ついたことあった?」
( <●><●>)「ええ、たくさん。
私は貴方の胡散臭いところがいっとう嫌いなんですよ」
爪'ー`)y‐「嫌いになっちゃいや~ん♪」
爪'ー`)y‐「ガキノモリ事件はまだ終わってないんだぜ」
( ^ω^)「犯人から僕達にこの箱と手紙が届いたんだお!」
( <●><●>)「待ちなさい」
( <●><●>)「そのきったならしい箱なら私のところにも届きました」
爪'ー`)y‐「犯人の姿を見たかしら?」
( <●><●>)「知るわけないでしょう、
朝学校の下駄箱に置いてあったのですから」
( ^ω^)「いま、どこにあるんだお?」
( <●><●>)「どうせまた『被害者』への嫌がらせだろうとゴミ箱に捨てました」
爪;'ー`)y‐「おま、お前さんね~!」
( <●><●>)「それを素直くんが拾ったので、
素直くんが持ってるでしょうね」
( ^ω^)「クルウちゃんが?」
.
144:名無しさん:2023/10/08(日) 21:32:21 ID:lrpTdIvI0
爪'ー`)y‐「じゃあ、まだ箱は開けてないんだな?」
( <●><●>)「この私がやるわけないでしょう。パズルは自分で解くよりも、
解こうと苦しんでいるの誰かさんを見てる方が楽しい」
( <●><●>)「素直くんはもうすぐ帰って来るはずです、
そのときスカートのポケットから引っぱり出したらいい」
( ^ω^)「クルウちゃん、なんでもポケットに入れちゃうおね」
( <●><●>)「本当におこちゃまで困ります。もっと上品に育ってもらわなくては」
爪'ー`)y‐「ワカッテマスちゃん、事件のこと聞かせてくれる?」
( <●><●>)「本当は嫌ですが仕方ありませんね。
この借りはいつか返してもらうとしましょう」
( <●><●>)「あの事件について覚えてることなんてほとんどありません」
( <●><●>)「誰かさんが忘れ物してしまって、放っておけばいいのに、
私達はみんなで夕暮れになるまで探していました」
( <●><●>)「誰かさんは途中で帰ってしまいました。
まったく、どうして私も帰らなかったのでしょうね。
ずるいと思います。あの子の名前、名前は……」
( <●><●>)「…………デレちゃん……?」
( <●><●>)「私達はよくガキノモリのお庭で遊んでいましたが、
御社の扉が開いているのは初めてのことでした」
( <●><●>)「一人が中に入っていくと、私達もあとをついていきました。
よく分かりませんが、それが、当たり前だと思ったからです」
( <●><●>)「別に、御社にイタズラしたかったんじゃありません。
なくしたものを見つけたかったんです。それだけだったのに」
( <●><●>)「中には知らない人がいました」
.
145:名無しさん:2023/10/08(日) 21:33:36 ID:lrpTdIvI0
( <●><●>)「その男の手によって、扉が閉められました」
( <●><●>)「私達は犯人と一緒に御社に閉じ込められました。
ひとつだけある出口の前には、いつも犯人が座っていました」
( <●><●>)「どれくらいの時間が経ったのか、だれにも分かりませんでした。
小さな明かりはついていたけれど、御社には窓がひとつもなかったんです」
(。<●><●>) ポロッ
(。<●><●>)「持ってたお菓子は、すぐになくなりました」
(。<●><●>)「た、食べるものがなんにもなくて、っふ、井戸のお水をいっぱい飲んでました。
飲んではいけない水だから、飲むたんびに、どうにかなってしまうのでは、と怖かった」
(。<●><●>)「お水でお腹はいっぱいなのに、なのに、それでもお腹は空きました」
(。<●><●>)「お腹が空いてお腹が空いて、ひっく、
みんなありもしないものを、見たり聞いたりするように、なって」
(。<●><●>)「だから」
(。<●><●>)「しっ」
(。<●><●>)「死んじゃう、くらいならっ……」
(。< >< >)「うっ……」
(。< >< >)「いっそのこと……」
(。< >< >)「みんな、で、ひっく」
(。< >< >)「う、うううっ……」
(。< >< >)「ひっく……ガキノモリ、のっ……」
(。< >< >)「カミサマ、に……」
(。< >< >)「おねっ、がい……をっ」
.
146:名無しさん:2023/10/08(日) 21:34:05 ID:lrpTdIvI0
(。< >< >)「うああああああああああああああぁぁぁぁぁん!!」
(。< >< >)「やだやだやだ!僕なんにも知りません!!」
( ^ω^)「ワカッテマスくん、『デレちゃん』って誰だお?」
(。< >< >)「知らない知らない知らない!!知りたくない!!」
( ^ω^)「ワカッテマスくん、カミサマに
どんな祝福言をしたんだお?」
(。< >< >)「怖いよぉ!!もういやだあああああああ!!」
パシンッ‼︎
(。<〇><〇>)「ひっ!?」
( ^ω^)「ワカッテマスくん、僕が質問してるだろ」
(。<〇><〇>)「い、いたいっ……、ぶった……」
(。<〇><〇>)「いたいよう、やめてよう……」
( ^ω^)「ワカッテマスくん、もう一度聞く。
ガキノモリのカミサマにどんな祝福言をした?」
(。<〇><〇>)「僕、僕……こんな怖いの、いやだった……」
(。<〇><〇>)「おうちに帰りたかった……」
(。<〇><〇>)「怖いことぜんぶ、なくしたかった……」
( ^ω^)「『ニュッくん』と『デレちゃん』は?」
(。<〇><〇>)「ひっ……!わ、分かんない……」
.
147:名無しさん:2023/10/08(日) 21:34:29 ID:lrpTdIvI0
(。< >< >)「もう、もう……ぶたないで……!
このとおりです……!」
(。< >< >)「いたいこと、しないでください……!
おねがいします……、おねがいします……!」
(。< >< >)「うっ、ううう……!」
(。< >< >)「たすけてぇ、クーちゃん……!!」
川 々 )「ワカッテマスくんをいじめるなー!!」
ガッ
( ^ω^)「おお、いたい」
爪'ー`)y‐「あらまあ、見事な飛び蹴り」
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくん!ないてる!かわいい!」
(。< >< >)「ひっく……ひっく……」ガタガタ
川 ゚ 々゚) ギュッ
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくんはすごいんだぞー!!
とってもえらいんだぞー!!」
(。<〇><〇>) ビクッ
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくんがいると、クルウちゃんはうれしい!」
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくんを守るの、クルウちゃんはうれしい!」
川 ゚ 々゚)「きょうも生きててくれてあんがとね!!」
(。<〇><〇>)
( <●><●>)「私が話せることはもうありません」
.
148:名無しさん:2023/10/08(日) 21:35:00 ID:lrpTdIvI0
(;´・ω・`)「ぜぇ、ぜぇ……やっと、追いついたぁ……!」
( ^ω^)「あっ!諸本くん!」
(;´・ω・`)「内藤くーん!やっと見つけたよー!」
爪'ー`)y‐「あらあら」
( ^ω^)「諸本くんこと待ってたんだお!どこ行ってたんだお?」
(;´・ω・`)「もう!それはこっちのセリフだよー!」
(;´・ω・`)「君を探してる途中で問題児ちゃんに出会って、
これから優等生くんのところまで行くっていうからついてこうとしたんだけど、
とてもじゃないけど問題児ちゃんの足が速すぎちゃって、もう!もう!もう!」
(;´・ω・`)「校舎五階の人込みで問題児ちゃんを見失っちゃって、でも指に結んであった
白いリボンが見えたから、それを辿って屋上まで上がってきたんだよ!」
( ^ω^)「諸本くん、すごいお!」
(;´・ω・`)「こればっかりはもっと褒めて!」
( ^ω^)「ウルトラハイパースペシャルすごいお!」
(;*´・ω・`)「ははっ、なぁにそれぇ?」
( <●><●>)「余計なおまけまでついてきてしまいましたね。
『第三者くん』はお呼びではありませんよ」
(;´・ω・`)「うわあ!優等生くんだぁ!」
( <●><●>)「人をお化けみたいに言わないでください。嫌いなのでしょうか?」
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくん!おこったおカオもかわいいね、かわいいね!」
ギュウゥゥゥ
(;< >< >)「ぐえっ!!愚か者ッ、離しなさい首が!息がっ」
.
149:名無しさん:2023/10/08(日) 21:35:24 ID:lrpTdIvI0
川 ゚ 々゚)「ありゃ?」
(;< >< >)「けほっ、殺す気でしょうか?私がお嫌いですか?」
川 ゚ 々゚)「ううん!くるしそうなワカッテマスくん、とーってもかわいいよ!」
( <●><●>)「だいたい素直くんは仕事が遅すぎるんですよ。
お湯を汲みにいくのにどこまで行ってるんですか」
( <●><●>)「貴方がいない間におかしなのに絡まれました。
これからはもっと、しっかり私を守るように」
川 ゚ 々゚)「はーい!クルウちゃん、しっかりまもります!
ワカッテマスくんを、つかんではなしません!」
ガシッ
( < >< >)「いっだぁ!!だから力加減をしなさいと!!
離しなさい、馬鹿者!腕が、折れるっ」
( ^ω^)
爪'ー`)y‐
( <●><●>)
川 ゚ 々゚)
(´・ω・`)(『被害者』が四人も集まってるところ初めて見た)
( ^ω^)「学校でここまで集まるの懐かしいお!
ヒッキーくんも呼んで来たいおね!」
( <●><●>)「無理に決まってるでしょう。あの陰鬱で臆病な引きこもりが、
保健室の外に、ましてや日の当たる屋上に出て来るなど」
爪'ー`)y‐「ナイスタイミングだぜ♪クルウちゃんも
ガキノモリ事件のこと話してくれないかしら?」
川 ゚ 々゚)「ぶっぶー!だめです!クルウちゃん、
ジケンのおはなし、キンシされてます!」
.
150:名無しさん:2023/10/08(日) 21:35:54 ID:lrpTdIvI0
川 ゚ 々゚)「キケンがあぶない!フォックスくん言ってました!」
( <●><●>)「そのフォックスくんが話して欲しいと
頭を下げてるのですから話してあげなさい」
( <●><●>)「そうすれば私達、こんな生活から抜け出せるんですから」
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくんがそういうなら!」
爪'ー`)y‐「やぁだ、俺様傷ついちまうわ~」
(´・ω・`)(どういう意味だろう、いまのワカッテマスくんの言葉?)
(´・ω・`)(ガキノモリ事件の犯人に怯えて暮らす生活、かな……)
川 ゚ 々゚)「私が事件について覚えてることは、ほとんどありません」
川 ゚ 々゚)「みんなでなくしものを探していたこと、御社の中に、
それから、それから、みんなで祝福言をしたこと」
川 ゚ 々゚)「『お父さん、お母さん、お姉ちゃん、デレちゃん、
学校の先生様、迎えにきてください。私達をここから連れだしてください』」
川 ゚ 々゚)「これが私がガキノモリのカミサマにした祝福言でした」
川 ゚ 々゚)「犯人のことは顔も声も覚えていません」
川 ゚ 々゚)「なんべんも『見られた』って言ってました。
なんべんも『失敗した』って言ってました」
川 ゚ 々゚)「『お前らのせいだ』って怒鳴られました」
.
151:名無しさん:2023/10/08(日) 21:36:20 ID:lrpTdIvI0
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくんがほっぺたをひっぱたかれて、
クルウちゃんはとっても怒りました」
川 ゚ 々゚)「はじめは、やっつけようとしたんです。
なんべんやっつけようとしてもダメでした」
川 ゚ 々゚)「子供は大人にはかないっこありません。
子供は大人の言うとおりにするしかありません」
川 ゚ 々゚)「クルウちゃんが犯人をやっつけようとするたんびに、
ワカッテマスくんが、他のみんなが、ひっぱたかれました」
川 ゚ 々゚)「怪我はありませんでした」
川 ゚ 々゚)「でも私のせいで、みんなが痛がってるのです。
もう犯人にはなんにも出来なくなりました」
川 々 )「大きな声を出すと怒られました。私達の中には、
一日一回お歌を歌わなくっちゃいけない子がいます」
川 々 )「犯人が扉にもたれかかって眠ったあと、
みんなでそのお歌を聞くのだけが楽しみでした」
川 々 )「それから、ぐっ……」
川 々 )「それから、それから……」
川 々 )「ニュッくん……が……」
(´・ω・`)(また『ニュッ』くん……)
(´・ω・`)(ガキノモリ事件にいないはずの六人目の子)
(´・ω・`)(流石くんが怖がってる子、フォックスくんが慕ってる子)
(´・ω・`)(その子さえ見つかれば大きな手掛かりになるのに)
.
152:名無しさん:2023/10/08(日) 21:36:48 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)「どうしてニュッくんは会いに来てくれないんだろう……」ボソッ
爪'ー`)y‐「あ」
(;´・ω・`)(しまった、声に出ちゃ……)
川 々 )
川 々 )「貴様になんの関係がある」
川 々 )「忌々しい諸本家の人間が」
(´・ω・`)(あ)
(´・ω・`)(蹴られる)
ガッ!!
(;´>ω・`)「いったぁ……」
川 々 )「貴様にはあるか!?」
川 々 )「知らない大人に子供だけで閉じ込められたことが!!
呪われた物に囲まれて震えながら過ごしたことが!!」
川 々 )「どれくらい時間が経ったのか分からない場所にいたことは!?
ひもじくてひもじくて革のベルトをかじったことは!!??」
川 々 )「両腕に傷跡をつけなくてはいけなくなったことは!?」
川 々 )「ただの『第三者』が!!」
川 々 )「私達の中に入ってくるなぁ!!」
(;´・ω・`)「ひっ……」ゾッ
(;´>ω<`)(殺されるっ)
.
153:名無しさん:2023/10/08(日) 21:37:38 ID:lrpTdIvI0
( <●><●>)「クーちゃん」
( <●><●>)「蹴ったら嫌いになります」
川 々 )「!」
( <●><●>)「『クーちゃん』、知ってるでしょう?」
( <●><●>)「いじめっこから私を守ってくれる、
正義の味方。知ってるでしょう?」
川 々 )
川 ゚ 々゚) ニコッ
川 ゚ 々゚)「知ってるよ!ワカッテマスくん!」
( ^ω^)「えっ?僕がワカッテマスくんをぶった?」
(;´・ω・`)「ええっ?内藤くんが?冗談ですよね?」
( <●><●>)「冗談なものですか、正気を疑いますね。
私は痛いことされるのがいっとう嫌いなんですよ」
( ^ω^)「おーん、ごめんおー」
( <●><●>)「その顔とその声をやめなさい。
生理的に受け付けない、鳥肌が立ちます」
(;^ω^)「おーん……」
川 ゚ 々゚)「クルウちゃんもモロモロくんにゴメンナサイします!」
(;´・ω・`)「いいんですよ!あれはしょうがないですもん!」
.
154:名無しさん:2023/10/08(日) 21:37:58 ID:lrpTdIvI0
爪'ー`)y‐「クルウちゃん。ポッケの中身、出してちょおだい?」
川 ゚ 々゚)「えー!」
爪'ー`)y‐「俺様、クルウちゃんが集めた
とっておきの宝物、見てみたいな~?」
川*゚ 々゚)「クルウちゃんのかわいいタカラモノ!いーよー!」
川 ゚ 々゚)「えっとねぇ、ビーダマとー、マシュマロとー、
ポケットティッシュとー、カマキリのタマゴとー」
爪'ー`)y‐「うっ……」
川 ゚ 々゚)「あとね、ワカッテマスくんからもらったかわいい箱!」
( <●><●>)「ゴミ箱に捨てたはずですが」
川 ゚ 々゚)「ワカッテマスくんが捨てたものはクルウちゃんのものなの!」
( <●><●>)「はぁぁぁぁ……」
爪'ー`)y‐「さーて、ちゃちゃっと開けちゃいましょうか!」
カタカタ
カタカタ
( ^ω^)「箱の中身はなんだろうお?」
(´・ω・`)「あんまり考えたくないや」
( ^ω^)「当てっこしようお!爪、髪とくれば?」
(´・ω・`)「え゛っ!?ええと、皮膚、とか?」
爪'ー`)y‐「パズルやってる俺様の隣でおっかねぇ話しないでくれる!?」
( <●><●>)「ふんっ。悪趣味ですよ」
川 ゚ 々゚)「わくわく!わくわく!」
.
155:名無しさん:2023/10/08(日) 21:38:25 ID:lrpTdIvI0
カタンッ...
爪'ー`)y‐「開けるぜ……?」
カタンッ...
ポロポロッ
爪'ー`)y‐「おっと!溢れちまった!」
( ^ω^)「なんか白いやついっぱい入ってるお!」
(;´・ω・`)「わー!!内藤くん!触らない方がいいよ!」
川 ゚ 々゚)「わー!わー!みちゃだめー!!
ワカッテマスくんのキョーイクにわるいです!」
( < >< >)「ぐえっ!!こら、重い!頭に乗っかるんじゃありません!」
爪'ー`)y‐「……歯ね」
(´・ω・`)「こんなのシャレにならない……」
(´・ω・`)(こんなにたくさん…)
(´・ω・`)(しかも大人の歯だ……)
川 ゚ 々゚)「かーわいいー!いっこもらっていーい?」
爪'ー`)y‐「だーめ!お前さん、ポッケに入れるつもりでしょ?」
川 ゚ 々゚)「むう」
( <●><●>)「それ触った手で私に触らないでくださいね」
川 ゚ 々゚)「きれいにします!」
ゴシゴシ
爪'ー`)y‐「ちょ!!俺様の服で手拭かないで!?」
.
156:名無しさん:2023/10/08(日) 21:39:36 ID:lrpTdIvI0
( <●><●>)「貴方達に関わるとろくなことがないと証明されましたね。
私は教室に帰りますので。ついて来ないでください」
爪'ー`)y‐「またねん、ワカッテマスちゃん♪」
(´・ω・`)「あ、ありがとうございました!」
( ^ω^)「また遊びに来るおー!」
( <●><●>)「もう来ないでください。今度こそ嫌いになりますよ」
( <●><●>) スタスタ
川 ゚ 々゚)
( <●><●>)「なぜついて来ないんです?行きますよ、素直くん」
川 ゚ 々゚)「えー?でもついて来ないでってワカッテマスくんがー」
( <●><●>)「空気を読みなさい。
賢く見えるよう敬語もお忘れなく。貴方は賢いんですから」
川 ゚ 々゚)「分かりにくいワカッテマスくん、かわいいですね!」
川 ゚ 々゚)ノシ「ごきげんよう!おふたりさーん!」
キーンコーン
カーンコーン
爪'ー`)y‐「俺様達もそろそろ戻りましょうか」
(´・ω・`)(二人に『デレちゃん』について聞きたいけど、
連続で事件のことを思い出したら頭が痛くなっちゃうかな)
(;´・ω・`)「いたた……蹴られたところがいまさら痛くなってきちゃった……」
( ^ω^)「大丈夫かお?クルウちゃんがごめんお」
(;´・ω・`)「内藤くんが謝ることじゃないでしょ」
爪'ー`)y‐「『被害者』はガキノモリ事件のことを思い出そうとすると、
こうなっちまうのよ。でも本人はそのこと憶えてないんだ」
爪'ー`)y‐「俺様からもごめんなさいね、ショボンちゅわん?」
.
157:名無しさん:2023/10/08(日) 21:40:53 ID:lrpTdIvI0
(´・ω・`)「アイドルくんも、ああなるんですか?」
爪'ー`)y‐「そう急かさなくったって見せてアゲル♪
……最後にな」
──放課後
───────────────
【被害者】
( ^ω^) 影くん
名前:ブーンくん(内藤くん)
糸:被害者と白のリボンで結ばれている
備考:ネックレスに紫色のリボンを結んでいる
証言:『卒業式を楽しみに』という声を覚えてる
( <●><●>) 優等生くん
名前:ワカッテマスくん
糸:内藤くんと白のリボンで結ばれている
備考:中指と薬指に黄色のリボンを結んでいる
証言:祝福言をしたタイミングは餓死しそうになったとき?
祝福言は「おうちに帰りたい」「怖いことをなくしたい」?
川 ゚ 々゚) 問題児ちゃん
名前:クルウちゃん
糸:内藤くんと白のリボンで結ばれている
備考:足首に青色のリボンを結んでいる。
証言:犯人は子供達に見つかって呪術に失敗?
なりゆきで子供達を御社に監禁した?
祝福言は「助けが来てくれますように」?
爪'ー`)y‐ アイドルくん
名前:フォックスくん
糸:内藤くんと白のリボンで結ばれている。
備考:耳に桃色のリボンを結んでいる。
証言:最後に話してくれるみたい
(-_-) ヒキコモリくん
名前:ヒッキーくん
糸:内藤くんと白のリボンで結ばれている。
備考:手首に緑色のリボンを結んでいる。
証言:『被害者』はもう一人いた?名前はニュッくん。
祝福言は「甘くて美味しいパイをお腹いっぱい食べたい」
.
158:名無しさん:2023/10/08(日) 21:41:13 ID:lrpTdIvI0
( ) ニュッくん?
備考:ガキノモリ事件の被害者は六人だった?
流石くんに恐れられ、被害者に慕われている。
( ) デレちゃん?
備考:ガキノモリ事件当日に『被害者』と一緒に遊んでいた?
事件が起きる前に家に帰ったらしい。
───────────────
(´・ω・`)「もう帰っちゃうの?」
ξ゚⊿゚)ξ「もうちょっとゆっくりしていきなさいよ?」
( ^ω^)「ごめんお!みんなが待ってるんだお!」
(´・ω・`)「そういえば『被害者』のみんなと一緒に帰ってるんだっけ?」
ξ゚⊿゚)ξ「あら。珍しいこともあるもんね」
(´・ω・`)「内藤くん、またね」
ξ゚⊿゚)ξ「また明日ね、ブーンくん」
( ^ω^)「うん!またね、だお!」
──喫茶店
( ´_ゝ`)「ここは俺のおごりだ。好きなだけ頼むがいい」
(´<_` )
(;´・ω・`)「いっこも頼めないですよ!?
ジュースごちそうになったばっかりなのに!」
ξ゚⊿゚)ξ「怪しいわね?いったいなにを企んでいるの?」
.
159:名無しさん:2023/10/08(日) 21:42:17 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「俺は懐の広い兄だからな、そう思うだろう?」
(´<_` )「兄さん、優しい。メロンフロート飲みたい」
( ´_ゝ`)「注文しよう!」
(´・ω・`)「もしかして一緒に事件を解決してくれるんですか!?」
( ´_ゝ`)「なに、優しいオトジャが貴様等を気にかけていたからな。
印刷所の予約の時間まで付き合ってやるだけさ」
(´<_` )「犯人が『ガキノモリのカミサマの祝福言のやり方を知ってる』
アニジャの命を狙うかもしれないからね」
( ´_ゝ`)「いい情報をくれてやろう。
この新聞記事を見てくれ」
ξ゚⊿゚)ξ「これは……」
『桟橋落下!夫婦死亡』『一家心中?生き残り姉妹』
『暴走車追突事故』『研究所爆発三名死亡』
(´・ω・`)「んんっ?どっかで見たような?」
( ´_ゝ`)「みんなガキノモリ事件が起きたあとに起きた事故や事件だ」
(´<_` )「この記事を見てなにか気付かない?」
(´・ω・`)「あれ?この日付……」
ξ゚⊿゚)ξ「おんなじ日に四つの事件が起きたの!?」
.
160:名無しさん:2023/10/08(日) 21:42:51 ID:lrpTdIvI0
『桟橋落下!夫婦死亡』
( ´_ゝ`)「この事故では狐塚くんの両親が死んだ。
狐塚くんは転校して暁廟町から出ていくはずだったが、
この事故のせいで孤児院に引き取られた」
(´<_` )「車が森の中に落っこちてしまって、発見がかなり遅れてしまったんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「フォックスくんね」
(´・ω・`)(アイドルくんだ)
『一家心中?生き残り姉妹』
( ´_ゝ`)「この事件では素直さんの両親が自宅で自殺した。
両親は娘二人も巻き込もうとしたが、姉が妹を連れて逃げたらしい」
(´<_` )「姉妹はしばらく家に帰らなかった。これもかなり発見が遅れてしまった」
ξ゚⊿゚)ξ「クルウちゃんだわ」
(´・ω・`)(問題児ちゃんだね)
『暴走車追突事故』
( ´_ゝ`)「小森くんの両親が乗った車が暴走して……俺の弟を巻き込んだ事件だ」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「小森くんは転校して暁廟町から出ていくはずだったが、
狐塚くんとおなじく両親を亡くして孤児院に引き取られた」
ξ゚⊿゚)ξ「ヒッキーくんよ」
(´・ω・`)(ヒキコモリくんのお父さんとお母さんが、流石くんの弟を……?)
(´・ω・`)(アイドルくんとヒキコモリくんはおんなじ孤児院にいるのかな)
.
161:名無しさん:2023/10/08(日) 21:43:17 ID:lrpTdIvI0
『研究所爆発三名死亡』
( ´_ゝ`)「この事故では町の研究所が爆発して、
職員だった内藤くんの父親と、都出さんの父親と、益若くんの母親が死んだ」
( ´_ゝ`)「益若くんは転校して暁廟町から出ていくはずだったが、
この事故がきっかけで転校はなくなった」
ξ ⊿ )ξ「……」
(´・ω・`)(内藤くんと、生徒会長ちゃんと、優等生くん……)
(´・ω・`)「こんなのおかしいよ……」
( ´_ゝ`)「暁廟町の誰もが呪いだと思ったさ」
(´<_` )
( ´_ゝ`)「それぞれの事故や事件がつながってるとは思わない」
(´<_` )「でも、別のなにかがつながってるとは思わないか?」
(´・ω・`)「『被害者』はガキノモリ事件のあと、
暁廟町から出ようとしていた……?」
(´・ω・`)(そりゃあ、そうだよね。
これだけの事件があって、これだけの噂をされてるんだもん)
(´・ω・`)(そして、両親をカミサマに呪い殺された……?)
(´・ω・`)「暁廟町から出て行くことが許せなかったのかな……?
『被害者』はガキノモリのカミサマに愛されてるから……」
ξ゚⊿゚)ξ「流石くん、前に言ってたわよね?
祝福言と引き換えに大切なものをなくしてしまう、って」
ξ゚⊿゚)ξ「それってつまり、暁廟町から出られなくなってしまうということ?」
( ´_ゝ`)「確かに俺等も暁廟町からは出られない」
.
162:名無しさん:2023/10/08(日) 21:43:40 ID:lrpTdIvI0
(´<_` )「兄さん、俺だけが出られないんだよ。
暁廟町の外の世界に行くと消えてしまうみたいだ」
(´<_` )「兄さん一人ならば世界中の写真を撮りにいけるのに」
( ´_ゝ`)「いいや。暁廟町が俺等の世界だ」
(´・ω・`)「つまり流石くんたちは町から出られるけど出ないんだね……」
ξ゚⊿゚)ξ「なんでいまの流石くんの言葉で分かったのよ?」
(´・ω・`)「どうして内藤くんたちだけが暁廟町から出られないんだろう……」
( ´_ゝ`)「俺等はこう考えている」
( ´_ゝ`)「死んでしまった大人達は、ガキノモリのカミサマにした
祝福言に反してしまったんじゃないか?」(´<_` )
(´・ω・`)「どういうこと?」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンくんたちの中のだれかの祝福言が、
この町を出ると叶えられないことだった、ってことかしら?」
( ´_ゝ`)「子供が一人で転校することなんて出来やしない」
( ´_ゝ`)「だから転校を決めた大人に、つまり祝福言の邪魔をする者に、
カミサマの裁きがいったのではないか?」
(´・ω・`)(自分達の願いごとが、お父さんやお母さんの命を……)
(´・ω・`)(こんなの、内藤くんたちに言えっこないよ……!)
ξ゚⊿゚)ξ「『被害者』の子供達は、いったいなにを、
ガキノモリのカミサマに願ったのかしら……」
(´・ω・`)「ヒキコモリくんは『甘くて美味しいパイを食べたい』
優等生くんは『おうちに帰りたい。怖いことをなくしたい』
問題児ちゃんは『みんなを助けてください』」
(´・ω・`)「内藤くんとアイドルくんにはまだ聞けてないです」
.
163:名無しさん:2023/10/08(日) 21:44:08 ID:lrpTdIvI0
( ´_ゝ`)「んー?怖いことをなくしたい?」
(´<_` )「みんなが記憶をなくした理由はそれか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ひょっとして、ワカッテマスくんの祝福言で、
ガキノモリ事件の記憶が、みんなから消えちゃったってこと……?」
(´・ω・`)(そんな……)
( ´_ゝ`)「さて、そろそろ支度をするか」
(´<_` )「メロンフロート美味しかった」
( ´_ゝ`)「大丈夫か?寒くないか?」
(´<_` )「暑いも寒いもないのは幽霊の特権だよ」
(´・ω・`)「これだけ、いいですか?実は今日のお昼休み、
優等生くんと問題児ちゃんに話を聞いたんです」
( ´_ゝ`)「益若くんと素直さんか」
(´<_` )「見てると面白い二人だ」
( ´_ゝ`)「関わりたくはないがな」
(´・ω・`)「『デレちゃん』って、知ってますか?」
( ´_ゝ`)「デレちゃん?」
(´<_` )「兄さん、知ってる?」
( ´_ゝ`)「お前が知らないことを俺が知るはずがないさ」
ξ゚⊿゚)ξ「デレちゃん……?」
(´・ω・`)「その子がガキノモリ事件の前に、
内藤くんたちと一緒に遊んでたらしいです」
.
164:名無しさん:2023/10/08(日) 21:44:34 ID:lrpTdIvI0
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと待ちなさいよ……」
ξ゚⊿゚)ξ「あの日、ブーンくんたちと遊んでいたのは、私なのよ?」
(´・ω・`)「!?」
( ´_ゝ`)「ほう?」
(´<_` )
(´・ω・`)(生徒会長ちゃんが事件の『第一発見者』だってことは聞いてた)
(´・ω・`)(でもまさか、事件当日にもみんなと一緒にいただなんて!)
ξ゚⊿゚)ξ「デレちゃんって誰なの?」
ξ゚⊿゚)ξ「あそこにいたのは私よ。私よね?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ、私のはずだわ」
( ´_ゝ`)「記録では『津出レン』で合ってる」
(´<_` )「生徒会長ちゃんで間違いないね」
(´・ω・`)「デレちゃんがなくしものをしてしまって、
みんなで夕暮れ時になるまで探していたんですって」
(´・ω・`)「でもデレちゃんだけは途中で帰っちゃったんだって」
ξ゚⊿゚)ξ「あとでみんなによーく言ってこなくっちゃ!
まったく間違えるだなんて失礼しちゃうわね!」
( ´_ゝ`)「では、時間だ。俺等が協力できるのはここまでだ」
(´<_` )「ガキノモリ事件が解決したらまた遊ぼう」
( ´_ゝ`)「んんっ?ああ!また友達みたいに接しよう!」
(´<_` )「ほんとに友達になればいいのに」
.
165:名無しさん:2023/10/08(日) 21:45:43 ID:lrpTdIvI0
ξ゚⊿゚)ξ「いろいろありがとう。アンタたちのこと誤解してたみたい」
(´・ω・`)「あの!買ってもらったジュースまだ二十本あまってるから、
明日一緒に飲みましょうね!」
( ´_ゝ`)ノ
(´<_` )ノ
ξ゚⊿゚)ξノ
(´・ω・`)ノシ
──諸本邸・離れ屋
ガチャッ
(´・ω・`)(うーん、本当はこんなこと思いたくないけど、
喫茶店の料理が口に合わなくて辛かったな……)
(´・ω・`)(暁廟町の食べ物は僕に合わないのかもしれない)
(´・ω・`)「ただいま帰りました!」
シーン...
(´・ω・`)「もしもし?お手伝いさん?」
(´・ω・`)(おかしいな。いつもどおりならば、
ここで内線電話がかかってくるのに)
(´・ω・`)(……あれ?どうして部屋の明かりがついてるんだろう?)
ヒタッ...
(;´・ω・`)「!」
(;´・ω・`)(誰かいる……!?)
ヒタッ...
ヒタッ...
.
166:名無しさん:2023/10/08(日) 21:46:10 ID:lrpTdIvI0
(;´・ω・`)(足音が……)
(;´・ω・`)(こっちにやってくる!)
(;´・ω・`)(か、隠れなきゃ……!)
(;´・ω・`)(とりあえずコタツの中にでも……)
(`・ω・´)「なにしてるんですか?」
(;´・ω・`)「びゃいっ!?」
(`・ω・´) ニコッ
(;´・ω・`)「に、兄さん!?」
(`・ω・´)っ「驚かせてしまいましたか。
さあ、立ってください」
(;´・ω・`)っ「あ、ありがとうございま……」
(`・ω・´) ニコッ
(´・ω・`)「いつものお手伝いさんは……?」
(`・ω・´)「お前はなにも心配しなくていいのですよ」
(´・ω・`)「?」
(`・ω・´)「私がここにきたことは、秘密にしてくださいね?
私のせいでお前が怒られるのは気分がよくないですから」
(*´・ω・`)「うんっ!絶対に言いません!僕も兄さんに会いたかったんです!
暁廟町に戻ってから、一言二言くらいしか話せないんですもの!」
(*´・ω・`)(まさか本物の兄さんが目の前にいるなんて!)
(*´・ω・`)(僕達も流石くんみたいに、仲のいい兄弟になれるかな?)
(`・ω・´)「いまから45分25秒後に会食があるので、長くはここにいられません。
仕事以外で嘘をつく人にはなりたくなので率直に言いますね」
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167:名無しさん:2023/10/08(日) 21:46:32 ID:lrpTdIvI0
ガシッ!!
(;´ ω `)「い゛っ!?」
(;´ ω `)(……なんで?)
(:´ ω `)(なんで兄さん、僕の髪の毛を掴んで……?)
(`・ω・´) ニコッ
(`・ω・´)「我奇ノ杜事件の関係者とのつながりを、断ってください」
(;´ ω `)「……!?」
(`・ω・´)「どうしました?元気なお返事聞かせてしてください?」
(;´ ω `)「……なんで、兄さん」
(`・ω・´)「私達の家は職業柄、情報にとっても強いんですよ。
諸本家の『サイコ』の噂もすぐに届きました」
(`・ω・´)「残念ながら、とてもよくない」
(;´ ω `)(内藤くんたちと友達をやめろってこと……?)
(`・ω・´)「我奇ノ杜事件の被害者とよろしくしているようですね?
私には隠せませんよ、そういう糸が見えます」
(`・ω・´)「暁廟町の上にいる人々は例の神様に呪われた者を愛しません。
お前と被害者の子供達が一緒にいると、とてもとても困るんですよ」
(;´ ω `)(そんなこと、できないよ……!!)
(`・ω・´)「諸本家の印象に関わります」
ガツンッ!!
(;´ ω `)「いだっ……兄さん、やめて……!ぶたないで……!」
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168:名無しさん:2023/10/08(日) 21:46:54 ID:lrpTdIvI0
(`・ω・´)「本当はこんなことしたくないのです。
私は平和を愛しています。人に暴力を振るうのはとても心苦しい」
(`・ω・´)「お前のためを思って厳しくするのです」
ガツンッ!!
(;´ ω `)「げほっ!!かはっ!!」
(`・ω・´)「私はお前の兄なので、こうして叱るだけですが、
父上に知られたらこんなものでは終わりませんよ」
(`・ω・´)「もしまた諸本家に迷惑をかけたら、
お前はこの離れ屋に死ぬまで閉じ込められることでしょう」
(`・ω・´)「もう一度言います。
我奇ノ杜事件の関係者とのつながりを断ってください」
(;´ ω `)「げぼ、げえぇ……」
(`・ω・´) ニコッ
(`・ω・´)「洗面器を用意しましょう、背中もさすりましょうか?
大丈夫ですよ、嘔吐するのは恥ずかしいことではありません」
(`・ω・´)「心配しないでください。見えるところに傷はつけませんから」
(;´ ω `)「ひゅうっ……っかふ……っ」
(`・ω・´)「可哀想ですね、『サイコ』。
長男長女が死んだもしものときの予備の子供。
二十歳を過ぎれば召使としてしか生きられない」
(`・ω・´)「暁廟町に帰ってきたこと、心の底から同情します」
ガツンッ!!
.