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34

( ^ω^)ガキノモリ事件のようです

​3

169:名無しさん:2023/10/08(日) 21:47:19 ID:lrpTdIvI0


──翌日

(´・ω・`)「やあ。おはよう、生徒会長ちゃん」

ξ゚⊿゚)ξ「おはよう、諸本くん」

ξ゚⊿゚)ξ「元気ないんじゃない?
    ブーンくんが学校お休みだからって、そんなに落ち込まないで」

(´・ω・`)「内藤くんがお休み?」

ξ゚⊿゚)ξ「『被害者』みんなお休みしてるみたい」

(´・ω・`)「大丈夫かな?なにかあったのかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「確かめにいくしかないわね……。
    学校の帰りにブーンくんのおうちに寄ってみましょう」

(´・ω・`)「あっ……」

(´・ω・`)「僕は……やめておきます」

ξ゚⊿゚)ξ「そう?おうちのお手伝いでもあるの?」

(´・ω・`)「そ、それは……」

「生徒会長、ちょっとお話しいいですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「いいわよ、なにかしら?」

ξ゚⊿゚)ξ「諸本くん、またあとでねっ」

(´・ω・`)「うん……」



ザワザワ
ザワザワ

(´・ω・`)

(´・ω・`)

(´・ω・`)「ぁ」

.
 

170:名無しさん:2023/10/08(日) 21:47:48 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)(どうしよう)

(´・ω・`)(僕って内藤くんと津出さん以外、友達いないんだった)

ザワザワ
ザワザワ

(´・ω・`)(周りにはこんなに人間がいるのにね。
    どうやって話しかけたらいいのか分かんないや)

(´・ω・`)(そりゃあそうだよね、どの学校でもぼっちだったもん。
    糸が見えるなんて言うから、狼の骨なんて持ち歩いてるから、
    気持ち悪がられたんだっけ)

(´・ω・`)(転校してきたときは内藤くんから話しかけてくれたんだっけ。
    誰かさんに足をかけられたところに、手を差し伸べてくれた)

(´・ω・`)(内藤くんと一緒にいたから、いじめられなかった)

ザワザワ
ザワザワ

(´・ω・`)(このまま机に顔を伏せて寝ちゃおっかな……)

(´-ω-`)

(´-ω-`)

ザワザワ
ザワザワ





――お昼休み

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあ、諸本くん。生徒会に行ってくるわね」

( ´_ゝ`)「俺等は新聞をばらまきに行ってくるわね、諸本くん」

(´<_` )「わね」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと!いま忙しいんだからやめてくれる!?
    この集会で新しい生徒会長への引き継ぎが終わるんだから!」

.

171:名無しさん:2023/10/08(日) 21:48:09 ID:lrpTdIvI0


( ´_ゝ`)「なんと。生徒会長との鬼ごっこがもう出来なくなるのか」

(´<_` )「寂しくなるね」

ξ゚⊿゚)ξ「なに言ってるのよ?覚悟しなさいね?
    どうせみんなおんなじ高等部に行くんだから!」

( ´_ゝ`)「ちっ」(´<_` )

(´・ω・`)「ふふふ」



( ´_ゝ`)「しかし被害者達は高等部に行かないようだぞ?」

(´<_` )「俺等が仕入れた情報に間違いはないはずだよ」

( ´_ゝ`)「なー」

ξ゚⊿゚)ξ「なによ、それ?聞いてないわよ?」

(´・ω・`)(やっぱり、そうなんだ……)

(´・ω・`)(あのプリントは見間違いじゃなかったんだ……)

ξ゚⊿゚)ξ「放課後、ブーンくんに問い詰めにいく理由が増えたようね」

ξ゚⊿゚)ξ「いっけない!集会に送れちゃうわ!」

( ´_ゝ`)「俺等もその隙に配りまくらねばな」

(´<_` )「兄さん、賢い」

( ´_ゝ`)「だろう?」

(´・ω・`)「あっ!いってらっしゃい!僕、教室でお留守番してますね!」



ザワザワ
ザワザワ

(´・ω・`) ポツン...

(´・ω・`)(またひとりぼっちになっちゃった……)

.
 

172:名無しさん:2023/10/08(日) 21:48:32 ID:lrpTdIvI0


ポトッ

(´・ω・`)「待って!これ!落としました」

(´・ω・`)「よ?」

(´・ω・`)

(´・ω・`)(なんだろう、この落とし物……)

(´・ω・`)(なんでクラスメイトが、内藤くんたちの写真を持ってるんだろう?)

(´・ω・`)(それも、こんなに、いっぱい)

(´・ω・`)(まるで、隠し撮りみたい)



「暁廟町の有名人のブロマイドはいらんかねー」

「『あの優等生くん』、『あの問題児ちゃん』、『あのアイドルくん』、
『あの引きこもりくん』、『あの影くん』、『あの生徒会長ちゃん』」

「どの『被害者』が出るかは開けてからのお楽しみだよー」
「全種類揃えると我奇ノ杜のカミサマの御利益があるよー」



(´・ω・`)「あのう!これって……」

ガッ

(;´・ω・`)「ふわっ!?」

ズシャアッ
バキンッ...

(;´ ω `)「いたい……」

(;´ ω `)(誰かに足をかけて転ばされた?)

.
 

173:名無しさん:2023/10/08(日) 21:49:06 ID:lrpTdIvI0


(;´ ω `)(どうしよう、どうしよう)

(;´ ω `)(怖くて顔をあげられない……)

(;´ ω `)(みんなが僕を笑ってる……)

クスクス
クスクス

「ねぇ見て、例の転校生」
「ああ、諸本家の『サイコ』か」

(´ ω `)「!」

(´ ω `)(ない……)

(´ ω `)(ハーネスにつけてた狼の頭蓋骨が……ない)

(´ ω `)(転んだとき、金具が壊れた……?)

カタッ...

「あの『諸本家の人間』が床に転がってるよ」
「シャキン様が見たらどれだけ幻滅することか」

クスクス
クスクス

「頭を抱えてうずくまってるところ写真にとってやろうぜ」
「諸本家に見せるって脅したらいくら出すかな」

(´ ω `)「はあ……はあ……」

(´ ω `)(だめ、だめ、だめ)

(´ ω `)(傷ついちゃだめだ)

カタカタ
カタカタ

(´ ω `)(遠くで骨が震える音がする)

(´ ω `)(僕の心に反応してひび割れていく)

(´ ω `)(耳元で獣の唸り声が聞こえる)

.
 

174:名無しさん:2023/10/08(日) 21:49:29 ID:lrpTdIvI0


「そら、手に『被害者』のブロマイド持ってるよ」
「仲いいふりして隠し撮りのやつ買ってるんだ」

クスクス
クスクス

「あんなやつらと本当に仲よくなるやつなんていないさ」
「自分までガキノモリのカミサマに呪われちまうよ」

(´ ω `)(はやく、はやく骨を探さないといけないのに)

(´ ω `)(どうしよう。体が震えて動けない)

(´ ω `)(このままじゃあ、外の世界にいたときとおんなじだ)

「おい。聞いてるのかよ」

ゲシッ

(´ ω `)「う゛っ……」

「ほんっと調子に乗ってるよな、『サイコ』のくせに」
「家の外に出られるだけでもありがたいと思えよ」

ゴッ

(´ ω `)「やめ゛っ……」

(´ ω `)(いたい、いたい……ひどいことしないで……)

カタカタ
パキパキ

(´ ω `)(骨が割れていく……もう、抑えられない……!)

(´ ω `)(せめて、みんなを、ここから逃がさないと……!)

(´ ω `)「みんなっ……に、げ……!!」

.
 

175:名無しさん:2023/10/08(日) 21:51:06 ID:lrpTdIvI0


ガツンッ
ドサッ...

(´ ω `)「……っ」



(´ ω `)(頭が……痛い……)

(´ ω `)(意識が……遠く……)

カタカタ...
カタカタッ

パキョッ...

(´ ω `)(目の前はまっくらなのに、音だけが鮮明に聞こえる)

(´ ω `)(震えていた骨が、真っ二つに割れた音)

(´ ω `)(まっくろな獣が低く唸る声が近付いてくる)










(´ ω `)「狗が来るよ」










.
 

176:名無しさん:2023/10/08(日) 21:51:35 ID:lrpTdIvI0


――教室

ξ;゚⊿゚)ξ「いったいなにがあったのよ……」

ξ゚⊿゚)ξ(どうしてクラスメイトが傷だらけで倒れてるのよ?
    なによ、この傷跡?まるで巨大な獣に襲われたみたい)

ξ゚⊿゚)ξ(みんな意識を失っていたわ)

ξ゚⊿゚)ξ(床に座り込んで頭蓋骨を撫でていた諸本くん以外は)

ξ゚⊿゚)ξ「諸本くん?大丈夫?」

(´ ω `)「生徒会長ちゃん、僕……ごめんなさい……」



(´ ω `)「外の世界でもいっぱいおんなじことをしたんです……。
     たくさんの人を、いっぱい傷つけちゃったんです……」

(´ ω `)「諸本家の呪いにかかった者の狼の骨が壊れると、狗神がやってくるんです……。
     周りの人を傷つけて、やがて誰もいなくなると、最後には僕を……」

(´ ω `)「壊れちゃった骨……直したんですけど、そのときにはもう遅くて……。
     みんなみんな、狗神にやられちゃいました……」



ξ゚⊿゚)ξ「もうすぐお昼休みが終わるわ。先生がくる前に逃げましょう!」

(´ ω `)「僕は、もう、どこにもいけないです……。
     クラスのみんなを傷つけて、兄さんに迷惑をかけて、僕にはもう……」

(´ ω `)「僕のことは置いていって……」

ξ゚⊿゚)ξ「見捨てられるわけないでしょ!?友達だもの!!」

(´ ω `)「とも……」

ξ゚⊿゚)ξ「私も津出家の『サイコ』だから、どうにかしてあげる力はないけど。
    あとのことはあとで考えましょ!」

.
 

177:名無しさん:2023/10/08(日) 21:52:16 ID:lrpTdIvI0


(´ ω `)「いけないよ……僕と一緒にいたら君まで帰れなくなる……」

ξ ⊿ )ξ「っ!!そんなの分かってるわよ!!」

ξ ⊿ )ξ「私は!!津出家よりも友達の方が大切なの!!!悪い!!??」

(。´・ω・`)「……!」

ξ゚⊿゚)ξ「とにかく立ちなさい!ここにいたらダメよ!
    こんなの見つかったら暁廟町追放だけじゃすまないわ!」

グイッ

(。´・ω・`)「ぇ……どこに……?」

ξ゚⊿゚)ξ「どこって……それは、あれよ!頼りになる人に会いにいくの!」





──内藤宅



【はわわわわわわ!?もう撮ってるんです!?】
【はっはーん、撮ってるぜ!おら、笑え笑え!】

【私のことはいい、ビロードくんを撮ってくれ】
【ひとりひとり撮るっつってんだろうが!】

【はいんお兄ちゃん!かわいく撮ってねー?】
【あ゛あ゛ん?はいはい、カワイーカワイー】

【ニュッくんもこっち来いやー!】
【これニュッくんのビデオカメラだろうがよー!】



.
 

178:名無しさん:2023/10/08(日) 21:52:41 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)「なんというか、そのう、年季の入ったアパートだね?」

ξ゚⊿゚)ξ「私もちょっとびっくりしてるわ」

ピンポーン

从'ー'从「は~い。どちらさまですかぁ?」

(´・ω・`)「あのっ!こんにちは、こんばんは?
    僕……内藤くんの友達の諸本っていいます!」

ξ゚⊿゚)ξ「内藤くん、いますか?
    学校のプリントを届けにきました」

从'ー'从「そうなのねぇ!わざわざありがとうねぇ?」

(´・ω・`)(内藤くんのお母さん、だよね?
    すっごくのんびり喋る人だなぁ)

从'ー'从「でもごめんなさいねぇ?ユウちゃんったら、
    いつも夜にならないと帰ってこないのよぉ」

从'ー'从「私ももうひとつの家に住んでるから、
    もう五日くらいユウちゃんに会えてないのよねぇ」

(´・ω・`)「ユウ……?」

ξ゚⊿゚)ξ「名前よ、名前。ブーンくんの本当の名前」コソコソ

ξ゚⊿゚)ξ「内藤ユウスケ」コソコソ

(´・ω・`)「まだ帰ってきてないって、どこか出かけたんですか?」

从'ー'从「まだ学校にいるんじゃないかなぁ?
    いつも遅くまで部活してるみたいだからぁ」

(´・ω・`)「……?」

(´・ω・`)(どういうことだろう?
    内藤くんはおうちのお手伝いで学校を休んだんじゃないの?)

.
 

179:名無しさん:2023/10/08(日) 21:53:13 ID:lrpTdIvI0


从'ー'从「あっ!そうだ~!」

从'ー'从「写真、一枚撮ってもいいかなぁ?
    ユウちゃんのお友達がおうちにきた記念に~!」

(´・ω・`)(確かに壁も棚もあっちもこっちも写真だらけ)

(´・ω・`)(よっぽど写真が好きなんだろうな。
    ひとつひとつ綺麗な額に収まってる)

(´・ω・`)(どうして、内藤くんの写真が一枚もないんだろう?)

(´・ω・`)(あっ、壁に穴あいてる……)

ξ゚⊿゚)ξ「かまいませんよ」

(´・ω・`)「は、はい!僕も大丈夫です!」

从'ー'从「準備はいいかなぁ?笑って笑ってぇ」

从'ー'从「さん、に、いち、はい!」

【 ξ゚ー゚)ξ(・ω・` ) 】パシャッ

从'ー'从「いいねいいね、ありがとう~!」

ξ゚⊿゚)ξ「いいえ、こちらこそありがとうございます」



ワイワイ
ガヤガヤ

(´・ω・`)「あれ?」

(´・ω・`)(テレビでなにか流れてる)

(´・ω・`)(古いホームビデオみたいだ。あちこちノイズが走ってる)



.

180:名無しさん:2023/10/08(日) 21:54:43 ID:lrpTdIvI0


【从 ゚∀从「アニジャくんにオトジャくん!
      よおっ!元気してんのか?」】

【( -_ゝ-)「くすくす」】

【(・<_・ )「くすくす」】

【( -_ゝ-)「オトジャ、グミンが話しかけてきたぞ」】

【(・<_・ )「アニジャ、グミンの意味が分かりっこないよ」】

【( -_ゝ-)「ビンボウニンなら分かると思うか、オトジャ?」】

【(・<_・ )「ビンボウニンのことは分からないよ、アニジャ」】

【( -_ゝ-)「くすくす」】

【(・<_・ )「くすくす」】

【【从 ゚∀从「ケッ、不気味なやつらがよ」】



【从 ゚∀从「おら!ひとりひとり自己紹介しろや!」】

【从 ゚∀从「まずはビロードくん、やれ!」】

【( ><)「はわわっ!?益若ヒロトキ、なんですっ」】

【(。><)「ええと、ええと!
      なんか、はなさないと、ううう……!」】

【从 ゚∀从「はっはーん!泣いてんじゃねーよ、ヴァーカ!
      まあいい、いい、ビロードくんらしいじゃねーか!」】



【从 ゚∀从「次はクーちゃんの番だ!」】

【川 ゚ -゚)「素直クウコだ。よろしく頼む」】

【从 ゚∀从「ああん?それだけかよ?もうひとつよこせ!」】

【川 ゚ -゚)「私はあらゆる武術を習っている。
     ビロードくんをいじめるヤツはこてんぱんだ」】

.

181:名無しさん:2023/10/08(日) 21:55:20 ID:lrpTdIvI0


【从 ゚∀从「ははははは!相変わらずじゃねーの!」】

【从 ゚∀从「待たせたな!ツーくん、出番だ!」】

【(*゚∀゚)「はぁい!かわいいボクの名前はー?小森ツミオくーん!」】

【(*゚∀゚)「はいんお兄ちゃんとー、びろーどお兄ちゃんとー、
     くーお姉ちゃんとー、にゅっお兄ちゃんとー、
     でれお姉ちゃんとー、かわいいボクがー、だぁいすきです!】

【(*゚∀゚)「ぬいぐるみのね、ディくんもね、だぁいすき!」】

【从 ゚∀从「はいはい、まあ俺達の弟みたいなもんだからな!カワイーカワイー!」】



【从 ゚∀从「転校生とリーダーの前に、俺の番だな!」】

【从 ゚∀从「俺様は狐塚ハイノジョウ、通称ハインリッヒくんだ!」】

【从 ゚∀从「女もんの着物を着てるってことには、なんにも言うんじゃねーぞ?
      こっちは好きでこんな恰好してるわけじゃねーんだからなァ!!」】

【(。><)「ひっ!またハインくん、ひとりでイカクしてるんです!
       おっかないんです!」】

【川 ゚ -゚)「見てはいけないぞ、ビロードくん。あれはそういう生き物なんだ」】



(´・ω・`)「これって……」

从'ー'从「これ~?小学生の頃のやつだねぇ。
    ユウちゃんにカメラを貸したら、お友達が撮ってくれたみたい」

(´・ω・`)(ガキノモリ事件が起きる前の『被害者』……?)

(´・ω・`)(画面の中にいるのは、間違いなくみんななのに、まるで違う人みたい)

(´・ω・`)(髪型が違う、声の出し方が違う、話し方が違う、
    動き方が違う、考え方が違う、表情の作り方が違う、雰囲気が違う)

(´・ω・`)(顔と姿はおんなじはずなのに、違う)

.
 

182:名無しさん:2023/10/08(日) 21:56:26 ID:lrpTdIvI0


【从 ゚∀从「われらがリーダー!ニュッくんだ!」】

【( ^ν^)「くだらねぇな」】

【从 ゚∀从「おいおいニュッくん!ノリが悪いんじゃねーの?」】

【( ^ν^)「偉くなったもんだな、ハインリッヒ。
        いつから俺に指図出来る立場になった?」】

【从;゚∀从)「なってません!!われらがリーダー!!
      ただ、あのー出来ればでいいんですけど!出来ればでいいんですけど!
      自己紹介してくれるとありがたいなーって思いまして?」】

【( ^ν^)「チィッ、新速ユウスケだ】

【从;゚∀从「ヘイ!アリガトウゴザイマス!ボス!」】



(´・ω・`) ヒュッ...

(´・ω・`)(待って……ちょっと待ってよ……)

(´・ω・`)(頭の中がぐちゃぐちゃで考えられない……)

(´・ω・`)(内藤くんが、ニュッくん……?)



【( ^ν^)「ふんっ」】

【从 ゚∀从「ったく、王様かってーの!なんでこの俺がごきげんとらないといけねーんだよ……」ボソボソ】

【( ^ν^)「何か言ったか」】

【从;゚∀从「なんでもありまっせーん!!ニュッくんバンザーイ!!」】



(´・ω・`)「でも、新速って……」

从'ー'从「新速っていうのは、夫くんの名字だよ」

从'ー'从「もともと私が内藤の名字だったんだけど、
    暁廟町の外で夫くんと結婚して新速になったんだ」

.
 

183:名無しさん:2023/10/08(日) 21:56:51 ID:lrpTdIvI0


从'ー'从「夫くんが事故で亡くなってしまったから、内藤に戻したの」

(´・ω・`)「ねえ、生徒会長ちゃん。これって、いったい」

ξ ⊿ )ξ

(´・ω・`)「生徒会長ちゃん?どうしたの?」



【从 ゚∀从「さーてと、さいごはテメェだ!」】

【从 ゚∀从「転校生!デレちゃん!」】

【ζ(゚ー゚*ζ「はぁい。名前は津出レンだよ」】

【(*゚∀゚)「でれお姉ちゃん?アタマにチョウチョついてる!
     かわいいー!ちょうだいちょうだい!」】

【ζ(゚ー゚*ζ「ごめんね?これはね、私が食べてしまうの。
      私のおうちの呪われたチョウチョだから」】

【(*゚∀゚)「髪につけてる真っ赤なリボンもかわいいよ!
     ツーくんたちのリボンとおそろいだね!」】

【ζ(゚ー゚*ζ「私にもリボンをくれてありがとう」】

【ζ(゚ー゚*ζ「みんなともっと仲よくなれたら嬉しいなぁ」】



【「このリボンは六人の友達の証!いつでもどこでもつけること!」】

【「ぜったいに、ぜったいに!なくしたりしちゃあダメだぜ!」】

プツンッ



.
 

184:名無しさん:2023/10/08(日) 21:57:17 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)「あっ……」

ξ ⊿ )ξ

从'ー'从「あれれ~?」

从'ー'从「貴方、もしかして『デレちゃん』?」

ξ ⊿ )ξ「わたし……」

从'ー'从「やっぱりそうだぁ~!
    髪型も雰囲気も変わってるから、気付かなかったよぉ」

(´・ω・`)「『デレちゃん』……」

从'ー'从「昔はふわっとしていて可愛かったけど、
    いまはりんっとして綺麗になったんだねぇ」

ξ ⊿ )ξ「わたし、ごめんなさい……」ボソボソ

(´・ω・`)「あのう、すみません。津出さん、
    体調が悪そうなので、そろそろ帰りますね!」

从'ー'从「大丈夫~?お大事にね~?」

(´・ω・`)「はいっ!ありがとうございました!」

ξ ⊿ )ξ「ごめんなさい……」ボソボソ

从'ー'从「デレちゃん、ユウちゃんと
    ずっと仲良くしてくれてありがとうねぇ?」

从'ー'从「また遊びにきてちょうだいねぇ。
    私はいないかもしれないけど、あまーいお菓子を置いておくよ~」

パタンッ...





(´・ω・`)(内藤くんがニュッくん?津出さんがデレちゃん?)

(´・ω・`)(いったいどうなってるの……)

.
 

185:名無しさん:2023/10/08(日) 21:58:02 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)「生徒会長ちゃん、出来れば説明を……」

ξ ⊿ )ξ ブツブツブツブツ

(´・ω・`)「生徒会長ちゃん……?」

ξ ⊿ )ξ ブツブツブツブツ

(´・ω・`)「どうしたんですか、そんなに俯いて?」

(´・ω・`)「気持ち悪いんですか?」

ξ ⊿ )ξ ブツブツブツブツ

(´・ω・`)「津出さん?なにを呟いて……」





ξ ⊿ )ξ「ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
     ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
     ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう」

ξ ⊿ )ξ「デレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃない
     デレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃない
     デレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃないデレじゃない」





.
 

186:名無しさん:2023/10/08(日) 21:58:25 ID:lrpTdIvI0


(;´・ω・`)「……ひっ」

(;´・ω・`)「都出さん、本当なの……?」

(;´・ω・`)「君っ、君がデレだったの……?」

ξ ⊿ )ξ

ξ ⊿ )ξ

ξ ⊿ )ξ「私のせいだわ」



ξ ⊿ )ξ「私、友達の証のリボンをもらったの。
     真っ赤なリボン。いつも髪に結んでいたわ」

ξ ⊿ )ξ「けれどもあの日、ガキノモリで遊んでるときに、なくしてしまったの」

ξ ⊿ )ξ「探しているときに、熱が出てしまって、みんな優しかったわ。
    『リボンは探しておくから、デレちゃんは病気を治して』って言ってくれた」

ξ ⊿ )ξ「私だけ、ひとりで、先に帰ったの」



     ζ( ー *ζ『けほっ。ほんとに、ごめんね?」

     从  ∀从『ヴァーカ!しょうがねぇから探してやんよ!』

     (* ∀ )『でれお姉ちゃん、はやくよくなってくれなきゃヤダよ?』

     川  - )『ひとりで帰れるか?』

     ( ><)『まっかなリボン見つけて、みんなでおみまいにいくんです!』

     (  ν )『病人はとっとと帰れ』



ξ ⊿ )ξ「大切ななくしもの、赤色のリボンだったんだわ」

ξ ⊿ )ξ「みんな、私のリボンを探してくれてたんだわ」

ξ ⊿ )ξ「私が、たいせつな、リボンを、なくしたから」

.
 

187:名無しさん:2023/10/08(日) 21:58:50 ID:lrpTdIvI0


ξ ⊿ )ξ「みんな、みんな、『被害者』になっちゃった」



     ζ( ー *ζ(あれ?なんで私、こんなところにいるのかな?)

     ζ( ー *ζ(パジャマのまんま、クツもはいてないのに)



     ζ( ー *ζ(そうだ、いなくなっちゃったみんなを探しにきたんだった)

     ζ( ー *ζ(見つけてあげなくっちゃ、またお熱が上がっちゃう前に!)



     ζ( ー *ζ(……ガキノモリのオヤシロのトビラが開いてる?)

     ζ( ー *ζ(なんでだろう?)

     ζ( ー *ζ(行かなくっちゃいけない気がする……)



     ギイィ...



     (  ν )

     从  ∀从

     (* ∀ )

     川  - )

     (   )

     ζ( ー *ζ「……みんな?」





.
 

188:名無しさん:2023/10/08(日) 21:59:14 ID:lrpTdIvI0


ξ ⊿ )ξ「私が、カミサマに」

ξ ⊿ )ξ「祝福言、したの」




ξ ⊿ )ξ「『ずっとみんなで一緒にいられますように』って」

ξ ⊿ )ξ「『誰もいなくなりませんように』って、『もう離れ離れになりませんように』って」

ξ ⊿ )ξ「お願い、した、から」



ξ ⊿ )ξ「だから」

ξ ⊿ )ξ「ブーンくんのお父さんも」

ξ ⊿ )ξ「ビロードくんのお母さんも、クーちゃんのお父さんとお母さんも」

ξ ⊿ )ξ「ハインくんのお父さんとお母さんも、ツーくんのお父さんとお母さんも」

ξ ⊿ )ξ「私の……お父さんも!!」

ξ ⊿ )ξ「私の祝福言のせいで!!」

ξ ⊿ )ξ「みんな死んでしまったんだわ!!!!!」





ξ ⊿ )ξ「わたし、が」



ξ ⊿ )ξ「わたしが、みんな、ころしたの」





.
 

189:名無しさん:2023/10/08(日) 21:59:43 ID:lrpTdIvI0


(;´・ω・`)「っ」

ξ ー )ξ「どうしたの?」

(;´・ω・`)「津出、さん?」



ζ(゚ー゚*ζ「どうしてそんな顔してるのかな?」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方に笑って欲しい。どうしたらいいかな?」



(;´・ω・`)「誰、ですか?君の名前は?」

ζ(゚ー゚*ζ「みんな私のこと『デレちゃん』って呼ぶよ」

ζ(゚ー゚*ζ「君もそう呼んでくれたら嬉しいな」

(;´・ω・`)「でれちゃん……」

ζ(゚ー゚*ζ「みんなはどこ?みんなに会いたいなぁ」

ζ(゚ー゚*ζ「あっ!みんなっていうのはね、
     私の大切なお友達のことなの!」

(´・ω・`)「そう、ですね……」

(´・ω・`)「僕も会いたいです……」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方もニュッくんたちのお友達なんだね?
    じゃあ、一緒に会いにいこっか?」

(´・ω・`)「どこにいけばいいか知ってるんですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「えへへ、知ってるよ。連れてったげるね!」

ζ(゚ー゚*ζ「王子様のお城へ!」



.
 

190:名無しさん:2023/10/08(日) 22:00:14 ID:lrpTdIvI0


ζ(゚ー゚*ζ「すっかり空が真っ赤になっちゃったね?」

(´・ω・`)「あっ、はい!十三月は夕暮れがいっちばん長いんですよね?」

ζ(゚ー゚*ζ「そうなんだ!君って物知り博士なんだね!」

(´・ω・`)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「そういえば君のお名前まだ聞いてなかったね?
    なんて呼んでもいいかな?」

(´・ω・`)「僕は諸本っていいます」

ζ(゚ー゚*ζ「諸本くんだね、ばっちり覚えたよ!」



ζ(゚ー゚*ζ「ぱんぱかぱーん!とうちゃーく!」

(´・ω・`)「すっごく大きい御屋敷……」

ζ(゚ー゚*ζ「うん?前に来たときよりも大きくなってる?
     まさかね、気のせいだよねっ」

(´・ω・`)「あそこのところ、煙突から煙が出てますね」

ζ(゚ー゚*ζ「素直家のおうちは暁廟町で唯一の葬儀屋だからね。
    いつもいろんなものを燃やしてるんだよ」

(´・ω・`)「素直家?ここって問題児ちゃんのおうち?」

ζ(゚ー゚*ζ「諸本くんは初めてくるんだね?」





──素直邸

ピンポーン

(´・ω・`)「ごめんください!誰かいませんか?」

(´・ω・`)(お留守かな……?)

.

191:名無しさん:2023/10/08(日) 22:01:00 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)(それとも、もう学校から僕達の連絡がきてるのかな?)

(´・ω・`)(もうここしか残ってないのに)

(´・ω・`)「生徒会長ちゃん、僕、ちょっと中を見てきますね」

ζ(゚ー゚*ζ「せいとかいちょうちゃん?」

(´・ω・`)「あのう、デレ、ちゃん」

ζ(゚ー゚*ζ「諸本くん、ニュッくんたちに会いにいくんだよね?
    私も連れていって欲しいな」

ζ(゚ー゚*ζ「クーちゃんのおうちは迷路みたいになってるんだよ、
    初めての子は迷っちゃうよ」

(´・ω・`)「え、分かりました!よろしくお願いします!」



(´・ω・`)「わあ……」

(´・ω・`)(ここって本当に葬儀場なの?
    本当に王子様が住んでるお城みたい)

(´・ω・`)(あっちこっちに高そうな絵や置物が飾ってある。
    床には蜘蛛の模様が入った真っ赤な絨毯が敷いてあって)

(´・ω・`)(けれども、おかしい)

ガチャッ

ζ(゚ー゚*ζ「あれ?扉を開けたら壁?」

(´・ω・`)「おかしいですよ、この廊下。狭すぎて通れません」

ζ(゚ー゚*ζ「この扉もちっちゃすぎて入れないみたいだね」

(´・ω・`)「ここは窓が扉の代わりになってるみたい」

ζ(゚ー゚*ζ「見て見て、この部屋!上下が逆様になってるみたい!」

(´・ω・`)「うわっ!こっちの廊下は天井から刃物がぶら下がってる!」

(´・ω・`)「どうなってるの、このおうち?」

.
 

192:名無しさん:2023/10/08(日) 22:02:35 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)「まいったな、部屋が入り組みすぎていて、
    ……僕達いまどこにいるんでしょう?」

ガチャ

(;´・ω・`)「うわっ!?」

ζ(゚ー゚*;ζ「危なーい!!」

ガシッ

ζ(゚ー゚*;ζ「諸本くん、大丈夫?」

(;´・ω・`)「は、はひ……。ありがとうございます、
     まさか部屋が水没してるだなんて……」

(;´・ω・`)(底が見えない……落っこちてたらどうなってたか……)

ζ(゚ー゚*ζ「ふふっ、見て。お魚がいっぱい泳いでるよ」

(´・ω・`)「ほんとだ、きれい……」

スカッ

(´・ω・`)(この扉、ドアノブがない?)

ζ(゚ー゚*ζ「やっぱり前に遊びにきたときと変わってるみたい」

(´・ω・`)「そんな!僕達、迷子になっちゃったの?」

ζ(゚ー゚*ζ「怖がらないで。大丈夫だよ、
     とりあえず下を目指して行ってみよう?」

(´・ω・`)「は、はい……」

(´・ω・`)(デレちゃん、まるでお姉ちゃんだなぁ)



ζ(゚ー゚*ζ「ここは水族館?ううん、お風呂場かな?」

(´・ω・`)「壁が水族館みたいになっていて綺麗ですね」

ζ(゚ー゚*ζ「さっきのお水の部屋ってここにつながってるのかもしれないねぇ」

(´・ω・`)(浴槽にお水が入ってる。こんなヘンテコリンな場所に、本当に人が住んでるんだ)
.
 

193:名無しさん:2023/10/08(日) 22:03:06 ID:lrpTdIvI0


ζ(゚ー゚*ζ「わあ、ここは台所かな?こんなに道具が揃ってたら、
    いつもより美味しい料理が作れちゃいそうだね!」

(´・ω・`)(ちょっと待って。この食材と食器の数)

(´・ω・`)(問題児ちゃんと王子様は二人暮らしだって言ってたけど、
    これって二人分の量じゃあないよね?)

(´・ω・`)(他にも誰かがいるのかな?『ユメミメル会』の人とか?)

(´・ω・`)(コップがいち、に、さん……)

(´・ω・`)(……六人分?)



ζ(゚ー゚*ζ「ここは寝室かな?ベッドがいくつも並んでいて、
    まるでピーターパンの子供部屋みたいで素敵だね?」

(´・ω・`)「友達みんなでこうして一緒に暮らせたら、
    それはとても、素敵なことですね……」

ζ(゚ー゚*ζ ニコッ

ζ(゚ー゚*ζ「私も君とおんなじこと考えてたよ」

(´・ω・`)「えへへ……」

カツンッ

ζ(゚ー゚*ζ「うん?なにか蹴っちゃった……?
     あっ!ベッドの下に入っちゃう!」



(´・ω・`)(あっ、この部屋には窓もあるんだ)

(´・ω・`)(このお城って裏庭も広いや。
    ちっちゃい畑がいくつかあるんだね)

(´・ω・`)(あれ?誰かが作業してる……)

(´・ω・`)(あれこにいるのって……)

.
 

194:名無しさん:2023/10/08(日) 22:03:37 ID:lrpTdIvI0


(  ω )

(´・ω・`)「内、藤くん……?」



( < >< >)

川  々 )

( _ )

(´・ω・`)(どういうこと……?)

(´・ω・`)(内藤くんだけじゃない、
    ヒキコモリくんも、優等生くんも、問題児ちゃんも)

(´・ω・`)(どうして『被害者』のみんながここに?)

(´・ω・`)(おうちのお手伝いなんてなかったの?)

(´・ω・`)(まさか、これまで、ずっと?)

(´・ω・`)(ガキノモリ事件が終わってから、ずっと?)



ζ(゚ー゚*ζ「諸本くん!なにかな、これ?」

(´・ω・`)「えっ、どれ?」

ζ(゚ー゚*ζ「さっきベッドの下で見つけたの」

(´・ω・`)「それは……」



爪 ー )y‐「なにしてるんだい?」



.
 

195:名無しさん:2023/10/08(日) 22:04:28 ID:lrpTdIvI0


(;´・ω・`)「!?」サッ

爪'ー`)y‐「ネズミちゃん、みーっけ♪」

(;´・ω・`)「あっ、フォックスくん……」

爪'ー`)y‐「はぁい♪アイドルくんのフォックスくんだぜ」

爪'ー`)y‐「ダメじゃねぇのよ?勝手に人様の家に
     入っちゃあいけないって、ママに教わらなかった?」

(;´・ω・`)「ごめんなさい……。急いでいて、つい。
     どうしても内藤くんに会いたくて……」

ζ(゚ー゚*ζ「わあ、ハインくん!ハインくんだよね?」

爪;'ー`)y‐「えっ、はあ!?ツンちゃん?」

ζ(゚ー゚*ζ「私だよ、デレちゃんだよ!」

爪;'ー`)y‐「待って、待って~?頭が混乱してきちまったわ~」

爪'ー`)y‐「ここで話すのはまずいぜ。
     見つかっちまったらことよ?」

爪'ー`)y‐「俺様についてきてちょおだい!」





──焼却場

爪'ー`)y‐「ここなら人が来ないわん♪」

ゴウンゴウン
ゴウンゴウン

(´・ω・`)「おっきな焼却炉!
    これが煙突の煙の正体?」

(´・ω・`)(はっ!でもここ、火葬場なんだよね?
    この中に死体が……?)

.
 

196:名無しさん:2023/10/08(日) 22:05:04 ID:lrpTdIvI0


ζ(゚ー゚*ζ「なんかいい匂いするね?」

爪'ー`)y‐「分かるぅ~?今日の人は副葬品として
     果物を一緒に燃やしたんだぜ」

(´・ω・`)「ひえぇ……」



爪'ー`)y‐「それで?こんなところまでなにしに?
     ひょっとして俺様に会いに来ちゃった?」

(´・ω・`)(よかった。いつものフォックスくんだ)

(´・ω・`)「実は僕、学校にも諸本のおうちにも……」

(´・ω・`)「ううん!そんなことより!
    津出さんがおかしくなっちゃったんです!
    自分のこと『デレちゃん』だって言っていて!」

爪'ー`)y‐「デレちゃん……」

爪'ー`)y‐「そう。ツンちゃんがデレちゃんだったのね」

ζ(゚ー゚*ζ「?」

(´・ω・`)「元に戻す方法を知りませんか?」

爪'ー`)y‐「残念だけど俺様にも分かんねぇわ。
     ヒッキーちゃんは好きな物をを食べさせる、
     ワカッテマスちゃんは褒めて泣き止ませる、
     クルウちゃんはワカッテマスちゃんが宥めて止めに入る」

爪'ー`)y‐「ほらな?それぞれ方法が違うのよ。
     数年前、俺様達もひとつひとつ試したんだもの」

(´・ω・`)「よかった!その方法が見つかれば、元の津出さんに戻るんですね!」

爪'ー`)y‐「元に戻る、ねぇ……」

ζ(゚ー゚*ζ「?、?」

.
 

197:名無しさん:2023/10/08(日) 22:05:26 ID:lrpTdIvI0


爪'ー`)y‐「そんなこと聞きに来ちゃったの~?」

(´・ω・`)「あのう、僕達内藤くんに会いにきたんです!
     学校お休みして、内藤くんのおうちにもいなくて、心配で、
     それから……都出さんを、……僕を、助けて欲しくて……!」

爪'ー`)y‐「はっはーん?さては流石くんの情報でしょお?」

爪'ー`)y‐「あの子のことはあんまり信じない方がいいぜ?
     実は『あの双子の兄』はな、自分の弟のことを……」

爪'ー`)y‐「おっと!ごめんなさいね?
     これは個人情報だったわ♪」



(´・ω・`)「あのう、学校をお休みしてここでなにしてるんですか?」

爪'ー`)y‐「……はーあ、なんもかんも上手くいかないもんねぇ」

爪'ー`)y‐「ブーンちゃんの記憶さえ戻れば、
     どうにかなると思ったんだけどなぁ」

爪'ー`)y‐「俺様がガキノモリ事件のこといくら話しても、
     頭を抱えて狂うばっかりで、次の日にはすっかり忘れちまうんだから」

(´・ω・`)「内藤くんがニュッくんだってこと、話したんですね?」

爪'ー`)y‐「ははっ……」

(´・ω・`)「だから、このカラクリ箱を置いたんですか?
     ……内藤くんにガキノモリ事件のことを思い出させるために」

コトッ

(´・ω・`)「ベッドの下にあったのを、デレちゃんが見つけてくれました。
     勝手に持ってきちゃってごめんなさい」

爪'ー`)y‐

爪'ー`)y‐「あら、バレちゃった?」



.
 

198:名無しさん:2023/10/08(日) 22:05:56 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)「お願いです……本当のこと、教えてください……」

(´・ω・`)「『被害者』を狙ってる犯人なんて、本当はいなかったんですか……?」

爪'ー`)y‐「そのとおりだぜ、だから安心してちょおだい?
     本物の犯人が俺様達を狙ってるかはしらないけど」

爪'ー`)y‐「ブーンちゃんには自分でガキノモリ事件のこと、
     思い出してもらわないといけなかったからな」

爪'ー`)y‐「まっ。ブーンちゃんどころか、だぁれも思い出してくれなかったけどねん」

(´・ω・`)(どうしてこれで思い出すと思ったのかは分からないけど……)

(´・ω・`)「あの木箱に入っていた髪や歯の持ち主は、
    この焼却場から盗んだものだったんですね……」

爪'ー`)y‐「ふふふ……」

爪'ー`)y‐「半分はずれ♡」

(´・ω・`)「……?」



(´・ω・`)「アイ……狐塚くん、内藤くんに会わせてくれませんか?」

ζ(゚ー゚*ζ「ハインくん、私からもお願いしていいかな?」

爪'ー`)y‐「そいつは叶えられない願いだな、
     『父様』に見つかる前にここから逃げなさい」

(´・ω・`)「父様?」

(´・ω・`)(狐塚くんのお父さんは亡くなって、いま孤児院にいるんじゃ……?)

(´・ω・`)(それに素直さんのお父さんやお母さんも亡くなってるはず……)

爪'ー`)y‐「『父様」はとっても恐ろしい人よ、
     秘密を見た侵入者をただでは帰さないはずだぜ」

(´・ω・`) ビクッ

.
 

199:名無しさん:2023/10/08(日) 22:07:27 ID:lrpTdIvI0


ζ(゚ー゚*ζ「ハインくんはそんなに怖い人のところにいるの?」

爪'ー`)y‐「俺様達だってここから逃げ出したいわよ。
     でも父様には逆らえないんだ。これがあるからな」

(´・ω・`)(『被害者』が持ってる小瓶)

(´・ω・`)(白い粉がほんのちょっぴり入ってる)

爪'ー`)y‐「ガキノモリ事件から、俺様達はこれを
     ちょっとずつ毎日口にさせられていた」

爪'ー`)y‐「それも今日の晩餐で、おしまい。
     これが最後の『罪』なんだとさ」

(´・ω・`)「それって、中身はいったい……」

爪'ー`)y‐「知らない方がいいぜ」

ζ(゚ー゚*ζ「みんなで一緒に逃げよう?こんなところにいちゃダメだよ」

爪'ー`)y‐「ふぅ~!簡単に言ってくれるわね~?
     どうやって逃げるってんだ?暁廟町のお偉いさん相手に?
     俺達は暁廟町から出られないのに?」

爪'ー`)y‐「そりゃあ相手は一人よ?でもめちゃくちゃ強いんだな、これが!
     それにさ、子供の頃からそうやって育っちまったから、怖くてしょうがねぇんだわ」

爪'ー`)y‐「俺様達、ただの子供よ?
     子供が大人にかないっこない」

爪 ー )y‐「あいつが死ななきゃ、俺達は……」



(´・ω・`)「どうにかして逃げる手を考えましょうよ!」

爪'ー`)y‐「ありがとうな、もう手遅れだ」

爪'ー`)y‐「あーあ、ニュッくんが思い出してくれればなぁ。
     俺達はみんなそれを待ってたんだけどね、
     ニュッくんだったらきっと、どうにかしてくれるのに」

爪'ー`)y‐「いつだって俺達を導いてくれる、われらがリーダー」

.
 

200:名無しさん:2023/10/08(日) 22:08:33 ID:lrpTdIvI0


爪'ー`)y‐「さようなら、ショボンちゃん。
     ブーンちゃんの代わりに言っておくぜ」

(´・ω・`)「なに言って……」

爪'ー`)y‐「これは餞別よ。ガキノモリ事件について
     知ってることを教えてあげる♡」

爪'ー`)y‐「『被害者』以外に話すのは初めてだぜ。
     いやあ、みんなは覚えていてくれなかったから、
     お前さんが初めてってことになるかな?」

爪'ー`)y‐「俺様にみんなみたいな発作が起きたら、
     迷わず逃げてちょおだいね♪」

爪'ー`)y‐「俺様の発作はさ、暴れ疲れて眠るか、
     誰かに全力で殴ってもらわねぇと止められないみたいだから」





爪'ー`)y‐「あの事件について覚えてることは、これだけしかありません」

爪'ー`)y‐「ガキノモリのカミサマに願い事をしたあとのお話しです」

爪'ー`)y‐「俺の祝福言は……
    『みんなで生きてここから出られますように。
     犯人がもう二度と俺達にひどいこと出来なくなりますように』」

爪'ー`)y‐「他のみんながなにをお願いしたのかは分かりません」



爪'ー`)y‐「犯人がガキノモリの御社からいなくなりました。
     でも俺達はまだ、御社の中から出られずにいました」

爪'ー`)y‐「どうしたって、鉄の扉は開きませんでした。
     外から鍵がかけられていたのかもしれません」

爪'ー`)y‐「誰かの願いが叶っていたのかもしれません」



.

201:名無しさん:2023/10/08(日) 22:09:07 ID:lrpTdIvI0


爪'ー`)y‐「閉じ込められてから、こっそりしていた作戦です。
     刃物で何日もかかってやっと、木の壁に穴を開けられました。
     ガキノモリのお社が古かったから出来たことです」

爪'ー`)y‐「あは。ダメでした」

爪'ー`)y‐「壁の向こう側にはもうひとつ壁があったのです。
     あは。俺達にはもう、その壁を壊す力は残ってませんでした」

爪'ー`)y‐「なんにも、はっ。なんにも食べてなかったからです」



爪'ー`)y‐「ふはっ。はは」

爪 ー )y‐「は」

爪 ー )y‐「あはぁ……」



爪 ー )y‐「それから…うぐっ、ぐぐぐっ…ふっ…」

爪 ー )y‐「はっ、……が現れて……」

爪 ー )y‐「……俺達はね……、ふふっ」



爪 ー )y‐「見えるか?はは、この両腕!」

爪 ー )y‐「ははぁ、傷跡だらけの、俺達の両腕!」



爪 ∀ )y‐「はははははは!!はーっはっはっはっ!!」

爪 ∀ )y‐「ひぃひぃ…!」

爪 ∀ )y‐「俺達は!!お互いの手を切り合ったんだ!!
      ははは!ははっ!ははははは!はははは!」

爪 ∀ )y‐「なんもかんも、はっ、隠すために!!ははははっははは!!」


.
 

202:名無しさん:2023/10/08(日) 22:09:36 ID:lrpTdIvI0


爪 ∀ )y‐「はーっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
      はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
      ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!」





(´・ω・`)「狐塚く……」

ζ(゚ー゚*;ζ「諸本くん!危ない!!」

バキッ‼︎

(;´・ω・`)「っ!?」

(;´・ω・`)(デレちゃんが背中を押してくれなかったら、殴られるところだった……)

爪 ∀ )y‐

ζ(゚ー゚*;ζ「ハインくんどうしちゃったの!?」

(;´・ω・`)「とにかく離れよう!暴れ疲れて眠ってくれるまで!」

タッタッタッタッ

(´・ω・`)「!!」

(´・ω・`)(あっちから足音?内藤くんたちかな?)

(´・ω・`)「デレちゃん、内藤くんたちを迎えにいこう!
     ここにも僕達の居場所はないみたいだから」

ζ(゚ー゚*ζ「ないとうくん?」

(´・ω・`)「ニュッくんたちを迎えに行こう!『お父さん』に見つからないようにね!」

.
 

203:名無しさん:2023/10/08(日) 22:12:04 ID:lrpTdIvI0


ドスッ
ドサッ...

(´・ω・`)「?」

(´・ω・`)(後ろが静かになった。狐塚くんが疲れたのかな?)

(´・ω・`)(それになんだろう、狐塚くんの方から聞こえた音……)

チラッ

(´・ω・`)「えっ」

爪 ー )y‐

(´・ω・`)(なんで狐塚くんが倒れて……!?)



lw´‐ _‐ノv「迷子になったのかな、美しいお嬢さん?」



(;´・ω・`)「!?」

(;´・ω・`)(見つかっちゃった……!?)

(;´・ω・`)(もしかして『父様』って……)

ζ(゚ー゚*ζ「シューさん?」

lw´‐ _‐ノv「ごきげんよう、レンちゃん。
     ああ、前にあったときより君らしくなったように感じるよ」

(;´・ω・`)「お、お邪魔してます!勝手に入ってごめんなさい!
      あのう、僕達迷子になっちゃって……」

lw´‐ _‐ノv「嘘をつくなんて、君は悪い子だね?ハイノジョウと話していたのは聞いてる。
     この洋館のいたるところに僕の耳があると思った方がいいよ」

(´・ω・`)「っ」

ζ(゚ー゚*ζ「シューさん、このおうちでなにが起きてるんですか?」

.
 

204:名無しさん:2023/10/08(日) 22:12:25 ID:lrpTdIvI0


lw´‐ _‐ノv「そう怖がらないで。自分達で暮らす練習をしてるだけだよ」

(´・ω・`)「練習?」

lw´‐ _‐ノv「帰る場所がないなら、お嬢さんたちも一緒にどうかな?」

lw´‐ _‐ノv「山奥に引っ越して、外界から遮断された平和な楽園で、
     僕達だけで末永く幸せに暮らすんだ」

lw´‐ _‐ノv「畑を耕して、家畜を飼い、井戸で水を汲んで、
     森で獣を狩り、川で魚を釣り、必要な物は僕だけで調達に行こう。
     家事が終わったあとは、歌とダンスをして眠りにつく」

lw´‐ _‐ノv「楽園からはただの一歩も出ることは許さない。
     高度な文明も持ち込ませない、無垢で美しい生活の毒になる」

lw´‐ _‐ノv「本当は妹達が中等部を卒業したら、と思ってたんだがね、
     困ったことに予定が狂ってしまった。
     諸本家との妙な噂のせいだ。引っ越すのは明日に決めたよ」

lw´‐ _‐ノv「事件に巻き込まれることなんて二度とない、
     夢のような美しい日々を送るんだ。素敵だと思わないか?」

(´・ω・`)(狐塚くんたちはそんなこと望んでないって言ってたのに……)

(´・ω・`)「こんなのユメミメル会とおんなじだよ……」

lw´‐ _‐ノv「あんな醜いものと一緒にされると傷ついてしまうよ。
     僕は汚い金や欲にまみれるような人間には見えないだろう?」

lw´‐ _‐ノv「父親を名乗るからには僕には子供達を守る責任があるんだ。
     君達も少しなら知ってるんじゃないか、『被害者』がどんな目に遭ってるのか」

(´・ω・`)「クラスメイトから避けられてるのは知ってましたが……」

lw´‐ _‐ノv「勝手に根も葉もない噂をされるのは日常茶飯事だ。
     ガキノモリのカミサマに呪われると思ってるから手は出されないが、
     盗撮されてブロマイドまで売られてるよ」

lw´‐ _‐ノv「もっとひどいのは大人達だ。
     彼等の両親は殺されたんだよ。あんな事故が一度に起きるはずがない」

(´・ω・`)「えっ……それは……」

.
 

205:名無しさん:2023/10/08(日) 22:15:14 ID:lrpTdIvI0


lw´‐ _‐ノv「暁廟町の上にいる人間は僕の子供達を嫌っているようだ。
     孤児院でハイノジョウやツミオはひどい扱いを受けている。
     僕は葬儀屋という高い地位があるから妹を守れるが、
     ユウスケやヒロトキの家は厳しいんじゃないかな」

(´・ω・`)(確かにブーンくんのおうちは裕福とは言えなかったけど……)

(´・ω・`)(とにかく警察に通報を……)

lw´‐ _‐ノv「無垢なお嬢さん、分かっていないようだから教えてあげよう。
     暁廟町の上にいる人間の中には、当然警察も含まれてるんだ。
     ガキノモリ関連では動いてくれないよ」

lw´‐ _‐ノv「それに困るのは僕ではない、僕の子供達やお嬢さんたちじゃないかな?」

(´・ω・`)「ぐっ……」



lw´‐ _‐ノv「僕の子供になる気はないようだね?
     残念に思うよ、君達の美しい心は楽園に相応しかった」

lw´‐ _‐ノv「おいで、僕の子供達」

( ^ω^)

( <●><●>)

川 ゚ 々゚)

(-_-)

(´・ω・`)「内藤くん!!」

ζ(゚ー゚*ζ「みんな!」

lw´‐ _‐ノv「お嬢さんたちを捕まえなさい。両手両足を縛って焼却場に連れていきなさい」

( ^ω^)「……っ」

( <●><●>)「……」

川 ゚ 々゚)「……」

(-_-)「……」

lw´‐ _‐ノv「どうしたのかな?その立派なお耳は飾りかい?」

.
 

206:名無しさん:2023/10/08(日) 22:15:45 ID:lrpTdIvI0


( ^ω^)

( ^ω^) スッ

(´・ω・`)「内藤くん……違うよね……?」

(´・ω・`)「僕達、友達だよね……?」

ガシ

(´>ω<`)「ひっ……」

( ^ω^)「諸本くん、このまま聞いて。はやくここから逃げるお」ボソッ

(´・ω・`)「えっ……でも……」

( ^ω^)「ここは任せてお!」

( ^ω^)「僕達は逃げられっこないけど食い止めることくらいなら出来るお。
       真っ直ぐ行った突き当たりを右に曲がって、壁にこすりながら歩けば出口に辿り着けるお」

(´・ω・`)「そうじゃないよ、内藤くんたちはどうするの?」

( ^ω^)「僕達のことは忘れてお。探さないでいいんだお」

(´・ω・`)「内藤くんはそれでいいの……?」

(´・ω・`)「僕は……嫌だよ……」

( ^ω^)

( ^ω^)「ほんとは僕も、ずっと嫌だった、と思うお」

( ^ω^)「諸本くん、僕のこと助けてくれる?」

(´・ω・`)「どうにかしてみせるよ!
    内藤くんのことは僕が助けるから、僕のことは内藤くんが助けてね!」

( ^ω^)「くっくっくっ!」

(´・ω・`)「ふふふ……」

.
 

207:名無しさん:2023/10/08(日) 22:22:50 ID:lrpTdIvI0


ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、クーちゃん?やめよう?こんなのいやだよ」

川 ゚ 々゚)「あうっ……」

(´・ω・`)「デレちゃん!こっちに走って!」

ζ(゚ー゚*ζ「えっ?」

川 ゚ 々゚)「でれちゃん!いってください!」

( <●><●>)「はあ……?どんな馬鹿なことをするおつもりで?」

(-_-)「そうだよね、こんなこと有り得ないよね、ディくん」

( ^ω^)「僕達で『王子様』を止めるんだお!」

lw´‐ _‐ノv「初めての反抗期かな?大きくなったね、僕の子供達」

lw´‐ _‐ノv「けれども、まだ大人にはならないでいて欲しいな」





(;´・ω・`)「はあ、はあ!外だ!」

ζ(゚ー゚*;ζ「はっ、クーちゃんたち、大丈夫かなぁ?」

ボーン

(´・ω・`)「!!」

ボーン
ボーン

(´・ω・`)(うそ)

ボーン
ボーン

(´・ω・`)(だめだめ、だめだよ)

ボーン

(´・ω・`)(六時、だ……)

.
 

208:名無しさん:2023/10/08(日) 22:23:13 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)(地図、地図を……どこかに行ける道を……)

(´・ω・`)(この道は13~18時まで、ここは6~18時まで、
    ここは8時~18時まで、ここは……10時~18時まで)

(´・ω・`)(『18時になってもおうちに帰らない悪い子はどこにも行けなくなる』……)

(´・ω・`)「ちょっとだけ……」

(´・ω・`)「ほんの少しだけなら……」

ギュッ

ζ(゚ー゚*ζ「そっちに行っちゃダメだよ、ショボンくん。
    この道にかかってる呪いに連れていかれちゃうよ」

(´・ω・`) ヒュッ

ζ(゚ー゚*ζ「ニュッくんが言ってたの。数十年前の記憶ではね、
     ここにはいつでも通れる道があったんだって」

ζ(゚ー゚*ζ「でも通っていい道が細かったり曲がったりしていて、
     みんな間違えちゃったんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「たくさんの人がいなくなっちゃった。
    どんどん道を通っちゃダメな時間が増えていって、いまの簡単な地図になったんだって」

(´・ω・`)「あっ、ちょ!」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫だよ、ここは通れるよ」

ζ(゚ー゚*ζ「ニュッくんがね、教えてくれたんだ。
    私達だけが知ってる、秘密の道だよ」

ζ(゚ー゚*ζ「行こう、ショボンくん。
    大丈夫だよ、怖くないように手をつないだけるね」

(´・ω・`)∞ζ(゚ー゚*ζ キュッ...

.
 

209:名無しさん:2023/10/08(日) 22:23:47 ID:lrpTdIvI0


スタスタ
スタスタ

(´・ω・`)「数十年前の記憶って……?」

ζ(゚ー゚*ζ「ニュッくんの呪いは『人魚』、不老不死が変異したんだって」

(´・ω・`)「ニュッくんは死なないの?」

ζ(゚ー゚*ζ「死んじゃうよ」

ζ(゚ー゚*ζ「生まれ変わっても前世の記憶が戻るんだって。
    前世も、その前の前世も、その前の前の前世も、ずっと」

ζ(゚ー゚*ζ「ニュッくんは『サイコ』だから、思い出せないことが多いって言ってたけど、
    私はそれでもすごいと思うなぁ」

(´・ω・`)「そんなに大切なこと、僕に話してよかったの?」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫だよ、ショボンくんとニュッくんはあんなに仲良しなんだもの」

(´・ω・`)、



(´・ω・`)「あのう、僕達どこに向かってるんですか?
    ひょっとしてこっちにデレちゃんのおうちが?」

ζ(゚ー゚*ζ「ううん。この道が続いてるのはひとつだけ!」





【我奇ノ杜】

ζ(゚ー゚*ζ「ガキノモリ!」





(´・ω・`)「!!」

(´・ω・`)「ガキノモリ……」

.
 

210:名無しさん:2023/10/08(日) 22:24:20 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)(フォックスくんが言ってた)

(´・ω・`)(内藤くんに記憶が戻ればどうにかなるって)

(´・ω・`)「デレちゃん、お願い」

(´・ω・`)「僕を御社に連れていって!」

ξ*゚ー゚)ξ「いいよ。一緒に行こうね」

ξ*^ー^)ξ「お手手つないで、一緒に行こうね」

(´・ω・`)「うん。ありがとう」

(´・ω・`)「ほんとは怖いんだぁ……」



── 我奇ノ杜

ζ(゚ー゚*ζ「ここがガキノモリの御社だよ」

ガチャッ

(´・ω・`)(!)

(´・ω・`)(鍵が空いてる……)

キィ...

(´・ω・`)「えっ?」

(´・ω・`)(ガキノモリの子供達が寄り添うように倒れている)

(´・ω・`)(だれもかれも腕が鏡の破片でズタズタになっていて、
     みんなの体と御社の床を真っ赤に染めている)

ζ(゚ー゚*ζ「ショボンくん、ショボンくん?」

(´・ω・`)「!」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫?」

(´・ω・`)「えっ?」

.

211:名無しさん:2023/10/08(日) 22:24:48 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)(…………?)

(´・ω・`)(誰もいなくなってる)

(´・ω・`)(さっきのは幻……?)



(´・ω・`)(開いた扉から差し込む夕日で部屋が真っ赤だ)

(´・ω・`)(あっちこっち物が散らかっていて、
     床にも血の跡やガラスの破片が広がったまんまなのに、
     なのにホコリひとつ見当たらない)

(´・ω・`)(それだけで御社が異常な空間だって分かる)



ζ(゚ー゚*ζ「ショボンくん、これ見て」

(´・ω・`)「木で出来たカラクリ箱……?
    御社にあったものだったんだね」

パリッ...

(;´・ω・`)「ぴゃいっ」

(;´・ω・`)(ああ、鏡の欠片を踏んだだけか)

ζ(゚ー゚*ζ「この欠片、乾いた血がついているね……」

(´・ω・`)「……」

ザシュッ

(;´ ω `)「いっだ……」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫?ガラスで腕を切っちゃったの?」

.
 

212:名無しさん:2023/10/08(日) 22:25:17 ID:lrpTdIvI0


ザシュッ
ガリガリッ‼︎

(;´ ω `)「フーッ……!」

ζ(゚ー゚*;ζ「ひっ……。ショボンくん、なにしてるの?
     腕から血が……」

(;´ ω `)「これでいいんだっ……」

ポタポタ...



(´・ω・`)(『ガキノモリのカミサマには祝福言を言ってはいけない』……)

(´・ω・`)(きっと他にも冴えた方法があるはずだよね)

(´・ω・`)(でも、僕は頭がよくないから。もう時間がないから)

(´・ω・`)(ごめんね。こんな方法しか、思いつかないや)





(´・ω・`)「ガキノモリノミコト様……」

(´・ω・`)「ガキノモリのカミサマ、お願いします……」

(´・ω・`)「僕の祝福言を聞いてください……」





(´ ω `)「みんなが大切ななくしものを取り返せますますように」

(´ ω `)「それから、それから」





.
 

213:名無しさん:2023/10/08(日) 22:25:46 ID:lrpTdIvI0






「僕もみんなの仲間にしてください」

「僕にみんなの記憶を分けてください」

「はやく犯人を見つけられるように」

「みんなが自由に生きられるように」





(´ ω `)「ガキノモリ事件が、はやく終わりますように」





.
 

214:名無しさん:2023/10/08(日) 22:26:38 ID:lrpTdIvI0




(´ -ω-`)

(´・ω・`)

(´・ω・`)(……ここは?)

(´・ω・`)(ガキノモリの御社?なんで僕、外に?)



( ><)『ふえぇん!クーちゃん、見つからないんです!まっかなリボン!」

川 ゚ -゚)『泣かないでくれ、ビロードくん。
    君に泣かれると私はどうしたらいいか分からない』

(*゚∀゚)『ノラネコさんがにゃあにゃあって食べちゃったのかな?にゃあにゃあ!』

从 ゚∀从『ハイハイ、ツーくんカワイーカワイー』

从 ゚∀从『はーっ、面倒くっせ。いっそ新しく買っちまおうぜ?』

(。><)『はわわっ!ハインくん、ひどいんです!』

川 ゚ -゚)『薄情者め。首を落としてやる』

从#゚∀从『あ゛あん!?』

( ^ν^)『ハインリッヒ、代わりにテメェのリボン渡すか』

从;゚∀从『よーし!頑張って探しますよー!絶対に見つけましょー!』

从;゚∀从『くそがっ!!なんで俺様がこんなこと……』ボソッ

(*゚∀゚)『あひゃひゃ!さすがのはいんお兄ちゃんも、
    にゅっお兄ちゃんには勝てないねー?ディくーん?』



( ^ν^)『……』

川 ゚ -゚)『ニュッくん、どうした?』

( ^ν^)『ガキノモリの扉が開いてる』

.
 

215:名無しさん:2023/10/08(日) 22:27:10 ID:lrpTdIvI0


(*゚∀゚)『わー!ツーくんにぴったりのかわいいのあるかなー?』

( ><)『あわわわっ!ツーくん、ひとりでいったら危ないんです!!』

川 ゚ -゚)『側にいないとビロードくんを守れない。君の死体と結婚したくはない』

( ^ν^)『チィッ、面倒ばかり起こしやがる』

从 ゚∀从『まずいんじゃねーか、ニュッくん?俺達は入るのやめようぜ?なあ?』

( ^ν^)『ははぁ、勝手にしろよ。臆病者は入口で待ってな』

从;゚∀从『やだなぁ!俺もついていくに決まってるじゃないですかー!
      副リーダーなんですからー!』



(´・ω・`)(これは……)

(´・ω・`)(ガキノモリ事件が起きる前のみんなの記憶……?)

( ^ν^)『おい』

(´・ω・`)(初等部のみんなが見られるなんて!みんなちっちゃくて不思議だなぁ)

(´・ω・`)(ニュッくん、顔のこのあたりに内藤くんの面影が……)

ガシッ

(;´・ω・`)『ひんっ!?』

(;´・ω・`)(なんで!?頭を掴まれた!?)

( ^ν^)『動けよ、ショボン。置いていかれたいのか?』

(´・ω・`)『へっ……?』

(´・ω・`)(水たまりに映った自分の姿が見える)

(´・ω・`)(体がちっちゃくなってる?声もちょっと高くなってる?
    制服も初等部のやつだ)

(´・ω・`)(僕、『被害者』みんなの思い出の中に入っちゃった……?)

.
 

216:名無しさん:2023/10/08(日) 22:27:42 ID:lrpTdIvI0


从 ゚∀从『ぐずぐずしてるんじゃねーぞ、ホケツメンバー!』

(;´・ω・`)『えっ、あっ、僕……』

(;´・ω・`)『……?』

(´・ω・`)(頭の中に知らない記憶が流れ込んでくる)

(´・ω・`)(僕は冬休みの間だけ、暁廟町の兄さんやお父さんの家に戻ってきた)

(´・ω・`)(他所者だからってイジメられそうになったとこを、
    ニュッくんに助けてもらって、それから遊びに誘ってくれるようになって)

(´・ω・`)(ガキノモリの御社へ来たんだった……)

( ^ν^)『ついてこい、ガキノモリに行くぞ』

(´・ω・`)『あっ……』

(´・ω・`)(待って!!行かないで!!)

(´・ω・`)(……そう叫びたかったのに声が出なかった。
     ここは記憶の中だから、ガキノモリ事件は絶対に起こっちゃうんだ)





バタンッ!!





从;゚∀从『なんでトビラが閉まったんだ!?』

(;*゚∀゚)『ひゃんっ!ボク怖いよう、はいんお兄ちゃん!』

(。><)『トビラのところにだれかいるんですっ』

川 ゚ -゚)『ビロードくん、私の後ろに隠れていろ』

( ^ν^)『誰だ、テメェ?』

.
 

217:名無しさん:2023/10/08(日) 22:28:20 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)(大人の……男の人……)

(´・ω・`)(この人がガキノモリ事件の犯人……!!)

(    )『見られた……』

(    )『なんで子供がいるんだよ……。
       誰にも見られてはいけないのに……』

(    )『ガキノモリの呪いが返ってくる……俺は殺される……!』

(    )『見られた、見られた、見られた、見られた』

(    )『見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた
       見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた
       見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた」

(´・ω・`) ゾッ

(。><)『ひっ……』





バシッ!!





(    )『静かにしろと言ってるんだ!!』

川  - )『うぐっ……!』

(。><)『うわあああん!!やめてくださいなんです!!
      うるさくしちゃったのは僕なんです!!悪い子なのは僕なんです!!
      クーちゃんをぶたないでぇぇぇ!!』

(    )『はぁ、はぁ……!誰か一人が逆らったら、全員ぶっ飛ばすからなぁ……!』

.
 

218:名無しさん:2023/10/08(日) 22:29:18 ID:lrpTdIvI0


バシッ‼︎

(* ∀ )『い゛っ……』

(* ∀ )『いたい……いたいよう……』

(    )『頼むから俺にこんなことさせないでくれよぉ……!!』

( ^ν^)『……』

(;´・ω・`)『あぶなっ……』

バシッ‼︎

(;´ ω `)『ぎゃっ……』

( ^ν^)『おい。なんで俺を庇った?』

(;´ ω `)『君は……いつも僕を助けてくれたから……』

(;´ ω `)『約束、したから……僕はここまで来たんだよ……』

(;´ ω `)(だから、今度は……)

(;´ ω `)(僕が……君を……)

( ^ν^)『……馬鹿なガキめ。俺の体を見てみろ、初等部の貧弱なガキだ。
      まだ前世の記憶や知識もろくに戻ってない」

( ^ν^)『こんな子供が大人に勝てると思うか』

(;´ ω `)『うん……。一緒に、頑張ろうね……』

( ^ν^)『はっ。生意気を』




从 ゚∀从『ニュッくん、どうするんだ?』

从 ゚∀从『あいつ殺さなきゃ、俺達は……』

( ^ν^)『うるさい、分かってる』


.
 

219:名無しさん:2023/10/08(日) 22:29:39 ID:lrpTdIvI0


カリカリ





(;><)b『シィーなんです!犯人に聞こえちゃうんです!』

川 ゚ -゚) カリカリ

川 ゚ -゚)『うん。こっちの道具の方が削りやすい』

从 ゚∀从『ほんとにこんな刃物で壁に穴を開けられるのかよ?』

川 ゚ -゚)『すでに他の誰かさんが削ったあとがあるんだ。
    なんとかなるかもしれない』

( ><)『クーちゃん、やすまなくって大丈夫なんです?』

川 ゚ -゚)『やらせてくれ。なにかしてないと頭がどうにかなってしまいそうなんだ』

川 ゚ -゚)『あの男め、いつか首を落としてやる……』

(*゚∀゚)『クーお姉ちゃん、がんばれ!
    ディくんもがんばってっていってるよ!がんばれー!』



从 ゚∀从『ニュッくん、また犯人を見つめてるのか?』

( ^ν^)『隙を伺ってると言え。殺すぞ』

从;゚∀从『はいっ!頼りにしてます、われらがリーダー!』

(´・ω・`)『ニュッくん、僕の「狗神」の呪いを使えないかな……?』

ガシッ

( ^ν^)『やめろ。ガキノモリの腹の中で呪いを暴れさせるな』

(;´・ω・`)『いたたっ!もう、あんまり強く掴んだら痛いよ……』

(;´・ω・`)(そういうところは変わってないんだね……)



.
 

220:名無しさん:2023/10/08(日) 22:30:09 ID:lrpTdIvI0


モグモグッ





(*゚∀゚)『ボクの持ってたお菓子、これで最後になっちゃったね……』

从 ゚∀从『これっぽっちかよ?うし、ジャンケンで勝ったやつがもらえることにすっか!』

(;><)『はわわっ!?僕、ジャンケンよわいんです!!』

川 ゚ -゚)『いいだろう、私はビロードくんのためにお菓子の騎士となる』

(;´・ω・`)『わー!だめだめ、みんなで分け合わなくっちゃ!』

( ^ν^)『……チィッ』





バサッ





( ^ν^)『そろそろ寝ろ。またクズが騒ぐぞ』

(´・ω・`)『そうだね。もうぶたれたくないもん……』

(*゚∀゚)『ニュッお兄ちゃん、おうた歌って!』

(´・ω・`)『それって、人魚のおうた?』

( ^ν^)『テメェにも話しただろうが、ショボン。
      俺が話したことは忘れるな』

( ^ν^)『一日に一度、忌々しい人魚の歌を歌わないといけない。
      その歌は家族だと認識している者にしか聞かせてはいけない』

( ><)『ニュッくんの子守歌、好きなんです!』

川 ゚ -゚)『ビロードくんが好きなら私も好きになろう』

.

221:名無しさん:2023/10/08(日) 22:31:42 ID:lrpTdIvI0


(*゚∀゚)『お兄ちゃん!お姉ちゃん!
    ツーくんとお手手つないでねむってくれなきゃヤだよ?』

从 ゚∀从『ケッ。ハイハイ、しょうがねぇなァ』

(´・ω・`) スッ

( ^ν^)『俺の前で耳を塞ぐとはいい度胸だな?』

(;´・ω・`)『あっ、やっ!そうじゃなくって!
     だって僕はっ、僕が聞いたら……ダメじゃないの?』

从 ゚∀从『はああああああ?なーに言ってんだ、ブワァァァカ!』

(*゚∀゚)『ショボンお兄ちゃんもボクたちといっしょだよ!』

(。><)『仲間はずれは悲しいんです!泣いちゃうんです!』

川 ゚ -゚)『よしよし、ビロードくん泣くな。ショボンくん、私達は君を友達だと思ってるぞ』

(´・ω・`)『……!』

(´・ω・`)『うん……うん……、僕、みんなとおんなじがいい……』

( ^ν^)『はっ、最初からそう言っときゃいいんだよ』



(  ν )「~♪」

(*´-ω-`)

川 - -)

( ><)

(*-∀-)

从 -∀从



 『うるせえんだよ!!!!!!!!』



.
 

222:名無しさん:2023/10/08(日) 22:32:39 ID:lrpTdIvI0


ゴクッ...





( ><) ゴクッ...

( ><) ゴクッ...

(。><)『うう、お水いっぱい飲んでるのに、
      お腹いっぱいにならないんです……』

川  - )『ビロードくん、だめだ……。
     その水は、飲みすぎると体によくない……ぞ……』

(* ∀ )『ねぇ……ディくん、いま、聞こえたよね……?
     だれかが、ね……助けにきてくれたんだよ……?』

从  ∀从『しっかりしろや、なんにも聞こえねーぞ。
     耳を塞いでるのに聞こえるなんて、そんなの本物じゃねーだろうがよ……』

(* ∀ )『デレお姉ちゃんが……助けにきて、くれたんだよ……?』

从  ∀从『いいからもう寝とけや。いつまでも壁ひっかいてると、
     爪ボロボロになっちまうぞ。キレイにしたんだって自慢してただろうがよ』

( ><)『クーちゃん?だいじょうぶです?』

川  - )『うん……うん……』

( ><)『クーちゃん?僕の声、聞こえてるんです?』

川  - )『ん……』



.
 

223:名無しさん:2023/10/08(日) 22:33:33 ID:lrpTdIvI0


(´ ω `)『ニュッくん、どうしよっか』

(´ ω `)『このままじゃあ、僕達、死んじゃうよ』

(  ν )

(  ν )

(  ν )『分かった』





ガッ!!





(。><)『うわあああん!!みんなー!みんなー!ニュッくんが死んじゃうー!!』

(´ ω `)『ひどいケガだよ、なにがあったの!?』

(  ν )『触るな。寝首かこうとして失敗しただけだ』

(´ ω `)『そんな……ひとりで?僕のことも呼んでくれればよかったのに』

(  ν )『テメェなんか足手纏いだ。どうせ子供の力では大人に敵わない』

(´ ω `)『ニュッくん?僕がいるのそっちじゃないよ?』

(  ν )『……チィッ』

(´ ω `)『ニュッくん……目が……』

从 ∀从『なんてザマだよ。あのニュッくんがずいぶんとこっぴどくやられちまったな』

(  ν )『黙れ』

.
 

224:名無しさん:2023/10/08(日) 22:34:10 ID:lrpTdIvI0


川  - )『みんな来てくれ。もうすぐ壁の穴が開く』

( ><)『ほんとです……?』

从 ∀从『よっしゃあ……!これでおさらばだぜ……!』

川  - )『……開いた!これでやっと……!』

川  - )『!』

(* ∀ )『クーお姉ちゃん?どうしたの?おそとでられるんだよね?』

川  - )『……』

(* ∀ )『そうだっていってよ?ね、お姉ちゃん?』

川  - )『……壁が二重になってる。木じゃない壁だ』

川  - )『無理だ……、これ以上は無理だ……』

(´ ω `)『そんな……』

从 ∀从『くそがっ……』

(。><)『ううう……もう、僕達おしまいなんです……?
      ここでみんなでしんじゃうんです……?』

川  - )『ビロードくん、泣かないでくれ』

(* ∀ )『……ふぇ、……かえ……たいよぉ……』



(  ν )『ガキノモリにはカミサマがいるって知ってるか。
      絶対に願い事を言ってはいけないカミサマが』

(  ν )『ガキノモリは大人の祝福言は叶えないが、俺達の願いならば叶えるはずだ』

(  ν )『どうせこのままじゃ、全員くたばるんだ。
      ガキノモリのカミサマに祝福言をしようぜ』

(  ν )『代償になにかを奪われるかは思い出せないが、
       ……こんな場所で死ぬよりはマシなはずだろ』

.
 

225:名無しさん:2023/10/08(日) 22:34:39 ID:lrpTdIvI0


( ><)『カミサマ……』

(* ∀ )『ボクねぇ、おねがいしたいこと、いっぱいあるんだぁ……、
     でもいまは……いっこしか思いつかないや……ね、ディくん』

从 ∀从『ははっ、笑えるな……。呪われた一族の俺達がカミサマに願いごとかよ……」

(´ ω `)(僕はもうしちゃったから出来ないや……)





祝福言





( ─ν─)(あの野郎を殺したい。絶対に逃がしはしない)



( ><)(もう怖いのも痛いのもいやなんです)

( ><)(みんなでおうちに帰りたいんです)

( ><)(こんな怖い気持ちなくしてしまいたいです)



从 -∀从(みんなが元気なまんまで、ここから出られますように)

从 -∀从(犯人がもう俺達にひどいこと出来なくなりますように)



(*-∀-)(お腹がすいて死にそうです)

(*-∀-)(あまくておいしいパイがいっぱい食べられますように)

(*-∀-)(みんながお腹いっぱい食べられますように)



.
 

226:名無しさん:2023/10/08(日) 22:36:26 ID:lrpTdIvI0




川 - -)(お父さん、お母さん、お姉ちゃん、
    デレちゃん、学校の先生様、迎えにきてください)

川 - -)(どうか私達をここから連れだしてください)



(´-ω-`)(カミサマ、カミサマ、僕のお願いごとは変わりません)

(´-ω-`)(僕をここに連れてきてくれてありがとうございます。
    とっても苦しいし、とってもお腹が空いてるけど、後悔はありません)

(´-ω-`)(それでも僕は……みんなとおんなじがよかったんです)










ふんわりと甘い香りがした。

(´ ω `)(夢かな……?)

(´ ω `)(体が痛いのも苦しいのもなくなってる……)

(´ ω `)(僕、死んじゃったのかな……?)

(´ ω `)(最期に見たのが、みんなが倒れてる姿だなんて、悲しすぎるよ……)

川  - )『いい匂いが……する……』

( ><)『……』

从 ∀从『この匂いは……』

( _ )『あまくて、おいしい、パイ……?』

(´ ω `)『えっ……?』

.
 

227:名無しさん:2023/10/08(日) 22:36:47 ID:lrpTdIvI0


焼きたての香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
口の端から溢れてくるヨダレを飲み込むことも忘れていた。

あれが食べたい。
僕達が目を開いた理由は、ただそれだけ。

从 ∀从『なんで目の前……真っ暗なんだよ?』

(´ ω `)『あれ……?なんで……?』

おそるおそる、まっすぐ手を伸ばしてみた。
自分の手すら見えやしないや。
まっくらやみにいるんじゃない、僕達の目が見えなくなっちゃったんだ。

ふと、泳がせていた指先がなにかに触れた。
あったかくって、やわらかいもの。

ガブッ

(´ ω `)『ぎゃあっ!?』

(´ ω `)(噛みつかれた!?なに!?僕のいぬ!?)

(  ν )『顔を触るとはいい度胸だな』

とっさに自分の目を触ろうとしたら手を掴まれた。
目隠しを触ったらダメってことらしい。
痛いくらいに強い力、これは知ってる。

(´ ω `)『ニュッ、くん?』

(´ ω `)『怪我は大丈夫なの?目が見えてるんだね?』

(  ν )『全員の怪我が治った。ガキノモリのカミサマのおかげだ』

(´ ω `)『……!よかった……本当に、よかった……』

.
 

228:名無しさん:2023/10/08(日) 22:37:09 ID:lrpTdIvI0


(  ν )『絶対に目隠しを取るな。全員だぞ』

(  ν )『取ったらこれはおあずけだ』

(´ ω `)『んぶっ』

唇に押しつけられたもの、なんだろうこれ?
喋ろうと思ったら口になにかを突っ込まれて、ちょっぴりむせそうになる。
スプーンだった。

とろりとしたあまーい食感が広がる。
口の中だけじゃなくって、体中に染みこむかんじがする。
思わずスプーンを噛んだら、ニュッくんに頭をはたかれた。

(  ν )『俺が順番に食わせてやる』

(  ν )『口を開けろ。一口ずつだ』

(* ∀ )『げほげほっ……』

(  ν )『ゆっくり食え。パイはまだまだある』

はやくはやくと口を開ける。
鳥のヒナの気持ちはこんなかんじなのかな。
はやく僕の番がこないかな。

ぱくり。
弱った体に優しいように、水に溶かしたパイのスープ。

とろとろになったストロベリーの実を歯で嚙み潰すと、
口の端からぶりゅりと赤い汁が垂れてしまった。

もったいなくて床を舐めようとしたら、
髪の毛を掴まれて、また一口スプーンが運ばれる。

見えなくても味で分かる、
今度はチョコレートパイ。

噛むほどに口の中で溶けていき、
ほろほろと崩れたパイ生地と混ざり合う。
いっそ永遠に噛んでいられる気がした。

がっつきすぎて口の周りがべちゃべちゃに汚れても、
ニュッくんは笑ったり叱ったりしなかった。
お洋服が汚れないように適当な布を僕達の体に巻き付けただけ。

.
 

229:名無しさん:2023/10/08(日) 22:37:33 ID:lrpTdIvI0


ゆっくりと時間をかけて、たくさんの種類のパイが運ばれてくる。
一口ずつなのも、順番を待つのも、目隠しなのももどかしかった。

ストロベリーパイ、チョコレートパイ、
シナモンスコッチパイ、アップルパイ、スモアパイまで。

上あごに舌を押し付けてじっくりと味わう。
お行儀が悪いって言われたってかまわない。

二度とこの味を忘れたくなかった。



(。><)『おいしいねぇ……ひっく、おいしいねぇ……』

川。 - )『ああ……、ああ……!』

从。 ∀从『こんなにおいしいもん、生まれて初めて食べたぜ……』

(。* ∀ )『ひひ、ストロベリーパイ……、シナモンスコッチパイ……、
     アップルパイ……、スモアパイ……ひひひ、チョコレートパイ……』

(´ ω `) ズルッ...

(´>ω・`)(まぶしっ……目隠しズレちゃった……)

(´・ω・`)『えっ……』

( ^ν^)『ほら。口を開けろ、クー』

川  - )『私よりビロードくんを……』

( ^ν^)『言うこと聞け。また鼻つまんで無理やり食わされたいか?』

川  - )『それは困るな……もぐっ』

(* ∀ )『ありがとうね、ニュッお兄ちゃん……ありがとうね……』

( ^ν^)『うるさい、とっとと食え』

从 ∀从『ニュッ様、よくこんなの見つけたな?』

( ^ν^)『食事を減らされたくなければ口を閉じろ』

.
 

230:名無しさん:2023/10/08(日) 22:37:55 ID:lrpTdIvI0


(  ν )『メシは俺が食わせてやる、平等にだ。
       テメェらは俺の言うことを聞いてればいい』

(  ν )『分かったな?』

ドクンッ

(´・ω・`)(みんなの口に、運ばれてるもの)

(´・ω・`)(あれは……)

(´・ω・`)(あれは……パイなんかじゃない)

ドクンッ

(´ ω `)(あの)

(´ ω `)(赤い)

(´ ω `)(塊は……)

ガシッ

(´;ω;`)『い゛っ!?』

( ^ν^)『見たな?』ボソッ

(´;ω;`)『う゛、うっ……』

( ^ν^)『チィッ。面倒くせぇな、来い』

(´;ω;`)『ど、どこに……』



( ^ν^)『ここまで離れればあいつらに聞こえないだろ』

(´;ω;`)『ニュッくん、さっき僕達が食べたのは……』

( ^ν^)『他の奴らには言うな。殺すぞ』

(´;ω;`)『なんで……こんなことに……』

.

231:名無しさん:2023/10/08(日) 22:38:21 ID:lrpTdIvI0


( ^ν^)『はっ、決まってるだろうが』

( ^ν^)『ガキノモリのカミサマが俺達の願いを叶えてくれたんだろうよ』

( ^ν^)『一度に叶えたせいで、歪んじまったみたいだがな』





モグモグ
モグモグ





从 ゚∀从『ニュッくん?犯人はどこにいったんだ?』

( ^ν^)『ああ。俺がやっつけたぜ』

(*゚∀゚)『さっすがニュッお兄ちゃん!』

( ><)『かっこいいんです!』

( ^ν^)『いま隣の部屋に閉じ込めてある。
       他の奴はぜったいに入るなよ』

从 ゚∀从『ざまぁないぜ!隣の部屋はすっごくさむいんだぜ!』

川 ゚ -゚)『パイも隣の部屋か?犯人に食べられてしまうんじゃないか?』

( ^ν^)『余計な心配はするな』

(´・ω・`)『うん……。ニュッくんの言うとおりだよ……』





.
 

232:名無しさん:2023/10/08(日) 22:38:45 ID:lrpTdIvI0


ドンドンッ!!





( ><)『クーちゃん?なんでおそとでないんです?』

川;゚ -゚)『トビラが開かないんだ!!』

(;*゚∀゚)『なんでかな?どうしてかな?』

从;゚∀从『まさか外からカギがかけられてるのか!?』

(。><)『けって開けられないんです?』

(。><)『クーちゃん、だめなんです?』

川 ゚ -゚)『すまない』

川 ゚ -゚)『君のお願いごとならなんでも叶えてあげたかった。
    でも鉄のトビラは壊せそうにない』

ドンドン‼︎

从;゚∀从『叩け叩け!外にいる人に聞こえるかもしれない!』

(;*゚∀゚)『お願い、こたえてよっ……だれかいませんかー……!?』

从;゚∀从『俺達はここにいるんだぞ!!
      生きてるんだぞ!!開けてくれよ!!』

(´・ω・`)(どうして扉が開かないんだろう?
    誰かに外から鍵をかけられた?)

(´・ω・`)(まさか……誰かの祝福言に関係してる?)

ドンドン...

(。><)『たすけて……僕達をたすけてください……』

川 ゚ -゚)『ビロードくん、もうよそう。手から血が出てる』

.
 

233:名無しさん:2023/10/08(日) 22:39:45 ID:lrpTdIvI0


从;゚∀从『俺達どれくらいここにいるんだ……?
     もう三日くらいたった気がする……』

( ^ν^)『……チィッ』

(´・ω・`)『……大丈夫だよ、みんな』

(´・ω・`)『きっとデレちゃんが助けにきてくれるから』

( ^ν^)『……』

(。><)『デレちゃんが?』

川 ゚ -゚)『そうだな、きっと迎えにきてくれる』

(*゚∀゚)『デレお姉ちゃん、ツーくんはいい子で待ってるよ。
    だからはやくお迎えにきてね?』

从 ゚∀从『ああ、もう!頼んだぜ、デレちゃん!!』





ガチャッ...





(´ ω `)(扉が開く音……。ああ、やっと助けに来てくれた……)

(´ ω `)(犯人がいなくなってから、あれから何日が経ったんだろう?
     呪われたお水をあんまり飲まないようにして、ご飯も少なく食べて節約するようにして、
     みんな、みんな、体も心も疲れちゃったんだ……)

lw´ _ ノv

(´ ω `)(デレちゃん……?)

lw´‐ _‐ノv『ああ、ああ、なんてことだろうね』

lw´‐ _‐ノv『美しいお嬢ちゃんたち、脆弱なお嬢ちゃんたち、辛い目に遭ったんだね。
     もう心配する必要はないよ、僕がみんなを導いてあげる』

.
 

234:名無しさん:2023/10/08(日) 22:40:08 ID:lrpTdIvI0


lw´‐ _‐ノv『これから僕の言うとおりにして欲しいんだ。
     そうすればみんなを助けてあげられる』

lw´‐ _‐ノv『起きてしまったことはどうしようもない。
     まずはこの穢れた血だまりをどうにかしないといけないね』

(´ ω `)(デレちゃんじゃない……)

(´ ω `)(なんで……第二発見者の王子様がここに……?)

パリィン‼︎

lw´‐ _‐ノv『どうかな?まずはこの鏡の破片を使って、
     お互いの両腕を切り合ってもらいたいんだ』

lw´‐ _‐ノv『君達の美しい肌に傷がつくのはとても腹立たしい、
     しかしここの床は不幸にも木材で出来ている。
     汚く醜いものがすでに染み込んでいるから、隠しようがないんだ』

lw´‐ _‐ノv『お嬢さんたち、怖がることはないよ。君達は傷すらも美しくなるから』

lw´‐ _‐ノv『上手に出来ない?なら、お手伝いしてあげるよ。
     こういうのは得意なんだ、だから僕を頼って。破片を貸しなさい』

ズプッ...

lw´‐ _‐ノv『こうするんだよ。手の甲から肩の方に向かって、
     ゆっくりゆっくり滑らせるんだ。
     腕に隙間がなくなるくらい、何回も何回も繰り返すんだよ」

lw´‐ _‐ノv『でもあんまり強くは切りすぎないで。
     もしも腕が動かなくなったり、君が死んでしまったりしたら、
     そんなこと考えたくないよ」

lw´‐ _‐ノv『よしよし、痛いね痛いね。いっぱい叫んでいいんだよ。
     君が頑張ってる声、ちゃんと僕が聞いてるからね』





ポタポタ...




.
 

235:名無しさん:2023/10/08(日) 22:40:29 ID:lrpTdIvI0


lw´‐ _‐ノv『みんな、頑張ったね』

lw´‐ _‐ノv『小さな体でよくやったよ。これなら上手く隠し通せる。
     どうせガキノモリの祟りを恐れて、詳しくは調べないだろうからね』

lw´‐ _‐ノv『そうだ、僕は「第一発見者」ではなく、「第二発見者」になろうかな。
     大人が「第一発見者」では疑われてしまうかもしれないからね』

lw´‐ _‐ノv『「第一発見者」の子が来たよ。さあ、演技して。
     うんうん、みんな上手だね。まるで本当に気を失ってるみたいだよ』

lw´‐ _‐ノv『ああ。本当に気を失っていたのか。
     みんなお疲れ様、いい夢を見てね』





ギイィ...





(  ν )

从  ∀从

(* ∀ )

川  - )

(   )

ζ( ー *ζ『みんな……?』

ζ( ー *ζ『けほっ、そんな……どうして……?
     こんなにいっぱい、血が……血が……!』

ζ( ー *ζ『私が帰っちゃったせいで……』

ζ( ー *ζ『いや……!いや……!!死なないで……!!』

.
 

236:名無しさん:2023/10/08(日) 22:41:08 ID:lrpTdIvI0




ζ( ー *ζ『だれかっ、だれかきてー!!みんなを助けてー!!』

ζ( ー *ζ『……だれかっ、ぐずっ………神様ぁ……」

ζ( ー *ζ『お願いです……、私いいこになります……。
     だからっ……私のお願いを、聞いてください……』

ζ( ー *ζ『ずっとみんなで一緒にいたいんです』

ζ( ー *ζ『誰もいなくなりませんように、はなればなれになりませんように』





コトッ...





lw´‐ _‐ノv『可愛い君達への贈り物だよ』

lw´‐ _‐ノv『美しいだろう、ちゃんと人数分ある。
     この小瓶の中にはなにが入ってると思う?』



lw´‐ _‐ノv『これは君達の「罪」だよ』

lw´‐ _‐ノv『君達が殺して、君達が食べた、男の骨を粉にしたものが入ってる』



lw´‐ _‐ノv『ああ、事件のことを忘れてるんだったね。
     ならばこの粉の正体は分からなくてもいい』

lw´‐ _‐ノv『これを毎日ちょっとずつ、食べ物に混ぜて食べて欲しいんだ。
     中身は一週間に一度、補充してあげるからね』

lw´‐ _‐ノv『もしも愛する君達に断られたら、僕はきっと悲しくて悲しくて、
     ガキノモリ事件の真相を暁廟町のみんなに知らせてしまうよ」

.
 

237:名無しさん:2023/10/08(日) 22:41:42 ID:lrpTdIvI0


lw´‐ _‐ノv『「サイコ」の君達がそれぞれの家に泥を塗ったらどうなるかな?』

lw´‐ _‐ノv『ふふふ。これで僕と君達の間には「絆」が出来たね』

lw´‐ _‐ノv『言うことをきいてね。そうしないと
     君達をガキノモリ事件の犯人のような悪党から守れない』





lw´‐ _‐ノv『慰めてくれる?僕のお父さんとお母さんが死んでしまったんだ』

lw´‐ _‐ノv『やっぱりこんな危険な場所に、妹や君達を置いてはおけない』

lw´‐ _‐ノv『二度と僕の子供達を危ない目には遭わせやしない』

lw´‐ _‐ノv『森の奥で僕達だけで静かに暮らそう。
     外界とのつながりを断ち切って、祝福された楽園を作ろう』

lw´‐ _‐ノv『卒業式を楽しみにしておくことだ』



lw´‐ _‐ノv『今日からは僕が君達の父親になろう。「お父さん」と呼びなさい』



.
 

238:名無しさん:2023/10/08(日) 22:42:24 ID:lrpTdIvI0




(  ν )『大人なんて信用できるか。
      どいつもこいつも、俺からしたらただのガキだ』

(  ν )『ハインリッヒ、ツー、ビロード、クール』

(  ν )『誰かに事件のことでなにか言われたら、これを言え。
      これしか言うな。他のことは喋るな、絶対にだ』

(  ν )『俺が始末をつけて帰ってくるまで待て』

(  ν )『あの女を殺してすぐに終わらせてやる。
      俺達のことは俺達で守っ……くっ!』

(  ν )『なんだこれは……』



(  ν )(俺の中に……なにかが入って……)

(  ν )(俺が……塗り替えられていく……)



(  ν )『僕は……』

(  ν )『違う、違うだろうがっ』

(  ν )『誰かを……』

(  ν )『俺達はあの女を殺して……こんな町……』

(  ν )『傷つけるなんて……したくないお』

(  ν )『自由にっ……』

(  ω )『したくないお』



.
 

239:名無しさん:2023/10/08(日) 22:42:52 ID:lrpTdIvI0






『告白します』
『僕達はあの事件の被害者です』



『数年前、私達は知らない人に誘拐されました』
『そしてカミサマの社に、数日間監禁されてました』


『見つかったとき、俺達は抱き合うようにして眠っていた、そうです』
『よく、覚えていません。俺達には事件の記憶があまりありません』



『けれども、聞いてください』
『俺達は弱っていたけれども、傷ついていたけれども、こうして生きています』



『聞いてください。犯人はまだ捕まってません』
『どうかこのまま、あの人を探さないであげてください』



『それが僕達の』
『それが私達の』

『被害者の願いです』





.
 

240:名無しさん:2023/10/08(日) 22:44:36 ID:lrpTdIvI0




「ひっ。おはよう、ございます」
「ああ」

「おはよう。気持ちのいい朝だな」
「ああ」

「あら~!おはようさん♪」
「ああ」

「やっほー!おはようだよー!」
「ああ」

「ふふふ、おはようだね?」
「ああ」





「いちいち髪の毛引っ張らないでちょおだい!?」

「うるせえ口だな、縫いつけてやろうか?」

「怒っちゃいやーん♡良い子にしてまーす♡」

「とっとと行け、化け狐」

(´-ω-`)

(´-ω-`)(……嫌な匂いがする。焦げた匂いと、ちょっと甘い匂い)

(´-ω-`)(どこかで嗅いだことがあるような、あれは、そう……確か、ええと……)

(´-ω・`) パチッ...

(´・ω・`)(ここ、どこだろう?なんもかんも、どうなったんだろう?)

ヒラッ...

(´・ω・`)(あっ。赤い蝶……)

(´・ω・`)(どこに飛んで……)

.

241:名無しさん:2023/10/08(日) 22:45:05 ID:lrpTdIvI0


ζ(゚ー゚*ζ「ショボンくん、私が見える?」

(´・ω・`)(赤い蝶が髪にとまった)

(´・ω・`)(……ツン、ちゃん?)

(´・ω・`)(口を動かしてるのに、声が出ない)

ζ(゚ー゚*ζ「私はデレよ」

ζ(゚ー゚*ζ「覚えてないかな?君はね、ガキノモリのお社で倒れたんだよ」

ζ(゚ー゚*ζ「目が覚めて本当に良かったよ。
     丸一日眠ってるもんだから、心配で心配でしょうがなかったんだ」

(´・ω・`)(髪に真っ赤なリボンを結んでる)

(´・ω・`)(大切ななくしもの、見つかったんだね)

(´・ω・`)(君がここまで運んでくれたんですか?)

(´・ω・`)(ガキノモリ事件の夢を見ていました)

(´・ω・`)(それから、それから、ああだめだ)

(´・ω・`)(頭の中がざわざわうるさくって、なんにも考えられないや)

ズキンッ

(´・ω・`)(痛っ……)

ζ(゚ー゚*ζ「あっ、まだ起きないで。あっちこっち怪我してるんだよ」

(´・ω・`)(声が出ない。どうして)

ζ(゚ー゚*ζ「それじゃあ、あとのことはお願いね?」

パタン...
ドサッ...

(´・ω・`)(……あとのことはお願いね?)

(´・ω・`)(ベッドの近くに誰かいるのかな)

.
 

242:名無しさん:2023/10/08(日) 22:45:49 ID:lrpTdIvI0


( ^ω^) ボヤ...

(´・ω・`)(内藤、くん?)

( ^ν^)

(´・ω・`)(内藤くんだ。間違いない)

(´・ω・`)(いつもの学生服、いつものネックレス、いつもの紫のリボン)

(´・ω・`)(……僕の指と指の間につながった、真っ黒なリボン)

(´・ω・`)(でも、違う)

(´・ω・`)(僕の中の何かが違うと叫んでる)

(´・ω・`)(前髪を後ろに撫で付けているから?制服を着崩しているから?
    いつもと違う笑い方だから?断りなく僕のベットの横に座ったから?)

(´・ω・`)(……違う)

( ^ν^)

(´・ω・`)(──この子は、誰)

(´・ω・`)「だ、れ」

( ^ν^)「くくく、悲しいじゃねぇか。忘れちまったのか?」

(´・ω・`)「……」

( ^ν^)「チッ……」

ガシッ

(´ ω `)「い゛っ」

(´ ω `)(内藤くんじゃない。内藤くんはこんなことしない。
     人の髪を掴んで起こしたりしない)

(´ ω `)(じゃあ、この子は誰?)

(´ ω `)(内藤くんとおんなじ顔をした子)

(´ ω `)(そんなの決まってる)

.
 

243:名無しさん:2023/10/08(日) 22:46:18 ID:lrpTdIvI0


( ^ν^)

(´ ω `)(ニュッくん、だ)

( ^ν^) パラパラ

(´ ω `)(小さなビンに入った白い粉を美味しそうなお肉に振りかけている。
     内藤くんとおんなじ顔で、内藤くんとおんなじ声で、内藤くんとおんなじことをしてる)

( ^ν^)「食え」

(´ ω `)(どうしてだろう、白い粉はもうなくなったはずなのに。
     その中身は、なんだっけ、ガキノモリの記憶で見た)

( ^ν^)「口を開けろ」

(´ ω `)「ふぐっ……」

(´ ω `)(肉を口に突っ込まれた)

(´ ω `)(ガキノモリ事件のときに、スプーンでおんなじことされたっけ)

ジャリ...

(´ ω `)(口の中の感触、が)

(´ ω `)(噛むたんびに砂のような感触がする)

(´ ω `)(焦げた味が鼻を通り抜けていく)

(´ ω `)(ああ、思い出した。思い出してしまった)

(´ ω `)(あの白い粉は、あれは、犯人の──)

『アイツがいなくならなきゃ僕達は』

(´ ω `)(頭の中でつながっていく)

(´ ω `)(ざわざわうるさいのに、それだけは鮮明に。
     これ以上はだめなのに。考えたら分かっちゃうのに)



.
 

244:名無しさん:2023/10/08(日) 22:46:49 ID:lrpTdIvI0




(´ ω `)(これは)

(´ ω `)(この白い粉は)

(´ ω `)(『王子様』だ)



(´ ω `)「おぇっ!!げほげほっ!!」

( ^ν^)「はっ、きったねぇ」

( ^ν^)「テメェの分だ、ほら食え」

(´ ω `)「いやっ、だぁ……!」

(´ ω `)(声が出た……!!体が、動く……!!)

(´ ω `)(逃げなくちゃ逃げなくちゃ逃げなくちゃ!!)

ダッ‼︎

( ^ν^)「くくく、俺とかくれんぼしたいのか?」

( ^ν^)「お望みどおりにしてやるよ」

(;´ ω `) タッタッタッタッタッ‼︎

(;´ ω `)(逃げなくちゃ逃げなくちゃ逃げなくちゃ!!)

(;´ ω `)

(;´ ω `)(見たことある……)

(;´ ω `)(ここは……素直さんの家だ)

(;´ ω `)(ああ、ここもまた行き止まり……)

.
 

245:名無しさん:2023/10/08(日) 22:47:22 ID:lrpTdIvI0


コツン...
コツン...

( ^ν^)「どうせ逃げられやしない」

(;´ ω `)(ど、どっかに隠れなくっちゃ!!)

( ^ν^)「くくく!あのバカ王子も哀れだよなァ、
      妹が事件に巻き込まれて、親が呪いで死んで狂ちまった」

( ^ν^)「呪いから逃げる為に建物を増築して、
      業者を変えてはまた増築して、呪いを封じ込める為の仕掛けまでして、
      いまじゃあもう、どの業者にも屋敷の全貌は分からない」

( ^ν^)「そうして生まれたのがこのカラクリ屋敷だ」

(;´ ω `)

(;´ ω `)(リボンが、見える)

(;´ ω `)(ニュッくんのいる方向が分かる)



(;´ ω `)(……どうしてこんなことになっちゃったんだろう)

(;´ ω `)(人を殺すなんていけないよ、どうにかして自首させなくっちゃ)

(;´ ω `)(内藤くんやニュッくんを裏切るなんて出来やしない。
      大切な友達なのに、守ってくれたのに)

(;´ ω `)(大丈夫だよ!僕も一緒について行く!共犯だって言う!
      みんなだけには背負わせないよ!)

(;´ ω `)(ただ自由になりたかっただけなのに)

(;´ ω `)(いけないのに、分かってるのに、頭がめちゃくちゃだ)



.
 

246:名無しさん:2023/10/08(日) 22:47:53 ID:lrpTdIvI0


爪'ー`)y‐「あーらニュッくん、ショボンちゃんに逃げられちまったの~?」

(*゚∀゚)「ショボンお兄ちゃん、どうしちゃったのかな?
    お腹痛い痛いになっちゃったのかな?ディくんも心配だよーって言ってるよ?」

( <●><●>)「愚かなことをしましたね。
     素直くんの家は私の庭も同然です、捕まるのも時間の問題でしょう」

川 ゚ -゚)「君の為に私が見つけてこよう、ワカッテマスくん」

ζ(゚ー゚*ζ「はやく見つけてあげよう?怪我もしてるのに心配だよ」

( ^ν^)「まったく。面倒なことを……
      はやく諸本くんを迎えにいくお゛っ……くっ……」

( ^ν^)「チィッ……厄介なことをしてくれたな。
      ショボンの祝福言のせいだ」

从 ゚∀从「ニュッくんの言うとおりだぜ!あんの野郎、とっちめてやろうぜ!」

(-_-)「そうだよね、ディくん。ショボンくんのおかげでニュッくんが帰ってきたんだよね。
   眩しい生き物に感謝するのはシャクだけど、お礼を言わなくっちゃね」

( ><)「はわわっ!ショボンくん、なんで僕達から逃げるんです!?
      悪い子になっちゃったんです!?」

川 ゚ 々゚)「怖がってるビロードくんかわいいね!かわいいね!
     ショボンくん捕まえたら笑ってくれるかな??」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタたちね!どう見ても怖がってるでしょ?
    優しく声かけてあげないとダメよ!」

(;´・ω・`)(!?)

(;´・ω・`)(どうなってるの?みんな人格がくるくる変わっていく!)

(;´・ω・`)(まさかガキノモリのカミサマが奪ったのは……)



( ^ν^)「で?テメェはいつまでそこに隠れてるつもりだ?」

(;´・ω・`) ビクッ

(;´・ω・`)「ひっ……」

.
 

247:名無しさん:2023/10/08(日) 22:48:19 ID:lrpTdIvI0


( ^ν^)「逃げられると思ったか、この俺から?」

(;´ ω `)「!!」

ドンッ

(´ ω `)「かはっ……!!」

( ^ν^)「記憶に関する祝福があるせいか、俺にはガキノモリ事件の記憶がふたつある。
       ショボンが被害者の中にいる記憶と、いない記憶のふたつだ」

( ^ν^)「他の連中はテメェが昔からの友達だと思ってやがる。
       俺にはどちらが正しいのかは分からないが、まあそれはいい」

(´ ω `)「げほっ、かふっ……」

( ^ν^)「俺達がこれからなにをするか聞きたいか?」

(´ ω `)(息がっ……背中から叩きつけられた……)

(´ ω `)(ニュッくんが僕のお腹の上に跨っている)

( ^ν^)「教えてやるよ」



( ^ν^)「俺達は暁廟町を滅ぼす」

( ^ν^)「これは俺達を縛り続けた、町の者への逆襲だ」

( ^ν^)「呪われた町を出て普通の人生を送るんだ」



(´ ω `)



( ^ν^)「ショボン、お前も一緒に来い」

( ^ν^)「諸本の人間も俺が皆殺しにしてやる。
       お前を虐げていた、父も兄もだ」

( ^ν^)「喜べよ」


.
 

248:名無しさん:2023/10/08(日) 22:49:00 ID:lrpTdIvI0


(´ ω `)「ひゅっ……」

(´ ω `)(町を……人を……?)

(´ ω `)(そんなことって……)



(´ ω `)「………………だめ……だよ……」

(´ ω `)「人を、傷つけるのは……悪いことだよ」



( ^ν^)「チィッ……」

(´ ω `)(ニュッくん……?それは……?)

(´ ω `)(黒色のリボン……知らない色……)

( ^ν^)「これはショボンの分のリボンだ」

( ^ν^)「俺達の仲間である証だ」

シュルッ
ギチギチ...

(´ ω `)「がっ!?」

( ^ν^)「『はい』と言え。さもないと殺す」

ギチギチ...

(´ ω `)「かはっ……!にゅ、ぐうぅ……!」

(´ ω `)(くるしい)

(´ ω `)(リボンで首を絞められてる)



.
 

249:名無しさん:2023/10/08(日) 22:49:20 ID:lrpTdIvI0


(´ ω `)(嫌だよ、誰も傷つけたくないよ、怖いよ)

(´ ω `)(でも、でも)

(´ ω `)(もっと嫌なのは……)

(´ ω `)(みんなとおんなじになれないこと……、
     みんなと一緒に行けないことだ……)

(´ ω `)(そう思っちゃう自分がとても怖いんだ……)

(´ ω `)(僕の首にはまっくろなリボンが巻いてある。
     内藤くんが、ニュッくんがくれたものだ)

(´ ω `)(僕の指にはまっくろなリボンがつながっている。
     これは僕だけにしか見えないものだ)

(´ ω `)(指から伸びたリボンの先には、みんながいる)

ζ(゚ー゚*ζ

从 ゚∀从

( ><)

川 ゚ -゚)

(*゚∀゚)

(´ ω `)(みんなが心配そうに僕を見下ろしてる)

(´ ω `)(どっちなんだろう、僕と友達になってくれたのは)

ξ゚⊿゚)ξ

爪'ー`)y‐

( <●><●>)

川 ゚ 々゚)

(-_-)

(´ ω `)(おいていかないで……僕もつれてって……)

(´ ω `)(友達でいたいよ……)
.
 

250:名無しさん:2023/10/08(日) 22:50:13 ID:lrpTdIvI0


(´ ω `)(どうすればいいんだろう……僕には出来ない……)

(´ ω `)(なんということだ!とても簡単なことじゃないか!)

(´ ω `)(人を殺したくない……みんなと離れたくない……)

(´ ω `)(僕にとってもっとも大切なのは、みんなと一緒にいることさ。
     分かってるだろう?)

(´ ω `)(分からないよ……助けて、内藤くん……)

(´ ω `)(内藤くんならすぐそこにいるじゃないか)

(´ ω `)(なにを……言って……)

ペラッ

(´ ω `)(涙でぼんやりした視界でうっすらと見えた)

(´ ω `)(僕の胸ポケットからなにかがはみ出している。
    これって、なんだったっけ?頭がはたらかないや)

(´ ω `)(ニュッくんの手が止まった)

(´ ω `)(リボンから離れた手が、その紙を引き抜いていく)

(´ ω `)(そうだ、あれは……)



【 (;うω・`)(>ω< ) 】

( ^ν^)「くくく!やはりこの諸本くん、面白い顔をしてる」

(´・ω・`)「……ぇ」



( ^ν^)「ショボン、お前を助けてやる。だから俺を助けろ」

( ^ν^)「遊園地に行ったり、水族館に行ったり、動物園に行ったりするんだろ?」

( ^ν^)「お前が俺達を外の世界へ連れていけ」



.

251:名無しさん:2023/10/08(日) 22:50:38 ID:lrpTdIvI0


(´・ω・`)(ああ、そうだったんだ……)

(´・ω・`)(ガキノモリのカミサマに奪われたものは、人格じゃなくて……)



ズキンッ

(´ ω `)「あっ、ぐっ……!」

(´ ω `)(僕の中に……誰かが入ってくる……)

(´ ω `)(頭の中で……混ざり合っていく……)

(´ ω `)(…………………………ああ……よかった……)

(´ ω `)(……これで……………………)



( ^ν^)「妙な感覚だろう?」

( ^ν^)「自分の人格と別の人格が混ざり合っていくってのは。
      別人になるわけではない、記憶はなにひとつ変わらない」

( ^ν^)「ガキノモリのカミサマが奪うのは『性格』だ」



(    ) バッ!!

( ^ν^)「おっと」サッ

(    )「僕の上から退きたまえ!これからの話をするんだろう?」

(    )「おっと!前髪が鬱陶しくてたまらないな、ちょっと切らせておくれ。
       そこの天井からぶら下がってるハサミを借りるとしようか」

ジャギッ

(    )「そうだ、ニュッ!素敵な贈り物をありがとう!
       似合ってるかい?この真っ黒なリボン!」

( ^ν^)「どうだかな。自分で鏡を見ることだな」

.
 

252:名無しさん:2023/10/08(日) 22:51:02 ID:lrpTdIvI0




[( ・∀・)]



( ・∀・)「あはは!ごらんよ、首の跡が悲惨なことになっている!
       やはり君のことは一度ぶん殴った方がよさそうだ!」

( ^ν^)「くっくっく!返り討ちにしてやるよ」

( ・∀・)「もっと人に優しくすることを学びたまえ、われらがリーダー?
       それとも僕が代わってあげようか?」

( ^ν^)「はっ。寝言は寝て言うんだな、モララー」

( ・∀・)「モララー?モララーか!『諸本モモイチ』だからかい?
       なるほど、なかなか気に入ったよ!」

( ・∀・)「諸君!僕のことはモララーと呼んでくれたまえ!」


(-_-)「あひっ、眩しい人が増えたよ。分かるかな、ディくん?
   つまりボクの闇はもっと深まったってことだよ、素敵だね」

(*゚∀゚)「モララーお兄ちゃん!よかった、ボクたちと一緒に来てくれるの?」

( ・∀・)「当たり前じゃないか!僕の居場所は君達がいる場所なのだから!」

(*゚∀゚)「あひゃっ!モララーお兄ちゃんだーいすき!死ぬまで一緒にいようね!
    ほら、ディくんも大好きって言ってるよ!」

( ・∀・)「それは光栄だね!」



.
 

253:名無しさん:2023/10/08(日) 22:51:33 ID:lrpTdIvI0




( <●><●>)「ふんっ、調子に乗らないように。貴方は私達の仲でも新人なのですから!」

( ・∀・)「あはは、苦楽を共にした仲間だろう?お手柔らかに頼むよ!」

( <●><●>)「貴方は冬休みに暁廟町に来て、ガキノモリ事件に巻き込まれて、
      大人に保護されたあと、なにも言わずに外の世界に帰ってしまったじゃないですか。
      私はないがしろにされるのがいっとう嫌いなんですよ」

( ><)「もう勝手にいなくならないで欲しいんです!
      寂しくて寂しくて泣いちゃいそうだったんです!」

( ・∀・)「……それはすまなかったね。挨拶できるものならば僕もしたかったよ」

( <●><●>)「まったく、ガキノモリ事件のことも全て思い出せてよかったですよ。
      ニュッくんが犯人を殺してくれて助かりました。そのせいで脅されてしまったのですがね」



川 ゚ 々゚)「モララーくん!クルウちゃん、かえってきてくれてうれしいです!」

川 ゚ -゚)「裏切ったら私が首を落としてやろう」

( ・∀・)「おお、恐ろしい。僕が『狗神』を扱いきれないからかい?
       学校のときのように呪いが暴走してみんなを傷つけると?」

( ・∀・)「いずれ呪いも手懐けるつもりさ、心配ご無用だ!」

川 ゚ -゚)「お前は油断ならない。私が見張っているとしよう」

( ・∀・)「せいぜい僕が君達と平和に過ごす様を監視してくれたまえ!」

川 ゚ -゚)「胡散臭いやつだ。ワカッテマスくんに近付いて欲しくはないな」



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254:名無しさん:2023/10/08(日) 22:52:12 ID:lrpTdIvI0




爪'ー`)y‐「モララーくん、はいこれ♪」

( ・∀・)「おやおや、これは小動物だね?」

爪'ー`)y‐「それ、握りつぶして?」

( ・∀・) ブジュッ

( ・∀・)「これでいいのかな?」

爪'ー`)y‐「よかった、お前さんも俺様の弟とは違うみたい」

( ・∀・)「君が良かったのなら僕も良かったよ。
       この小動物にはお墓を作ってあげるとしよう」

从 ゚∀从「先輩なのも副リーダーなのも俺様だからな!敬え、ヴァーカ!!」



( ・∀・)「デレちゃん、熱があるのかい?顔が赤いようだ」

ζ(゚ー゚*ζ「ふふっ、違うよモララーくん。
     窓から夕陽が差し込んでるからだよ」

( ・∀・)「そうかい。なんだか、ずっと夕暮れのようだ」

ζ(゚ー゚*ζ「そうだね。なにかが起きるときはいつも空が真っ赤だったね」

( ・∀・)「君は知ってるかい?十三月は……」

ξ゚⊿゚)ξ「夕暮れがいっちばん長い、でしょ?私が教えてあげたんじゃない!」

( ・∀・)「ああ、そうだったね」



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255:名無しさん:2023/10/08(日) 22:54:49 ID:lrpTdIvI0


「さあ、全員席につきたまえ!晩餐の時間にしようじゃないか!」

「勝手に仕切ってんじゃねぇよ、殺すぞモララー」

コトッ

( ^ν^)「机の上には小瓶が七つ、俺達の人数分ある。
      小瓶の中身は遺骨を粉にしたものが入っている」

( ・∀・)

( ^ν^)「これは俺達の『罪』ではない」

爪'ー`)y‐

( ^ν^)「俺達の『決意』だ」

ξ゚⊿゚)ξ

( ^ν^)「食事のとき飯に少しずつ振りかけろ」

(-_-)

( ^ν^)「この中身がなくなる頃には、俺達は外の世界にいるだろうよ」

( <●><●>)

( ^ν^)「くっくっく!その日を楽しみにしておくことだな」

川 ゚ 々゚)





( ^ν^)「ここを俺達七人の拠点とする」

( ^ν^)「しばらくはこの洋館で暮らしながら、
       葬儀屋の仕事をしつつ、呪いの力を育てる」

( ^ν^)「暁廟町の人間を呪い殺して、
       呪いを俺達の代で終わりにするんだ」

( ^ν^)「性格も名前もどうでもいい、
      俺達は俺達を祝福して生きる」

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256:名無しさん:2023/10/08(日) 22:55:44 ID:lrpTdIvI0











「ガキノモリ事件は終わった」

「俺達の新しい事件を始めよう」















( ^ν^)我奇ノ杜事件のようです 終





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257:名無しさん:2023/10/08(日) 22:57:38 ID:lrpTdIvI0


パイは美味しかった?

​◆支援絵

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